異をとなえん |

続:円安株高への懐疑

2013.04.10 Wed

21:53:14

黒田新総裁の異次元の金融政策はとにかく大量に国債を購入して、貨幣をあふれさせようとする政策に見える。
インフレ率が2%になれば、価格が下がらない資産を買っておくと儲かる理屈だ。
その理屈が正しいか疑問はいろいろあるけれど、市場はそんな簡単な理屈を信じて、国債を買い、株式を買い、不動産を買い、ドルを買っている。
そして、みんな上がっている。
初動としては成功だ。

けれども、このルートは本当に成功するのだろうか。
インフレ率が2%でも経済成長をするには賃金の上昇が必要だ。
輸入物価が上昇することによってインフレ率が2%になるのでは、内需が減少するのだから満足に成長できるかどうか疑わしい。
少なくとも一般国民には成長の恩恵は行き渡らないだろう。
輸出が増えることでの成長が内需の減退分を上回れば経済は成長する。
たぶん、ここまでの成長はできる。
ただこれだけでは、賃金は上昇しない。
賃金が上昇するには、輸出による経済の拡大が続くことで労働力が枯渇し、失業率の低下があって始めて起こる。
ここらへんから自信がなくなってくる。

まず労働需要が増えるには、輸出企業の収益が改善し、利益が増えるだけでは起こらない。
輸出で儲かってしかたがないからと、設備投資を増やして輸出量を増やさなければいけない。
でも、輸出企業は金融危機によって、存亡の危機に直面した。
ゴーン日産社長は円安になっても、日本で生産を増やすことはないと明言している。

引用開始

【ニューヨーク時事】日産自動車のカルロス・ゴーン社長は27日、
ニューヨーク国際自動車ショーの会場で記者会見し、円安が進行しても、「日本国内から(北米に)移管した生産が戻ってくるとは正直、思わない」と述べ、円相場の動向にかかわらず、生産の現地化を進める方針を示した。

ゴーン社長は、「為替の変動リスクを抑えるためには現地化が必要」と強調。
一方、円安によって、「国内生産100万台を維持するという計画における不利な条件が減っている」と指摘した。日産は既に、北米での販売比率が高いスポーツ用多目的車(SUV)「ローグ」や「ムラーノ」の生産を九州工場(福岡県苅田町)から米国に移管することを決めている。
また、日本が交渉参加を決めた環太平洋連携協定(TPP)については、現地生産が拡大しているため、「日産への影響はあまりない」との見方を示した。 
引用終了

日本の輸出産業の主力である自動車産業が輸出を増やさない。
自動車産業と共に日本の輸出の主軸であったエレクトロニクス産業は、円安にも関わらず利益が増えるというより、やっと収支がとんとんになる段階で、輸出量を増やすところまでいかない。
実際輸出できる製品がない状況だ。

円安が続けば輸出企業の収益の改善は続くとは思うが、輸出量の増加という形で生産が増えていくにはかなり時間がかかりそうだ。
つまり労働需要の増加、賃金の増加という流れはあまり期待できない。
その場合、企業はとにかく儲かり、国民は損をしていく、そんな未来が予想されてしまう。
この状況が続くならば、日銀の金融政策は否定されてしまうのではないだろうか。

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