異をとなえん |

続:韓国は離米従中を選択するか?

2013.02.15 Fri

21:53:19

前回は、韓国が離米従中を選択することはないと主張した。
その理由について述べたい。

まず第一に重要なことは、韓国が本当に中国市場に依存しているかだ。
韓国の中国への輸出依存度が高いのは、中国で加工した製品をアメリカに輸出しているからだ。
韓国で作成した部品を中国に輸出し、それを中国の人手で組み立ててアメリカや先進国に輸出する。
中国の成長の図式はこのように語られてきたし、実際最近出たOECDの付加価値貿易統計でもそのことが裏付けられている。

OECD/WTO貿易付加価値(TIVA)データベース:韓国(PDFファイル・英語)を見ると、2009年の単なる中国への輸出依存度は27%ぐらいだが、付加価値ベースで評価すると19%ぐらいでしかない。
それに対してアメリカは双方とも13%ぐらいだ。
日本に対しても付加価値ベースでは9%ぐらいで、アメリカと日本を合わせると22%と中国を上回っている。
貿易黒字という観点から見ると、単純な計算では韓国は中国に対して569億ドルの貿易黒字を計上している。
しかし、付加価値ベースでは104億ドルまでに減少する。
同様にアメリカへの貿易黒字は単純計算では30億ドルだが、付加価値ベースでは109億ドルとなる。
つまり韓国の輸出は本質的にはアメリカと中国に同じぐらい依存しているのだ。

結局韓国はまだまだアメリカと日本の経済圏から離脱しているとは言いがたい。
アメリカと中国が対立し、貿易が遮断されるような状況になれば、韓国がどちらについたとしても同じように経済に打撃を与えるだろう。
その時日本がアメリカに付くならば、間違いなく中国を失うより影響が大きくなる。

今の分析は2009年だから中国の成長によって変わってくる可能性はあるだろうか。
中国のGDPが急成長していると言ってもまだアメリカよりは小さい。
今後中国がアメリカのGDPを上回ることになったとしても、一人当たりGDPでの逆転は遠い先の話だ。
中国の一人当たりGDPはようやく5000ドルを超えたくらいで、1万ドルに届くのはまだまだ大変といっていい。
中所得国のワナと知られる、成長の停滞現象は、一人当たりGDPがある程度の段階にたどり着くと、低賃金の労働力がなくなることによって起こる。
中国の成長というのは、外資から資本と技術を導入し、無限にあると思えた低賃金の労働者を働かせることで達成した。
低賃金の労働力がなくなった時点で、新たな付加価値を生み出せなければ成長できない。
しかし、言われたままに働いていた人間が急に発明を生み出すようなどできはしない。
そのための努力と時間が必要だ。
そうできるように、国家と社会の仕組みを変える必要が中所得国のワナを生み出すことになる。
そして、変革に成功していない国も多い。
中国が中所得国のままでは、国内市場もそれほど大きくはならない。
韓国の中国に対する依存度がそれほど上がるとも思えないわけだ。

さらに韓国の貿易で代替不可能な製品は何かという話がある。
石油を一カ国から輸入していて、他に輸出してくれる国がなければ額がどうこうよりも実際の経済の依存度は大きいはずだ。
中国への輸出は中所得国が必要とする製品の輸出のはずだ。
公共投資や設備投資のために必要な製品だろう。
これらの製品は他の中所得国、たとえばASEAN諸国に対しても輸出が可能だ。
つまり中国への輸出が閉ざされたとしても、他の国で代替できることになる。
それに対してアメリカや日本への貿易が代替可能かは難しい。
そもそもアメリカの経常赤字が世界の新興国の成長を促してきた。
アメリカに対して輸出ができなくなれば、韓国は成長自体できなくなるかもしれない。
また日本からの輸入は、輸出するために必要な部品や素材であり、それらを加工するための設備や機械だ。
韓国は日本からの輸入を制限して、日本に対する貿易赤字を減らそうという政策をいろいろと続けてきた。
それがいっこうにうまくいかないのは、日本が供給する製品が輸出するために必要不可欠な製品だったからだ。
だから日本との貿易が遮断されれば、経済システム自体が動かなくなる可能性がある。
つまり、米中対立が起これば、韓国は中国よりも日米との貿易を選ぶべきということだ。

韓国が中国との関係に気を遣うのは理解できる。
米中が対立すれば、最前線に立つ韓国が大きな被害をこうむるのは確かだろう。
だから米中の間で中立的な立場を取りたくて、「離米従中」と見える外交路線を取っているように見えるのかもしれない。
けれども、それは中立を目指すものであって、中国に完全に従属する路線と解釈するのは間違っている。
そして、経済的に韓国がアメリカや日本に強く依存していることを考えると、最終的にはアメリカにつくしかない。

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