異をとなえん |

200年住宅構想に反対する

2008.05.01 Thu

02:02:58

200年住宅構想というのがある。
下記がその構想だ。

社団法人 住宅生産団体連合会 [200年住宅]住宅の長寿命化

この政策に違和感があったのだが、
最近その理由がわかって、はっきりと反対する気になった。
その理由を述べてみる。

まず、住宅の長寿命化という話が出てくるのは、
欧米に比べて日本の住宅の寿命が短いからだ。
理由は太平洋戦争でみんな壊れたとか、戦後の急ごしらえの住宅だったからとか、
災害で壊れたとか、耐震構造にするために作り直したとか、いろいろある。
私は最大の理由は都市の集積による地価の上昇だったと思う。

最近出た中公新書の「サブプライム問題の正しい考えかた」によると、
日本の不動産の土地と建物の価格の比率は大体8:2だそうだ。
アメリカは反対に2:8。

このような状況が生まれるのは、
前にも述べたが、
アメリカの都市がかなり拡散していて中心がなく、
交通事情によって土地の持つ価値が上下しないためだ。

日本の場合は違う。
鉄道によってアクセスが集中する部分を中心として、
そこにかかる時間によって土地の価値が決まってきた。
そして、都市への人口の集中が継続することによって、
土地の価値は上がり続けた。

実際、バブル崩壊まで土地の価格は継続的に上昇してきた。
最近の土地価格の下落をバブルの行き過ぎによる反動と考えれば、
ずっと土地の価格は上昇してきたと考えられる。

土地の値段が高くなれば、
マンションを建てて、建物にかかる費用が増えても
土地1単位に居住する人数が増えて、
一人あたりの建物と土地の価格の合計は、許容範囲におさまる。

つまり、土地の値段が高くなり続ければ、
一戸建ての住宅をマンションに建て替える要求が、
不断に生まれる。
そして実際に建て替えられてきた。

家の近くに回りを駐車場で囲まれた一軒家がある。
そこは角地なのでぐるっと車で一周できる。
その家を壊して、駐車場の所と一緒にマンションを建てると、
儲かると不動産屋が考えそうな家なのだ。
この場合、その家を売りに出した時、
建物の残存価格が評価されないのは間違いない。

既存住宅流通市場で20年も経つと建物の価値が
10%になってしまうのはこのためである。
こういう状況が続いている時に、
住宅を200年持つように建てるのは馬鹿げている。

ちょっと話は違うが、逆に言うと、
建物が何百年も持つ場合、それを取り壊すのはもったいない。
中心部がずっとそうだと、
高層化を拒否して都市が集積できなくなる。
欧米で都市が日本ほど巨大化していないのは、
それも一因ではないだろうか。

日本の人口の都市への集中はまだ続いている。
これは既存住宅流通市場で築年数評価が合理的である事を示している。
そうであれば、それに逆らって200年持つ住宅に拘る事は有用ではない。
長寿命住宅にしようと個人がするのはいいが、
政策として何らかのインセンティブを与えるのは間違いだ。

長寿命化に向けて直接的な効果をうむための施策

ここの施策を読むかぎりでは、特に害があると思えるのはなかったが、
無理に実行する必要もない。
自然に任せておけばいい。

マンションの長寿命化は別の話である。
日本のマンションが
建て替えやら寿命を長くするためのメインテナンス費でごたつくのは、
区分所有にしているからだと言っていい。
戦後の借家借地法が部屋を借りる人間の権利をあまりにも強くしたために、
部屋を貸す事ができず、仕方なく区分ごとに売るしかなかった。
近年の借家借地法の改正によって、
そんな事はなくなるのだから次第に賃貸が増えていく。
そうすれば家主が適切に対応を取るだろう。

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