異をとなえん |

続:中国は戦争を望むのか?

2013.01.15 Tue

21:51:05

前回は中国のメッセージの意味を分析したが、その真意については考えていなかった。
下記の人民日報全く現実離れした安倍政権の対中「包囲網」構想という記事から、そのことを考えてみた。
こういう記事はたくさん載っているのだが、要するに「正義は我にあり、長期的に中国の勝利は疑いなし」と主張している。

引用開始

 第1に、中国は筋が通っている。釣魚島問題では日本の挑発が先で、中国の反撃は後だ。ましてや日本が不当で非合法な手段によって釣魚島を奪い取った歴史があるため、日本が自らのロジックを国際社会の他の国々に信じさせることは困難だ。安倍氏とその内閣はすでに国際世論において「極端な民族主義」と「タカ派」のレッテルを貼られている。対中強硬姿勢を選択すれば、地域に緊張と不安定をもたらしていると国際世論から認定されるだけだ。

(中略)

 第3に、中国には成算がある。対日関係の処理における中国の不動の力はここにある。日本が中国に対してやりたい放題できた日々はとうに過ぎ去り、もう戻っては来ない。中国は日本の様々な挑発と手口に対処するに十分な実力と手段を備えている。アジア太平洋地域と全世界を見渡しても、中国を敵に回すことを図る、または望む国は1つもない。日本が中国と一部の国の摩擦を利用してその離間を図ることは、ごく一部の国とごく一部の問題で多少うまくいくかもしれないが、こうした国々に中国との対立を強いようとするのは、全くの一方的願望に過ぎない。
引用終了

それなのに、なぜ中国はかくも必死に自分たちの政策の正当性を国民に訴えるのか。
正義はともかくとして、長期で見れば中国の国力は増大していくと多くの人が見ている。
日本国内では中国に対する懐疑派も多いと思われるが、アメリカのGDPには届かなくとも、日本が中国のGDPを抜き返せると考える人は少ないだろう。
長期はともかくとして、ここ十年位ならば、GDPも年8%ぐらい成長する可能性が大きいし、日本が今みたいな低成長ならばGDPは大差となる。
欧米の未来予測を見ると、日本は中国に取り込まれていくと予想する人も多い。

GDPはまだ不明確にしても、中国の軍事力が10年ぐらい拡大していくことは確実と思われる。
中国国産空母も建造され、実戦投入可能なレベルにまで到達するだろう。
つまり、今戦わずに十年先に戦った方がずっと勝ちやすい。

自分たちに正義があって、長期的な勝利が確実ならば、もっとゆとりを持って欲しい。
圧倒的な戦力差なら日本も戦う気力をなくす可能性があるはずだ。

中国は自分たちの長期の成長性に自信が持てず、それで早めに奪還したいと考えている可能性もある。
でも、高度成長が続き、生活が確実に豊かになっている状態で、自信喪失に陥ることはないだろう。
そうすると、中国国内の不満を外に向けるという、典型的な対外強硬政策の理由しかない。

国内の不満を外国にぶつけさせて、ガス抜きし、政府に対する文句を抑えるというのは、昔からよく言われることだ。
実際中国の報道で野田政権が尖閣諸島で強硬になっている理由は、支持率を上げるためだと主張していて、新鮮だと思った覚えがある。
日本国内も停滞が長く続いているので、潜在的に不満を持っている人は多い。
国内の雰囲気がささくれだっているので、中国や韓国を嫌いな人が増えている面は確かにある気がする。

中国もマグマのような不満が国内に充満している。
今にも爆発しそうな感じだ。
都市住民は量的な生活の充実はある程度達成できたのだが、質的な面ではまだまだだ。
自動車や家電製品が一通りそろえば、北京の大気汚染みたいな環境の悪さが気になってくる。
医療制度や年金制度の不備が未来に対して不満を誘い不安になる。
食品汚染もひどい。
特に都市に出てきた出稼ぎ農民層は、戸籍法によって満足に年金や教育も受けられない。
対日デモではそれが爆発した。

国内の不満をとにかく外に向けたいということで、日本が対象になってきた。
反日を共産党の存在理由とし、日本に対するデモならばそれを許可してきたようなこともあって、政府は日本に対して弱腰になれない。
猛烈に圧力のかかった大気ボンベの中で唯一の出口が日本という所だろうか。
その圧力を受ける形で軍部が対日強硬政策を実行している。
穏健派は全面衝突が嫌でも、抵抗するすべがない。
外交的には日本が妥協してくれと祈りながら、押しているのかもしれない。

結局、日本に対して弱腰になれないほど、中国内部で相当な不満がたまっているのだろう。
そして高齢化した中国の集団指導部には、それを押さえ込むだけの力がない。
日本と全面衝突して敗北した場合、中国政府が崩壊する可能性もある。
日本としては中国が暴発する危険性があることも考えつつ対処するしかない。

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