異をとなえん |

続:グローバリゼーションがなぜ戦いを生むのか?

2013.02.22 Fri

21:50:31

前回の記事のポイントは、グローバリゼーションが逆回転し始めると失業者が発生するので、先進国は失業者を抑えるために保護貿易に走り勝ちになり、新興国はそれを不満に持つので戦争が起きやすくなるというものだった。
そこに「失業者が発生するのは、賃金の自然な低下を、政府が邪魔するからです」というコメントをもらった。
読んだだけでは真意がわからなかったのだが、リンクした記事を読むと、賃金の自然な低下を政府が受け入れれば失業者は発生しないので最終的に戦争が起こりやすくなるというのは間違いだ、という意見と解釈した。
この意見に反論してみたい。

「失業者が発生するのは、賃金の自然な低下を、政府が邪魔するからです」というのは完全雇用状態にならないのは、政府の制度的問題という意見だろう。
しかし、古典派のいう完全雇用状態は政治的には失業者がいる状態に他ならない。

たとえば、月給30万で働いていた人が失業したが、再就職しようとすると不況によって月給20万の仕事しかなくなったとする。
そこまで賃金が下がれば、すぐ再就職しようとする人はいないだろう。
貯金で食いつなぐとか、家族や親戚をたよるとかして、求職活動を続けるはずだ。
普通の感覚では失業者に当てはまると思うのだが、古典派の経済理論では自発的失業者として失業者に入らないらしい。
労働市場の要求する賃金の均衡価格より上の賃金で働こうとする人々は自発的失業者なので、彼らが失業していても完全雇用は達成されていると解釈するわけだ。
つまり、賃金の自然な低下を拒否するのは、政府が邪魔するというよりも、まず労働者のはずだ。

しかし、彼らは求職活動を続けるのだから、統計上の失業率は当然高いままだ。
そして政治的には非常に問題が大きい。
彼らはなんらかの対策を打つようにデモ等を実施して、政府に圧力をかけようとする。
あるいは選挙でケインズ政策とか保護貿易的な措置を求める政党に投票する。
自発的失業者が国民の10%もいれば選挙で勝つ可能性は非常に大きくなる。
私はケインズ政策にも、保護貿易主義にも反対だが、政治的に発生しやすくなるのは間違いない。

だから、グローバリゼーションが戦争をおきやすくするという意見はおかしくないと思う。
もちろん政府が悪いからだという意見は正しいけれど、選挙で勝つのは国民の支持を得た政党だからだ。

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

コメント

312

商品に、誰も買わないような値札をつければ、売れ残るのは当たり前のことです。

もちろん、商品の売り手は、商品価格を下げたくはないでしょう。
でも売りたかったら、買い手がつく値段まで下げなきゃならないのです。
そんなのは、当たり前のルールですよ。子供じゃないんだから。

「売れなくても、いいんだよ」と売り手がそう思っているなら、別にそれはそれでほうっておけば良いではありませんか。

商売人が「この商品を、この値段で買え」とデモをし始めたら、それはただの馬鹿です。
そんなのは、単なる笑いものになるだけですよ。

グローバリゼーションがあろうがなかろうが、まともな社会のルールがまるでわかっていない、そんな馬鹿の子供じみたわがままを、まともに聞いて味方してやる暴力団がいたならば、そりゃ戦争も起きるでしょうね。

313 Re: 商品に

muuさん、コメントありがとうございます。

それでは、以下の2点について意見の一致を見たでよろしいでしょうか。

・労働市場に対して政治的に賃金、雇用の維持を図ろうとすることは、あまり好ましいことではない。
・労働市場に対して政治的に賃金、雇用の維持を図ろうとすることは戦争の危険性を増す可能性がある。

2点目は微妙かもしれません。
私は政治的に賃金、雇用の維持を図ろうとすることが保護貿易化を招き、それが戦争の危険性を増すのだと考えています。
「まともに聞いて味方してやる暴力団がいたならば」という言葉は、それと同じことを意味していると解釈したのですが、また別の意見にも思えます。
真意をとらえそこなっていましたら、またコメントをお願いします。

それでは。

314

グローバル化が戦争をもたらすのは、グローバル化を邪魔しようとする者がいるからである。
と、そういう意味であることさえ明確ならば、問題ありません。

「グローバル化が戦争をもたらす」という言葉は、そのグローバル化を邪魔しようとする者(つまり戦争を起こす張本人)が、盗人猛々しくも言っている場合が多いものです。

oribeさんのブログの、元記事のコメント欄に書いたことですが、

「自由貿易が戦争を起こす」というのは、(超屁理屈ですが)ある意味正しい。

「自由恋愛がロミオとジュリエットの悲劇を生んだのだ」というのと同じ意味で。

当たり前ですが、戦争や悲劇を起こしたのは、その自由貿易や自由恋愛を、既得権を守るために邪魔しようとした連中です。


つまり、自由貿易で多くの人々が幸せになることを、彼らを搾取して不当な利益を貪り続けるために、邪魔しようとする連中が、
「俺たちがその邪魔をするから、やめろ」
と脅すために言っている場合が多いものです。

315

もっと簡単に言えば、人々(消費者)を奴隷化し搾取している連中が、奴隷解放運動に対して、
「俺たちが搾取できなくなるじゃないか。不満だから暴れるぞ」
と、怒鳴っているのと同じということです。

ただ、もはやそんなことが出来る時代ではないでしょう。
これも元記事のコメント欄に書いたことですが、

グローバル化で戦争が起きるのは、それ(グローバル化)で損をする既得権益者どもが国民全体を騙すことが可能だった、20世紀マスメディア時代という特殊な時代の話。

今「グローバル化で戦争になるぞ」などと言っているのは、未だにマスメディアにそんな力があると思い込んでいる、化石人間の最後の絶叫として笑われるべきものでしょう。

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURLはこちら