異をとなえん |

中国は戦争を望むのか?

2013.01.14 Mon

21:44:08

中国が尖閣諸島の問題で、強硬姿勢を強めている。
下記は人民日報のもっとも過激と思われる環球時報の社説の転載記事だ。
危ない言葉がちりばめられている。

曳光弾発射は中日を戦争の瀬戸際に追いやる
釣魚島への軍用機出動は中国世論の主流

決定的な言葉を引用しようと思ったのだが、そういう観点から見ると必ずしも適切なものがない。
むしろ、戦争という事態にいたらないように自分から仕掛けない自制を求めている。

引用開始

 中国は近代以降、日本に虐げられ尽くしてきた。釣魚島についてはこちらから衝突を起こしはしないが、ひとたび衝突が起きれば、中国は全ての手段を用いて日本を懲罰し、勝利を確保しなければならない。甲午戦争(日清戦争)の現代縮小版にしては断じてならない。もしそうなれば、中国社会における政府の威信が地に落ちるのは必至だ。
引用終了

引用開始

 今回の手に汗握る角逐について中国社会全体が重要な共通認識を形成し、それらをいかなる時でも揺らぐことのない決意にしなければならない。第1に日本のいかなる挑発にも断固反撃する。中国は先に発砲はしないが、軍事的報復にいささかの躊躇もしない。第2に今後も戦争行為の規模を自ら拡大はしないが、戦争のエスカレートを決して恐れもしない。第3にわれわれの戦略目標は限定的なものであるべきだ。つまり中国の釣魚島政策の受け入れを日本に余儀なくさせることであり、日本と「まとめてかたをつける」まで拡大することではない。

 中国は極端な挑発に遭った時、いかなる相手であろうと果敢に軍事的に対抗しなければならない。だが同時に、歴史の復讐という激情に飲み込まれることなく、冷静さを保たなければならない。軍事的対抗の最終目的は中国に対する対戦相手の様々な野心に打撃を与え、中国の平和的発展のための戦略環境を守り、あるいは再建することだ。
引用終了

つまり、仕掛けてきたら絶対にやり返すことを主張しつつ、実は自分から仕掛けるなというのが主張の本意なのかもしれない。

日本側の受け止め方はどうだろうか。
「北京のランダム・ウォーカー」というシリーズ記事を書いている近藤大介氏の最新記事は次だ。

日中開戦 習近平新政権にとって、後退するという選択肢はない

中国人へのインタビュー的な記事なので、中国側の主張は必ずしもはっきりしない。
ただ危ない雰囲気を漂わせて、戦争も辞さないことを暗に示している。

しかし、近藤大介氏の記事は、「胡錦濤の面子が潰れたから反日デモが起こったというのは、中国の宣伝工作だ」で示しているように、中国側の宣伝も伝えている。
つまり、中国は宣伝として、日本に「絶対に後退することはない」と主張していると思われる。

中国側は尖閣諸島が領土紛争だという認識を日本に認めさせれば勝利だと考えているのだろう。
そのために、ぎりぎりまで強硬策、船舶や航空機などの尖閣諸島への領海領空侵犯行為を貫いてくる。
両国の戦闘機が直接対峙すれば、偶発的戦闘の危険性は高まるが、中国から発砲しないと言明している以上、責任は日本にあるというわけだ。
責任は日本にある、と誰が誰に言うのかと言えば、中国国内強硬派が中国国内の穏健派に言っている。
外交当局などは戦争の危機をたぶん嫌がっていると思うのだが、戦争を仕掛けないと軍部に言われれば受け入れるしかない。
本当に戦闘が起きたら、日本が仕掛けたのだから防げなかったと弁解することになる。

日本はどう対処すればいいだろうか。
日本も戦争はしたくない。
だからと言って、日本も後退することはできない。
日中の間で外交交渉によって、なんらかの妥協が図れればいいのだが、一日交替で日中が交互にパトロールするなど受け入れるわけがない。
日本が尖閣諸島を完全に自国領と主張している以上、いかなる中国側の権利も認めることはできない。
そうすると、外交での妥協は望みがないだろう。

結局、現場での日中間のあうんの呼吸による合意しか道はないだろう。
中国側が戦闘行為に出ないと信じて粘り強く対処するしかない。
航空機による領空侵犯行為は物理的に阻止しようとすると、事故になる可能性が強い。
そこで基本は相手機に近づいて警告するだけだ。
船舶による領海侵犯行為は大きな船で立ちふさがれば阻止できる。
海上保安庁の船舶の質と量を充実させて対応するべきだ。
曳光弾発射は中国側もエスカレートせざるを得ないだろう。
日本が本当に撃ち落す気がないならば、やめておいた方がいい。

不毛な行為に見えるかも知れないが、延々と警告を続けていく、それだけしかない。

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539 続:中国は戦争を望むのか?

前回は中国のメッセージの意味を分析したが、その真意については考えていなかった。 下記の人民日報全く現実離れした安倍政権の対中「包囲網」構想という記事から、そのことを考えてみた。 こういう記事はたくさん載っているのだが、要するに「正義は我にあり、長期的に中国の勝利は疑いなし