異をとなえん |

「イヴの七人の娘たち」感想

2008.07.11 Fri

18:01:48

ブライアン・サイクス著「イヴの七人の娘たち」を読む。
作者自身がミトコンドリアDNAの研究を通じて、
人類の発展がどうであったかという、科学の新しい分野を切り拓いていく。
その研究の歴史と説明の本である。

目次は下記の通り。

第一章   きっかけは五千年前に死んだ「アイスマン」の発見
第二章   DNAとはどんなものなのか
第三章   血液型から遺伝子へ
第四章   スペシャル・メッセンジャー
第五章   ロシア皇帝とわたし
第六章   太平洋の謎
第七章   偉大なる航海
第八章   最初のヨーロッパ人
第九章   最後のネアンデルタール人
第十章   狩人か、それとも農民か
第十一章  不愉快な出来事
第十二章  チェダー人は語る
第十三章  男性の遺伝子?アダムの登場
第十四章  七人の娘たち
第十五章  第一の娘 アースラ
第十六章  第二の娘 ジニア
第十七章  第三の娘 ヘレナ
第十八章  第四の娘 ヴェルダ
第十九章  第五の娘 タラ
第二十章  第六の娘 カトリン
第二十一章 第七の娘 ジャスミン
第二十二章 ホモ・サピエンスは世界へ
第二十三章 自分とは?

マスコミを通じたニュースで、ある程度知っていると思っていたのだが、
この本を読んで驚いた。

一番驚いたのは7人の娘というのが、
ヨーロッパでは7つの大きな集団に分けられるという意味なことだ。
私は全人類が7つの集団に分けられるのだと思っていた。
本を出した時点では全人類で33、訳書が出た時点では35に分けられるらしい。
だったら最初に出す時は、「イヴの33人の娘たち」になるのではないだろうか。

また、本の最後の方で7人の娘をいろいろと想像している。
根拠のある部分もあるのかも知れないが、書いてないのでよくわからない。
真面目な本が急に小説みたいになってしまう。
私には作品の価値を落としているように見える。
特に最後の7人目の娘が、農耕を開始した男と結婚しているのには違和感を感じる。
農耕開始前でも、農耕開始後でも7人目の娘が生まれる状況は幾らでも考えられる。
それを特に、農耕開始と結びつけているのは、7人目の娘を重要視しているからだ。
しかし、判別しているミトコンドリアDNAのDループ部分というのは、
人間の機能に全く関係ないことを前提にしているのだから、
そういう扱いをするのはおかしい。
結局、7人の娘を重要視するのがよくわからない。

後、わかりやすい解説書を目指した本なので、
説明をはしょっている所がある。
そこらへんで疑問が生まれてしまう。

一番わからないのは、オリジナルがどうなっているかだ。
オリジナルに突然変異が生じて分化する。
この場合、二つの集団に分かれることになる。
オリジナルの大きい集団と突然変異した小さな集団だ。
その後も、いろいろ分化するだろうが、
その繁栄というか人口の増加は偶然によるだろう。
そうするとオリジナルは確率の上からは、
数が多いのだから現在まで残る可能性が高いはずだ。

そう思ってp325の図を見てみる。
p325の図はミトコンドリア・イヴから始まる全人類の家系図みたいなものだ。
そうすると私が言うオリジナルは、その図に出てくる結節点の部分を指している。
しかし、その結節点の部分はララと名付けられた集団を除けば、
地球上にはいない。
これがわからない。

根本的に勘違いしている可能性は高いのだが、
各集団の遺伝子配列の部分を記述してくれれば、
何を勘違いしているのか、わかりやすくなったと思う。

悪口をたくさん言ったが面白い本だ。
お勧めする。

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49 「アダムの呪い」感想

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