異をとなえん |

ロジステック曲線型成長で金利はどう変化するか?

2013.09.05 Thu

16:51:51

ロジステック曲線型成長の一番上と一番下で金利は0になるとした。
それでは、中間において金利はどう変化していくだろうか。
そして金利が最大値を示すのはどこだろうか。
単純に考えると、普及を開始した時点で金利が0なのだから時が経つにつれて段々と上昇し、普及が半ばに達した時点で金利は最大を示し、その後金利0に向かい下がることになるだろう。
そう考えていたのだが、理屈を説明しようとすると難しい。

金利は当然金融市場で決まる。
貯蓄がたくさんあり、投資先が少なければ金利は低くなる。
貯蓄が少なくて、投資先が多ければ金利は高くなる。
ロジステック曲線で考えた場合、投資先は普及率が低い時点では少なく、中間点では最も多く、普及率が高くなればまた少なくなる。
つまり貯蓄が一定であれば、単純な考えは正しい。
しかし、貯蓄は一定だろうか。
そんなことはない。
一番最初の普及率が0の段階では投資先がないのだから、誰も貯蓄しないと結論づけていた。
投資先がないのに需給が均衡するには、所得を全て消費する必要があるからだ。
つまり、普及率が0の段階から新製品が生まれて投資先が発生したとしても、その時点では貯蓄は0なのだから金利が高くても全然おかしくない。
金利は低いのか高いのか、ここで悩んでしまった。

結論から言うと金利はやはり低い。
ロジステック曲線型成長の一番上と一番下では貯蓄は0であっても、潜在的余剰はたくさんあると考えるべきだ。
狭義の意味での生産性の向上は常に続いている。
狭義の意味での生産性というのは単純に既成の製品を作り続ける場合のことを意味している。
逆に広義では、新製品も含めての生産性の話になる。
だから狭義の意味での生産性向上が常に続いているということは、生産に必要な労働は減っていくことを示している。
それなのに新製品が生まれず、需要が増えていなければ、労働時間が減っていて人々の余暇はありあまっているわけだ。
そこで革新的な製品が生まれ需要が創出されれば、それを欲しさに人々は労働時間を増やして貯蓄を行う。
つまり投資に合わせて貯蓄が生まれることになる。

投資と貯蓄は事後的に常に同じになるのだから当然の話だ。
一瞬売れ残った商品があるときは、どうなるのかと思う人もいるだろう。
しかし、経済学的には売れ残った商品は在庫投資という名の投資になるのだから、勘定は合っているのだ。
そして本質的な経済の姿でもある。

今、貸借が何もない、完全にちゃらである経済の始まりを考えてみよう。
始まりなのだから商品は何もないので、まず労働者は企業に労働を売って商品を作り賃金をもらう。
賃金が貨幣だと経済の一番の始まりなのになぜ存在するかという疑問が生まれるから、一番最初だけ企業同士が連合を組んで企業間では常に使える手形で賃金を支払うとする。
そうすると、この瞬間労働者は手形という形で賃金を全て貯蓄していて、企業は商品の形で投資をしていることになる。
つまり投資と貯蓄は一致しているわけだ。
次の瞬間、労働者は消費者となり、受け取った賃金で商品を買い消費する。
この場合も売れ残りの商品は投資扱いとなり、労働者が使い切れなかった賃金、つまり貯蓄と一致するわけだ。
商品の価格設定により一致しないのでは、という疑問が生まれるかも知れないが、商品の価格の合計と労働者の賃金の合計が一致しない部分は企業の利益や損失となり、つまりは投資家の所得へと変換される。
結局それらを含めた総体で考えれば、商品の価格合計と所得の合計は一致する。

それでは金利の話に戻ろう。
おおざっぱに考えてみると、金利というのは労働者の間の労働の貸し借りの場合のレートになる。
たとえば、ここで一人が10年働くと作れる新製品があるとする。
10人で同時に働くと、1年で一つ新製品ができて消費することができる。
10人の生産性はみんな同じで、一人一人1年ずつ新製品を手に入れるとしよう。
10年も待っていられない直ぐに欲しいという人は後に労働で返すからと、金利を支払って最初の製品を買う。
金利10%だと、他の人より毎年10%労働時間を増やす理屈だ。
残業時間を増やせなければ11年働く話になるかもしれない。
当然最後の方に手に入れる人は10年まるまる働く必要なくなる。
それが貯蓄をした効果による利息になるわけだ。

ロジステック曲線型成長においては、新製品が出た直後、欲しがる人は少なく、新規に発生した労働時間の追加分も多数の労働者に分散されるから、金利は極めて低く定まる。
直ぐに欲しがる人は高いレートを支払っていいと思っても、新規に追加する労働を安い価格でいいと思う人がたくさんいるからだ。
普及率が向上するにつれて潜在的な労働余剰は少なくなっていき、レートは上昇していく。
それでは最大値はどこになるだろうか。
それは新規に労働時間を追加しようとしても、労働者がもう無理だとあきらめる時点だ。
需要が増えていくことで生産が活発になり、後で楽ができるからと働いても、人間である以上限界がある。
残業代や貯蓄に回した場合の金利が高くなっても、割りに合わないとあきらめた時点で金利の最大値を示す。
つまり労働時間が最大に達した時点で、生産が最大化した時点だ。
ロジステック曲線型成長においては普及率が50%近辺で急激に上昇している部分で生産が極大化する。
だから金利はその近辺で最大となる。

はっきりしない部分について補足しておこう。
まず設備投資の問題がある。
今回の説明では設備投資の話が完全に抜けているが、設備投資があれば話が違うと思う人もいるだろう。
しかし、設備投資を考慮しても基本的には同じである。
設備投資は年で使用期間が定まっているが、本質的には作成個数だろう。
製品を一つ作るごとに設備は磨耗し、残り作れる個数が減っていく。
そうすると設備投資にかかる費用は最終的に新製品1個に対して幾らと厳密に定まる。
巨視的に見れば、新製品の生産個数が最大になるとき、設備投資も最大になると考えていいので問題はない。

もう一つの問題は生産が極大化したときの賃金だ。
労働者が残業をして働くときは、普通残業代として賃金が割り増しになる。
生産が極大化したときも、金利が上がらずに、残業代が上がるだけの解があるのではないだろうか。
これについてはよくわかっていない。
生産性が同じならば、労働の貸し借りによる本質的な意味での金利のレートは、追加残業ができないほど生産が極大化した時点が最大になるのは当然に見える。
けれども、それが普通の金融市場においての金利と一致するかどうかはよくわからない。
大体一致するだろうとは思うのだが、うまく理屈づけできない状況だ。

以上をまとめると、ロジステック曲線型成長では、金利は普及を開始した時点で0だが、時が経つにつれて段々と上昇し、普及が半ばに達する頃生産が極大化した近辺に金利は最大を示し、その後0に向かい下がる。
単純な事前予測通りで正しい。

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