異をとなえん |

「デフレはなぜ怖いのか」感想

2008.08.08 Fri

03:03:22

原田泰著「デフレはなぜ怖いのか」を読む。
正統派の経済学がデフレや恐慌をどうとらえているか、知りたくて読んだ。

目次は以下の通り。

まえがき
第1章 デフレーションとは何か
(1) 一般物価と価格の違い
(2) 内外価格差の解消とデフレの違い
(3) デフレと資産デフレの関係
第2章 デフレで何を失うのか
(1) デフレがなぜ生産と雇用を低下させるのか
(2) 実質賃金の上昇がなぜ生産を停滞させるのか
(3) 実質金利の上昇はなぜ経済を停滞させるのか
(4) 若者の雇用の停滞が生産性の停滞を招く
(5) デフレが続けば財政も破綻する
第3章 なぜデフレが続いているのか
(1) デフレを巡る様々な議論の整理
(2) 資産価格の下落と銀行機能の低下によるデフレ
(3) 貨幣数量理論
(4) 中国からの輸入はデフレをもたらすか
第4章 どうすればよいのか
(1) マネーサプライはどうしたら増えるのか
(2) 低金利はデフレの結果
(3) デフレを終わらせない理屈
(4) なぜデフレを終わらせないのか
第5章 19世紀にはなぜデフレが続いたのか
(1) 19世紀後半のデフレと実質成長率
(2) 金融政策ではコントロールできなかった?
(3) 貨幣数量理論による19世紀デフレの解明
(4) 同時代の経済学者は何を考えていたか
(5) 19世紀後半のデフレは終わったのか
第6章 アメリカの大恐慌とデフレ
(1) 大恐慌はなぜ起こったのか
(2) 大恐慌を終わらせたメカニズム
(3) 大恐慌はなぜ長期にわたって続いたのか
(4) 大恐慌のもたらした誤った改革
終章 なぜ人々はデフレを終わらせようとしないのか
あとがき

第1章でデフレを定義し、第2章でデフレの何が問題なのかを語り、
第3章でデフレの原因を説明し、第4章でその解決策を示す。
第5章と第6章は歴史上のデフレについての説明になる。

デフレについての、たぶん正統的な経済学の認識をわかりやすく解説してくれて
勉強になった。
貨幣数量理論が19世紀末の状況をきちんと説明できるのには感心した。

しかし、デフレの解決策は日本銀行が国債を買いまくればいい、
と言うのは納得がいかない。
日銀は国債の直接買付けまでは行なわなかったが、それでもゼロ金利政策として、
金融緩和を続けた。
その結果が、現在の原材料の高騰ではないだろうか。

金融緩和政策によって、日本にはマネーがたまり、それが海外にあふれていった。
海外に流れた資金は投資に使われ、景気が良くなり、各種資源の需要の拡大を促した。
原材料の価格が上昇し、それが投機を呼び、さらに上昇した。
投機には日本の資金も流入した事だろう。
最終的に日本に来る原材料の価格が上昇し、待望のインフレが発生したわけだ。
しかし、このインフレを喜ぶ人はいない。
価格が上昇し、需要が減るという最悪の形でのインフレだ。

もちろん、原材料高の高騰全部が日本のゼロ金利政策によって発生したわけではない。
ただ、日本が金融緩和政策を続け、外国に資金を供給し続けた事も原因の一つのはずだ。

日銀が国債を直接買っていれば、この結末が早くなっただけではないだろうか。

日銀が国債を買いまくれば、インフレに必ずなるというのは正しい。
しかし、今回のような輸入インフレはデフレよりも更に悪い。
そして、輸入インフレを回避する方法も取り立ててないように見える。
過剰に供給されたマネーがどこに向うかなど、制御できないからだ。

そういう訳で、日銀が国債を直接購入して無理矢理インフレにする政策は誤りだ。

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65 バーナンキの発言 - 「デフレはなぜ怖いのか」感想(その2)

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