異をとなえん |

資産効果による成長への影響

2013.09.26 Thu

20:38:30

「ロジステック曲線型成長では普及率が半ばを過ぎても経済は成長を続ける」の記事では、中間点を過ぎても金利低下による資産効果で経済が成長すると説明した。
しかし、本当に資産価格の上昇だけでGDPを顕著に増やすほどの効果が生まれるだろうか。
これについて少し確認しておきたい。

日本は孤立した島国のため、他国からの影響が弱くモデルとしての分析に最適であることを前に記事にしたことがある。
実際、戦後日本経済は敗戦によって全ての国富を失ったことでリセットされ、きれいにロジステック曲線型成長モデルで成長したように見える。
1945年を開始年として、29年後の1974年に日本国債10年物金利が11.7%と最大になり、それから29年後の2003年に0.43%と最小になる。
中間点の1974年の15年前の1959年に成長率が10%を超えて高度経済成長が始まり、15年後の1989年にバブルの頂点を迎え、翌年1990年に崩壊するのも偶然とは思えない。

ここで中間点である1974年の資産価値が金利低下にともなって、どう変化していくかを見ることにする。
参照にした資料「数字でみる 日本の100年 改訂第5版」には1974年の資産価値が載っていないので、1975年で代用している。
まず、永続性のある資産の代表であり、大部分を占めている土地で見てみる。

1975年の名目GDPは150兆円、その時土地の価値は400兆円で名目GDPの2.66倍になっている。
1990年バブルの絶頂期で名目GDPは1975年の3倍の450兆円になった。
土地の価値は2400兆円で1975年の6倍になっている。
土地の価値はGDPの伸びの2倍になったわけだ。
金利は11.7%から6.41%(1990年の国債流通利回り末値)に変化しているのだから、金利が半分になったから資産価値は2倍に上昇するという理屈にあっている。
土地の価値の半分の1200兆円が金利の低下によって生まれたとすると、15年で割れば単純計算で年80兆円分の資産効果が生まれ、その分の投資・消費が増えたはずだ。
1990年のGDPが450兆円であることを考えると、金利の低下による資産効果がGDPを成長させるのに十分であることがわかる。

土地のみを対象にして資産効果を計ってみたが、土地以外に資産効果を発揮できる資産があるだろうか。
資産効果は金利が低下したことによって、未来に取得する地代、利息、配当などの現在価値が高まることで発揮される。
金利が0だと、未来の利回りを現在価値で割り引くことがなくなるので、無限に利回りが保証されるならば足し合わせると発散して、計算の上では無限大になってしまう。
それに対して金利がつくと、未来の利回りを現在価値で割り引くと小さくなっていき、無限の期間があっても合計値は一定の値に収束する。
つまり、金利が低下することで価値が大きくなる資産は期間が長いほど有利になるのだ。
その対象になるのは土地と株式だろう。

土地も株式も理論的には無限に近い期間の利回りを仮定できる。
経済情勢の変化によって、使う人がいなくなって地代が入らなくなることや企業などでは倒産などの危険性はあるが、逆に地代が増えたり企業が成長して配当が増える可能性もある。
両方の可能性を考えれば、期間無限で計算してもおかしくない。

株式にも資産効果は十分働くと思うので、土地+株式で先ほどと同じような計算をしてみよう。
1975年の土地+株式の資産価値は465兆円で名目GDPの約3倍、1990年の土地+株式の資産価値は2970兆円で名目GDPの6.6倍になっている。
GDPの伸び以上の価値の上昇、約1500兆円(2970兆円−(465兆円*3))は金利低利による資産価値の向上だと考えられよう。
15年で1500兆円の伸びなのだから、1年100兆円の資産効果による利得があった計算だ。
土地だけより20兆円分資産効果の利得が増えている。

単純計算では年100兆円でも、実際には中間点の1974年では小さく、1990年に近づくにつれて大きくなっていく。
1985年からで資産効果を計算してみると、年250兆円以上になっている。
もっともこれでも単純にロジステック曲線型経済成長モデルに資産効果をあてはめた成長分を追加しても、現実の経済にはとどかない。
1990年の対となる1959年の実質国民総生産は1990年基準で65兆円、そこに250兆円を追加しても315兆円で、現実の450兆円にはほど遠い。
数式モデルとしては所詮不完全なものとあきらめるか、あるいはさらに補正することによって現実に近づけることができるか。
後の宿題として考えていきたい。

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