異をとなえん |

早期不良債権処理などできない-アメリカ終わった?(その3)

2008.02.13 Wed

00:14:21

日本の失われた十年は不良債権処理を早期に行わなかったからというのは幻想に過ぎない。不良債権処理を早期に行なっていたならば、経済システム全体が壊れていただろう。アメリカの銀行の債務の処理も同じである。経済システム全体が崩壊するのを防ぐには債務を繰延べていくしかない。長い年月が待っていることは確実である。

日本が十年もの長い間、あるいはもっと停滞し続けているのは銀行が不良債権処理を引き伸ばしていたからだという説がある。ほとんど定説みたいだが、私は疑問に思っている。地価が下がり出した時、銀行は不動産会社等の経営が急に苦しくなったにも関わらず、債務の返済を迫らなかった。借金の担保である土地を売却するより、債務の返済を待って土地の価格が上昇するのを待つ方が賢明だと思ったからである。しかし、土地の価格はいつまでも上昇することなく、利子分を追い貸しする状態が続くことになった。この状態の頃には返済を迫って、担保の土地を投売りすれば、地価が暴落する事は目に見えていた。そうなれば、普通の会社に対しても土地を担保にして貸付を行なっているのだから、全ての会社が担保不足になる。バブルのさなかに設備投資に邁進した各社は、投資に見合った利益を上げられてなかった。そこで、担保不足なのだから、債務超過でみんな倒産である。そうならないようにするには、債務を繰延べていくしかない。結局、それで十年立ち、ようやく多くの会社が債務超過から解放されて、どうしようもないダメな会社を処分できるようになった。これが、私の考える日本で早期不良債権処理ができなかった理由である。

アメリカの住宅ローンも同じように思える。サブプライムローンという証券の評価損を折込む処理は確かに終わったかもしれない。しかし、肝心の担保の住宅を処分する処理は終わっていない。そして、それはできない。アメリカ終わった?アメリカ終わった?(その2)で述べたような、家屋を壊すとか、プライムローンをどんどん破綻させる事を避けるには、今の住宅ローンが払えない場合に、担保として取り立てて売ればいい訳ではない。市場価格が投売りによって更に下がれば、プライムローン払っている人間が逃げ出す危険性が高くなる。プライムローンを支払っている大多数には、ちゃんと返済してもらわなくてはならない。投売りはできない、かと言って、空家にすれば管理費がかかるだけ損なのだ。一番合理的なのは債務を繰延べにして払わせる事だ。支払い分が家賃+若干の利息分ならば、契約は成立するはずである。一銭も払えないような買い手は追い出すとしても、家賃と同程度の金額を払っていけるならば繰延べていくしかない。証券化されているローンの処理が簡単にできるか、わからないがこれしか対応方法がないと思う。

実際、下記を見るとその方向で動いているように見える。

米金融大手6社、差し押さえを一時猶予・共同でサブプライム対策  日経

 【ニューヨーク=財満大介】シティグループ、バンク・オブ・アメリカなど米金融大手6社は、住宅ローンの滞納者に対する差し押さえの猶予を柱とする信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)対策を12日に発表する。米主要メディアが報じた。

 住宅ローンの返済が90日以上延滞している人を対象に、30日程度差し押さえを猶予する。負担の軽いローンへの借り換えを進める猶予期間を与える目的。サブプライム以外の通常ローンの借り手にも適用する。


繰延べでなく、借り換えだが、実質は同じだろう。中央銀行が金利を下げて各銀行の支援をする事も、日本と同じである。結局、傷が深ければ深いほど回復するには時間がかかる。たちまちのうちに、傷が治ってしまう魔法の呪文はない。

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