異をとなえん |

「日本に古代はあったのか」感想

2008.10.05 Sun

03:10:26

井上章一著「日本に古代はあったのか」をざっと読んだ。
日本に古代はなくて、中世から始まっているのではないかという本。
そんな書評を読み、期待してめくったのだが、本当にそれだけしかなかった。

つまり、時代区分をどう捉えるかというのは、
その人の社会・歴史のモデルの認識によるものであり、
時代区分の変更には違ったモデルを使うか、新事実の発見によるしかない。
しかし、井上氏はそもそもモデルの認識がない。
マルクス主義の歴史学は否定しているが、それに変わる物がない。
古代と中世の違いをはっきりと自分の中で決めていないのに、
適当に動かしても意味がないだろう。
そんな事を最初の方だけ読んで思った。

もしかしたら、後の方にきちんと書いてあるかもしれないが、
ぱっと見たかぎりでなさそうだった。
私はなんらかの新しいモデルが提示されるのではないかと期待していたので、
読む気がなくなった。

むしろ、下記の書評の方が深い。

『日本に古代はあったのか』:「東大系の歴史」と「京大系の歴史」


古代的な統一文明、中世的な社会の分裂、近世的な統一、というのが一つの評価基準になると考えればいいかもしれない。つまり問題は、律令制から王朝国家にかけての時代、つまり飛鳥時代から平安中期までの国家的統一をどの程度評価するかという問題だろう。これを一時的な現象(たとえば中国における晋、ヨーロッパにおけるカール大帝の統一)と見ればこの時代を中世と見ることが可能だし、これを本質的な古代文明と見れば古代と評価するしかない。


井上氏には上記の認識がないように見える。

私自身の歴史のモデルについては、そのうち書くつもりだ。

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