異をとなえん |

「小泉官邸秘録」感想

2008.09.05 Fri

20:26:06

飯島勲著「小泉官邸秘録」を読む。
小泉元首相の首席秘書官による内幕物。
小泉政権での政策決定を、時系列ではなく政策別に記述している。

目次は以下の通り。

はじめに
総裁選前夜
私の考える宰相像−総理の資質とは
「自民党をぶっ壊す」

第一部 小泉内閣誕生 波高き船出
第一章 政権の形を作る
1 小泉内閣の基本哲学
2 経済財政諮問会議
3 特命担当大臣の活用
4 官僚人事の掌握
5 官邸スタッフの強化 − 特命チームの創設・総理補佐官の任用
6 メディア戦略
7 官邸外交の展開
8 最初の国民の審判 − 参議院選挙

第二章 「官邸主導」の胎動
1 最初の「官邸主導」 − ハンセン病訴訟問題
2 小泉改革の形を示す − 最初の基本方針「骨太二〇〇一」
3 予算編成の歳時記を変える
4 道路公団改革 − 小泉改革最初の試金石
5 医療制度改革 − 「三方一両損」
6 健康危機管理 − BSE事件
7 田中真紀子外務大臣更迭

第三章 危機管理体制の強化
1 9・11同時多発テロと対応
2 有事法制の整備

第四章 北朝鮮外交への取り組み
1 奄美沖での工作船沈没
2 歴史的な総理初訪朝
3 総理再訪朝

第二部 有言実行 小泉改革の着実な推進
第五章 道路公団の民営化
第六章 テロとの戦い − イラクへの自衛隊派遣
第七章 自然災害との闘い
第八章 年金改革
第九章 米国BSE事件 − 環境と経済の両立

第三部 小泉改革の総仕上げ 郵政民営化
第十章 郵政民営化への長い道のり
1 三度の総裁選挙での一貫した主張
2 中央省庁再編時の議論 − 橋本前総理と前哨戦
3 公社化法案を巡って − 郵政民営化への最初の確執
第十一章 郵政民営化シフト
1 郵政民営化路線の定着化に向けて
2 郵政民営化準備室の設置
3 郵政民営化基本方針の閣議決定
4 第二次小泉改造内閣発足 − 郵政民営化シフト

第十二章 民営化法案を巡る攻防
1 与党手続きを巡る攻防 − 多数決での総務会突破
2 衆議院特別委員長人事
3 衆議院特別委員会審議 − 百時間を超えた
4 衆議院採決 − 成立か解散か、五票差の可決

第十三章 参議院での否決 − 郵政解散
1 参議院否決で衆議院解散?
2 参議院否決 − 即日衆議院解散

第十四章 衆議院選挙の勝利 − 郵政民営化法案成立
1 すべての選挙区に候補者を
2 いざ決戦
3 運命の9・11 − 大勝利を受けて臨時国会で第三次小泉内閣発足
4 郵政民営化法案成立 − 政界の奇跡
5 十月三十一日 第三次小泉改造内閣発足 − 郵政民営化の着実な推進へ

第十五章 改革に終わりはない − 更なる改革へ
1 郵政は入口−出口の改革へ
2 地方分権への大きな一歩 − 三位一体改革・市町村合併・道州制特区
3 行革推進法 −今後の改革路線を決める
4 歳出歳入一体改革
5 最後の公約達成 − 八月十五日靖国参拝

おわりに
官邸とは
五人の総理秘書官と五人の参事官
衆議院議員として

ここまでで目次終了。

本を読むと、小泉首相は方針を決定するだけで、
それ以外のほとんど全てを飯島秘書官に任せているように見える。
しかし、小泉首相が命令を下したら、
飯島首相は実行するだけという事は流石にないだろう。
小泉首相が飯島秘書官から結果を聞いて方針を変更するとか、
飯島秘書官が方針に問題があると思って修正を具申するとか、ありそうだ。
そういう話が全然ない。
つまり、小泉首相と飯島秘書官の間で、
どの程度意思疎通があるのかよくわからない。
理想的な上司と部下の話にしている嫌いがある。

また、小泉首相が最初に靖国神社を参拝した際に、
八月十五日を十三日に変更した。
飯島秘書官は自分が側にいれば、そんな事はなかった言っているが、
どこまで本当なのか。
自画自賛の自慢話だ。

本の中では飯島秘書官には自分の取った行動が正しいかどうかの迷いはない。
小泉首相が方針を決めれば、
その方針通りに政策として実行できるよう行動していく。
部下としては当然なのだが、ある意味怖い。
取った政策が本当に正しいか、
飯島秘書官として疑問に感じる事はなかったのだろうか。

小泉首相の偉さは政策の正しさを自分一人で保障した事だ。
美化されているのだろうけど、
上に立つものとして、ふらついている感じが全くない。
決定に対する悩み、後悔、逡巡があるだろうに、下に全く出ていない。
部下としてはやり易いだろう。

小泉元首相は使命感をどうやって持ち、維持できたかと思う。
日本の総理大臣は調整型になりやすい。
その方が基本的に楽だし、回りともうまくやっていける。
周囲と軋轢を起こしながら進むのは辛い。
それを全く意に介していないように見える。
変人だからというのは一つの答えだが、
それで客観性を持っているのが凄い。

自分一人で孤立している場合、
どうしても自分の主観が絶対に正しいと思いがちである。
そう思わないと突き進んでいくことができない。
日本のためという信念で実行しているのだろうけど、
その割には凝り固まっていない。

理由は、郵政民営化という生涯の政策目標があり、
それを目指す信念があった。
郵政民営化という旗を掲げて、総裁になったのだから、
実行するのは当然という意識なのだろう。
その証拠に、郵政民営化を達成すると同時に、
確信がなくなったので辞任した。

小泉首相が回顧録を書けば、決定に対する悩み、後悔、逡巡などが、
出てくると思う。
失敗談もあるだろう。
そういう部分がない、この話は真実味がなくて、物語として面白みに欠ける。
選挙の宣伝用といった感じだ。
ただ逆に、少し綺麗事すぎる部分、自分たちをどう捉えて欲しいか
考えている部分が興味深い本だった。

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