異をとなえん |

中国の黒字が減らない理由、減る理由

2008.05.22 Thu

01:28:48

中国の黒字が減らないでいる。

中国 - 基礎的経済指標 - ジェトロ

asahi.com:中国の07年貿易黒字2622億ドル 3年連続過去最高

リンクは切れているので、一部引用。


中国の07年貿易黒字2622億ドル 3年連続過去最高

2008年01月11日

 中国税関総署が11日発表した貿易収支(速報)によると、07年の貿易黒字額は前年比47.7%増の
2622億ドルで、3年連続で過去最高を記録した。輸出入を合わせた貿易総額は同23.5%増の2兆1
738億ドルで、初めて2兆ドルを突破。米国、ドイツに次ぐ世界第3位を維持したとみられる。
(以下略)


上記のリンク記事から貿易収支を抜き出すと次のようになる。

2004年 589億8,228万ドル
2005年 1,341億8,910万ドル
2006年 2,177億4,606万ドル
2007年 2,622億4,606万ドル

凄い勢いで黒字が増えている。
私は中国で黒字が増えているのは、高度成長期の日本と違うので前にその理由を分析した。

中国の貿易収支が黒字だった理由(中国経済の転換点-その3)


この原因も、失業状態の人間が多いために、賃金が上昇しなかったからだと思われる。生産活動は土地、資本、労働者の三つから成り立つが、賃金が一定だと言うことは労働者の取り分は一定であり、利益のほとんどは、土地、資本を提供した共産党、経営者、外資の元に入った。共産党、経営者、外資の消費できる量は限られていて、ほとんど貯蓄に回った。設備投資に回った分もあるだろうが、利益が増大している中で使い切れないのだろう。


基本的にこの分析は正しいと思うのだが、
複雑に考えすぎているような気がしてきた。
単純に外資が利益を本国に送金せず、
中国国内に蓄積しているだけでいい。

つまり石油産業みたいなものだ。
ある土地から資源を掘り出して本国に輸出する。
代金は輸出国に形式としては渡されるが、
実際はその外資企業がほとんど持っている。
黒字は形の上では出ているが、最終的にその利益を本国に送金してしまえば、
なんにもなくなってしまう。

当たり前だが、輸出代金を取得した外資企業が消費しなければ、
輸入は増えようがない。
黒字がどんどん増えるわけである。

外資企業が利益のほとんどを、
本国に配当することなく中国内部に貯め込んでいるのは、
現在元が過小評価されているため、中国で運用する方が得なためだ。

中国政府は為替をほぼ固定相場制にするため、
黒字の分をドルを買っておぎない、
アメリカ国債に変換して持っている。
つまり、中国政府はアメリカ国債を大量に持って、
アメリカ経済の生殺与奪の権利も持っているかに見えるが、
実際は中国内にあるアメリカ企業の中国元と、
見合っているだけではないだろうか。
同時にアメリカの赤字が、実はたいした問題ではない理由になる。

しかし、状況は変わった。

中国の黒字が減る理由は山ほど出てきた。
海外旅行が盛んになり、お土産をたくさん買っている。
原油・石炭・鉄鉱石等の資材が高騰しているが、成長のために必要である。
輸出企業への優遇措置をやめた。
賃金高騰で企業が海外に移動している。
中国への外国からの投資が減っている。
アメリカの景気が悪化して輸出が伸びなくなる。
インフレが発生しつつあり、輸入品の価格が相対的に下がっている。

実際、下記の記事を見ると、黒字が減り始めたように見える。

中国貿易黒字が約29兆円に拡大。|地球の星


中国の貿易黒字、3月は134億ドル?5か月ぶりの増加
 【博鰲(中国・海南島)=寺村暁人】中国税関当局は11日、今年3月の貿易黒字を前年同月比95・2%増の134億700万ドル
(約1兆3600億円)と発表した。

 中国の貿易黒字は昨年10月に過去最高の270億ドルを記録した後、今年2月(85億ドル)まで減少が続いたが、5か月ぶりに増
加に転じた。3月は輸出の30・6%増に対し輸入は24・6%増にとどまり、大幅な増加となった。

 ただ、今年1〜3月の貿易黒字は、2月の大幅な減少が響き、前年同期比10・6%減の414億1800万ドルにとどまった。中国
経済の成長の柱の一つである貿易黒字の減少で、来週発表される1〜3月の国内総生産(GDP)は成長率が鈍化する可能性が高い。

(2008年4月11日20時21分読売新聞)


ここで問題なのは、
中国の貿易黒字が外資系企業による再投資みたいなものだとすると、
実際の黒字はそれほど大きくはないことだ。

私は、中国経済は貿易黒字も外貨準備も多いから石油価格が上昇しても、
当分堪えられて、高度成長が持続すると考えていた。
しかし、実質的な貿易黒字や外貨準備がそれほど多くないとするならば、
意外に早くまいってしまう可能性がある。

中国はエネルギー効率が極めて悪く、
石油の高騰は成長に悪影響を与えているはずだが、
なかなかそうなってはいない。
これは石油製品の価格統制をして、石油価格の上昇を抑えている事が一つの理由だ。
しかし、差額分のために国内で発生している過剰流動性を使って輸入しているならば、
実際にはない袖を振っていることになる。
これは危い。
インフレと現在のゆっくりとした元高で、
為替レートが割安でなくなれば、
急激に資本流出が始まる危険性がある。
そして、たちまちのうちに外貨準備が尽きてしまうかもしれない。

結局、私が言いたいのは、中国の外貨準備は確かに巨額だが、
それをそのまま額面通りに受け取るのは危険ということだ。

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