異をとなえん |

ドル安にならない訳-日本とアメリカの違い(その3)

2008.01.27 Sun

03:35:48

前回はアメリカ経済の金融業が本当に十分な付加価値を生み出しているか怪しいのではないか、ということで終わっていた。これをもう少し考えてみよう。

まず、今回のサブプライムローン問題による金融収縮局面での状況を観察してみる。アメリカ金融機関が今回のサブプライムローンのような、価値の十分無い所にばかり融資しているのだとしたら、ドルに資金が入らなくなってドル安になるのではないだろうか。

「ドル安相場」と考えるのは間違い?を見るとサブプライムローン問題が表面化した後も、それほどドルは安くなっていない。2007年11月以降は、より危機が深まっているがドル高になっている。確かにドル円相場は円高ドル安に傾いているが、実効レートを見るかぎりドル高ということは、その他の通貨についてはそれをおぎなって、ドル高になっているということである。これはどうしたことだろうか。

金融収縮の発生によって、起債できず運転資金のやり繰りが困難になっている借り手を考えよう。これは諸外国からアメリカで資金を調達している会社とアメリカ内部の会社と二種類ある。アメリカで資金を調達しているということは、どちらもドル建てである。諸外国からの借り手は新たに起債ができなくなっている以上、なんとか自国から金を集めドルに変換して返却するしかない。これは当然ドル高要因である。

一方、アメリカ内部の金融機関も返却する必要があるが、基本ドル建てである以上ドル資金を集めることになる。アメリカ政府が必死になって、資金を供給しているのでそれに頼るか、アメリカ国内の資産を売るか、アメリカ国外の資産を売るか、アメリカ国外で資金を借りることになる。アメリカ国外で資産を売った場合、アメリカ国外で資産を借りた場合、他国通貨で資金を手に入れて借金の返済で売るのだから、これもドル高要因となる。

諸外国の金融機関はアメリカに貸してある資金を返済されたからといって、急に自国通貨に変換する必要はない。そのまま、持っていて別の投資に回してもよいし、自国通貨が安い頃を見はからって変換してもいい。つまり、ドル安要因にはならない。

円がドルに対して高くなっているのは、資金が戻っているからではなくて、資金が出ていかなくなっているからだと考えると話が合っている。

こう考えてくると、ドル建てで運用している現在の金融の仕組みでは、金融収縮でドル高になるのは当然となる。もちろん、これは短期の話で長期になると簡単に分析できない気がする。現在、長期で見るとドルが下がっているのは、政策金利の引き下げなどでドルがだぶつき、かつアメリカ内部は起債されていない状態なので、自然にそれがあふれているからだろう。

アメリカ金融業が本当に付加価値を上げているかを分析しようとしたが、ドル安ドル高とは、あまり関係ない気がする。しかし、しつこく更に考察してみる。この項続く。

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