異をとなえん |

「アダムの呪い」感想

2008.07.25 Fri

00:54:35

ブライアン・サイクス著「アダムの呪い」を読む。
前作、「イブの7人の娘たち」
の流れから、今度はY染色体を通した人類の歴史の話と思ったのだが、
なんか全然別の方向に進んでいく。

目次は次の通り。

プロローグ
第一章 サイクス家の起源
第二章 孤独な染色体
第三章 生命のリボン
第四章 最後の抱擁
第五章 性と性染色体
第六章 男性が誕生するまで
第七章 魚に教わる性のヒント
第八章 性は必要
第九章 理想的な共和国
第一〇章 性の解釈
第一一章 性別
第一二章 ふたつの戦線
第一三章 必死の説得工作
第一四章 世界の男たち
第一五章 ヴァイキングの嵐
第一六章 武将サマーレッドのY染色体
第一七章 偉大なるチンギスハーン
第一八章 古い学校名簿
第一九章 トレーシー・ルイスの十一人の娘たち
第二十章 罪なき者の虐殺
第二一章 暴君の台頭
第二二章 タラ一族の精子
第二三章 同性愛遺伝子
第二四章 ガイアの復讐
第二五章 呪いを解き放つ
エピローグ

前作がどちらかと言うと、人間の遺伝の話に焦点を絞っていたのに対して、
今作は、まず遺伝学の初歩から始まって説明していく。
知らない事がいろいろあって、結構面白い。
遺伝子の組み替えは特別な現象というイメージがあったのだが、
そうでない事を知り、私は既に時代に遅れている事がわかった。
また、なぜ性があるかなどの説明も感心した。

そして、人間のY染色体を使って男系の家系図を描いていく。
チンギスハーンの遺伝子が1000万近くまで膨張しているのは興味深い。
日本人だと、どうなるかを知りたく思う。
日本人のY染色体の分布の本なども出ているのだが、
それは家系と結びつけていないのが残念。

そして、ここらへんから話がずれていく。

Y染色体がアダムの呪いと呼ばれて、
戦争とか支配とか全ての元凶のように描かれるのだが、
無理があるのではないだろうか。
性別による差別みたいな話だ。

また、Y染色体は自分の遺伝子を広げるために、
男性の誕生を促進するとか言うのは論理があいまい過ぎる。
生まれてくる子供の男女の比率が違う事から、
何らかの選好システムはある。
ただ、それをY染色体と結び付けるのはどうか。
X染色体とY染色体以外の普通の染色体に、
どちらかの性を重視する結果を起こす遺伝子があるのかもしれない。
遺伝子だから、家系で依存する。
そういう可能性を潰すようなデータがないと詳しい事は言えない。

同性愛の遺伝子はX染色体上にあるとかの話も辛い。
同性愛は遺伝子で決まる単純な話とは私には思えない。
そこらへんを引っくり返す説得力がない。
その理屈を裏付けるには、もっとデータが必要だが、
そこらへんを全部落としている。

という事から、後半は退屈でお勧めしない。

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