異をとなえん |

存在感の薄いアメリカ

2008.05.23 Fri

20:05:50

第二次世界大戦前のアメリカと現在の日本の類似性について考えている。
類似性はいろいろ挙げられるのだが、
今回の記事の本題はそこにはなくて、それを考えている内に、
なぜ日本がアメリカと戦争したか、その理由が少しわかった気がした。

現在の日本に対する批判の一つとして、
世界での存在感の薄さが挙げられるのだが、
たぶん第二次世界大戦前のアメリカも存在感は薄かったのだ。

1929年の世界大恐慌でアメリカはずっとGNPが増えないままとなる。
半分くらい減少した後、持ち直すのだが、
1938年でも工業生産指数で最盛期より20%も低い。(「大国の興亡」下巻P45)
日本・ドイツは大恐慌後、一時低迷していたがすぐに盛り返す。
ソ連は大恐慌に関係なく成長している。
その中で、アメリカは今の日本と同じく絶対的な生産力では高くても、
勢いは他の国に負けている。
経済的に軽視されやすくなっていた。

外交面でも同じだ。
元々、アメリカは国際連盟に加盟していない。
それでも、ワシントン会議が開かれた1922年ごろは、
一定の存在感はあったろうが、大恐慌以後は伝統的な孤立主義に引きこもり、
外交的には忘れさられていったのではないだろうか。
日本も1933年に国際連盟から脱退しているのが、
1936年に日独防共協定、1937年に日独伊三国防共協定、
1940年に日独伊三国軍事同盟などを結ぶなど外交的に活発に動いている。
それと比べるとなにもしていない。

軍事力の面でもアメリカは弱い。
アメリカの軍事費は1938年でGNPの1.5%ほどで、
絶対額としてもドイツ・イギリス・ソ連・日本より少ない。
アメリカは日本の中国への軍事介入に批判を強めるが、
まだ軍事力の弱いアメリカに対して日本は侮っている気がする。

経済には勢いがなく、外交面ではいるかいないかわからない状態で、
軍事力は海軍が少しあるだけだ。
今の日本と同じに見える。
その当時の日本のアメリカに挑戦する気がわかる。
日本から見ると、
一発ぶちかませば尻尾を巻いて逃げていくようなイメージがあったのではないか。

今になって見ると、日本がなぜアメリカと戦争をしたかという批判は多い。
アメリカの豊かさを知っていれば勝てるわけがないという意見だ。
ただ、これは戦前には若者だった人間が言っている事だ。

若者はジャズや映画を通して、アメリカの凄さを感じるのだろうが、
指導者層はジャズや映画に親しんでいただろうか。
昭和天皇は戦前、ジャズを聞いたり、アメリカ映画を見たことがあっただろうか。

世界初のカラー長編アニメーション映画「白雪姫」が1937年公開、
超大作「風と共に去りぬ」が1939年公開、
どちらも日本で公開されたのは戦後だ。
あれを見ていれば、また違ったかもしれない。

戦前に日本人がよく見たアメリカ映画では、
チャップリンの映画があげられると思うのだが、
映画ではチャップリンはいつも浮浪者で、
あれを見てアメリカは凄い国だとわかるのは難しい。

後知恵で、アメリカに戦争を挑んだ日本は愚かだったと言うのは簡単だが、
その時代の空気を感じ取れなくては、また同じ過ちを繰り返してしまう。
できるだけ、本質をつかみ取る努力が必要なのだ。

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURLはこちら