異をとなえん |

日本つぶしのルール改正?

2007.04.10 Tue

23:46:06

長野オリンピックの後に行なわれたスキーのジャンプ競技でのルール改正はスキー板の長さを身長の146%以下に制限するもので、長野オリンピックで金を獲得した日本つぶしのためだと巷で言われています。

ジャンプのルール改正は日本に有利となるか。から引用します。

 今シーズン、ノルディックのジャンプ競技及びコンバインド競技のジャンプ種目に注目すべきルール改正が行われた。この10年あまり、日本つぶしを目的とした露骨なまでのルール改正が繰り返されてきたが、今回は朗報といえるかもしれない。


これは、おかしいのではないでしょうか。国際スキー連盟は日本を不利にするためにルールを改正したと、言ったのでしょうか。建前としても何らかの理由があったはずです。日本人はその建前も知らずに、本音は日本つぶしだと言って批判しているように見えます。

別の競技の柔道の事を考えてみましょう。日本は、2004年のアテネオリンピックでは金8個とその前回2000年のシドニーオリンピックの金4個に比べると、倍増になりました。これには、ポイント重視から一本重視の柔道へのルール改正が働いたらしいです。他の国からはどう見えるでしょうか。日本は自分たちの国が勝てないから、発祥国だという影響力でルールを改正して金メダルを取りに来たと見えないでしょうか。

でも、ほとんどの日本人はルール改正を日本に有利にするためと言われれば否定するでしょう。ジャンプ競技だって同じ事ではないでしょうか。

柔道は良しも悪しくも日本人はよく知っています。一本勝ちを理想とするのは、教育のせいか、テレビの宣伝のせいか、かなり摺り込まれています。そこで効果とか有効のポイントで決まらず、できるだけ一本勝ちで決着するようにルールを設定したくなります。これだけで一つの力なのです。多くの日本人が柔道は一本を目指すべきだという理想を持っている事がルール改正において一つの力になったはずです。

ジャンプのルールの場合も同じような事が言えます。国際スキー連盟でスキー競技の発展に尽くしてきた人にはジャンプとはこうあるべきだという理想があるはずです。しかし、多くの日本人にジャンプがどうあるべきかという理想を持った者がいるでしょうか。ジャンプのルールはどうあるべきかという理想を考えていない者には、ルール改正に対して意見を述べられる訳がありません。改正しなければいいというのは、ルールを作り競技を発展させてきた人々から見れば単なるわがままです。「そのルール改正は自分の国に不利だから、反対だ」と言っても支持してくれる国はいません。少なくとも主張する時は、「そのルール変更は理想のゲームにふさわしくない」と言わなくてはなりません。

日本人はどうもルールを所与として受け入れてしまい、ルールの後ろにある理想というものをあまり意識しません。ルールを絶対化してしまいます。しかし、最初にルールを作り出した人間は、自分の内側にある理想をどうやって実現するかを考え続け、いろいろな案と比較検討して最終的にルールを作ります。自然発生したようなゲームにも、できるだけそのゲームが栄えていくように考え理想を内部に持ってルールにします。そして、時代の推移によってゲームの展開が変わってくれば、本来の理想を表現できるようにルールを変更しようとするでしょう。

もちろん、理想というのは言語化されておらず、共有されてもいないかも知れません。しかし、その理想というものをできるだけ言語化し共有しようとする努力が必要なはずです

Rubyというプログラミング言語があります。たぶん、日本発では世界で最も有名なソフトウェアです。この開発用のメーリングリストをのぞいて見ますと、創始者であるまつもと氏が仕様をどうすべきか、自分の中にある理想と照らし合わせながら開発参加者と真摯に議論しているのが、うかがえます。ユーザーが要望を出し、大抵の場合単なるわがままに見えますが、まつもと氏は自分の中の理想を何とか言葉で説明しようと努力します。世界に浸透しているから、英語で実行しているので感心してしまいます。

つまり、ルールを作成し維持管理している人は偉いと思うのです。いろいろなコストを払っています。オリンピックでの自国のジャンプのメダルの数を考えてルールを作る人と、ジャンプ競技の発展の事を考えてルールを作る人では勝負になりません。

もっとも、ルールの理想を持たず、単に自分の欲求を出すのもそんなに悪くはないと思います。ただ、文句を言うなら、少くとも心の中に理想を持って対案を述べましょう。「自分たちが不利だから反対だ」なんて言うのは格好悪すぎます。

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