異をとなえん |

バブルの崩壊のプロセス(改訂版)

2008.03.03 Mon

02:58:39

アメリカの現在の景気後退は、日毎に問題が大きくなっている気がする。2000年のITバブルの時は、それほど大きな調整をすることもなく立ち直った。今回の景気後退もその時のように大事なく終了するのだろうか?日本のバブル崩壊からの回復には、それから「失なわれた十年」というほどの期間を必要とした。いや、まだ回復していないという意見もあるが、アメリカはどうだろうか。アメリカも十年というような回復期間を必要とするのだろうか?この記事では、そんな事を考慮しながら、バブル崩壊のプロセスについて考察してみたい。

そもそもバブルとは何だろうか。バブルとは、未来への成長を確信する事によって、特定の資産の価値が非常に増大していく事である。投資家は資産の価格が上昇しているから、さらに上がると考えて投資する面もあるだろうが、それも未来への期待が上昇しているからと解釈したい。特定の資産というのは、大恐慌の時のアメリカなら一般の株式だし、日本のバブル景気の時は土地であり、ITバブルの時はIT企業の株だった。そして、現在のアメリカの場合は家屋ということになる。バブルの崩壊とは、その特定の資産の価格が下がっていくことである。

私の主張したい第一点は、バブルの形成と崩壊のプロセスにおいて、通常の商品と資産の相対価格が変化している事が重要であり、インフレであるかデフレであるかは関係ないという事である。本質的には、バブル発生時にはインフレになるという意見はあるだろうが、ここでは無視しておく。実際、バブル景気の時の日本は、デフレではなかったが、インフレというほど物価上昇率は高くなかった。つまり、土地の価格が上昇し取引が活発になってはいるが、通常の商品にはそれが波及していないのである。これが相対価格の変化という意味である。金融政策は基本的に全体としての通貨の供給量を調整する政策であるから、土地の価格のみ変化させるような事はできない。そういう意味でバブルの形成と崩壊に対して、金融政策は無力であると思っている。

バブルがなぜ崩壊するかは、面白い問題だと思うのだが、今回は特定の資産の価格が高くなり過ぎたから下がったと単純にしておく。そうすると、バブルが崩壊したからといって、既に供給されている通貨の総量は変わらない。極めて高く取引されていた資産に合わせて供給されている通貨は、そのはけ口を求めて他の資産、もしくは通常の商品に流れていく。つまり、通常の商品は価格が上昇気味になるはずである。今回のアメリカの状況もそのように動いている。原油、穀物などの価格は極めて高くなっている。中央銀行はそのような場合、通常物価が上昇しているからと引締め政策を取りたいのだが、景気の悪化をまねくという事で難しい判断を迫られることになる。

1990年代の日本は株価暴落の後も、地価が高騰している事もあって引締め政策に転換する。急激な引締めだとして間違った政策だと批判が多いが、実は必要な政策だったのではないかと感じている。この時点で、インフレを許容する事は、資産価格と通常の商品の相対価格のゆがみを調整するに当たって困難を大きくする。バブル発生時には資産効果によって、通常の商品も普通より需要が大きくなっている事に注意して欲しい。そこでインフレが激しくなれば、普通の需要よりさらに大きく供給して欲しいというシグナルになる。しかし、実際にはその需要は偽りなのだから、供給者は間違ったシグナルを受けとっている。生産量を減らさねばならないのに、生産量を増やす失敗をしてしまいそうである。

いや、それはおかしい、そもそも生産量を減らしたら不況になってしまう。だから、緩和政策をとって景気を維持しなければならないという考え方もある。ITバブル崩壊後のアメリカの政策がそれだろう。アメリカは減税、金利引下げを実行して景気を立て直した。この政策がなぜ成功したかというと、IT企業の株式の下落による負の資産効果を打ち消す資産を見つけたからに他ならない。それが家屋である。崩壊したバブルを立て直すほどだから、問題をより大きくしたと見る事もできるが、一応金融緩和政策は成功したと言えるだろう。

しかし、そのような新しいバブルの種がないならば問題を解決する事はできない。今回のサブプライムローン問題に端を発した家屋下落はどうなるだろうか。ITバブルの時より問題は大きくなっているのだから、問題はより困難になっている。そして、アメリカは経常赤字国であるから、新しいバブルの種はそれを他の国に信じさせる必要がある。格付け会社の信用や、証券の再証券化といった手法の信頼が地に落ちている現在、それは非常に難しいだろう。

現在、FRBは政策金利の引下げを通して事態の収拾を図っているが、新規に未来に期待できる投資先が見つからなければ、供給された資金は外部に流出していくだろう。アメリカの金利は日本を除けば既に一番安くなっているのだから、なおさらである。だが、経常収支の赤字国と資本収支の赤字国は両立できない。経常収支の赤字が簡単に解消できないとするならば、輸出は簡単に増やせないだろうし、景気が悪くなっても必要なものは輸入せざるを得ないから、早晩緩和政策をやめざるを得ない事になる。

「バブルの崩壊のプロセス」と微妙に論旨を変えているのだが、大体同じつもりである。わかりやすくなっただろうか。自信がない。後日、また見直してみる。

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