異をとなえん |

オバマ再選は大恐慌の前兆だろうか? - アメリカは財政の崖を落ちるのか?(その4)

2012.11.08 Thu

21:43:56

アメリカは財政の崖に落ちる危険性が高くなっている。
オバマ大統領の再選はむしろ危険性を高めている。

ケインズ政策の本質は前からも述べているように、共同体による失業者の救済だ。
国債が国内で消費されているならば、国民が失業者に対して援助をしていることになる。
失業者が後で働けるようになって、借金返済の役を果たせるならば問題はない。
そうならなくても、国民の間で同質性が高く、誰が失業者に援助したのかよくわからない場合も問題はないだろう。
問題は国内において貧富の格差が大きく、失業者が貧乏のままで国債を返却する場合に何の役割も果たせないときだ。
そうすると、国家の資産を所有している人たちに最終的には増税という形で負担が帰ってくる。
その時点で嫌だといっても、拒否できない。
ギリシャに見られるように、国家財政が破綻した場合強制的に取り立てられるのだ。
所得税を増やせなければ、本来ならもらうことができた年金を減らされるとか、資産に対して課税されるとかで実行される。
それが嫌なら、借金をして財政支出を増やすときに反対するしかない。

EUにおけるドイツとギリシャの関係が一番それに合っている。
ギリシャは借金を増やすことで少しでも国内の痛みを緩和しようとしている。
でもほとんど返す見込みがない。
だとしたら、その借金の負担を持つのは貸し手そのものだ。
ドイツ国民がギリシャ救済に対する反対姿勢を強めているが、当然のことだといえよう。
今反対しなければ反対するときはない。

それではアメリカの場合はどうだろうか。
アメリカは貧富の格差が拡大している。
国内の上位1%に金融資産の50%が集中しているというのが現実だ。
アメリカ経済の今後の成長がままならないとしたら、結局上位1%が負担を持つしかない。
上位1%は言い過ぎか。
たぶん上位10%で資産の80%ぐらいを持つだろうから、上位10%で負担を持つことになるだろう。
問題は彼ら上位10%が失業者に対して援助する連帯感を持てるかという話だ。
アメリカは明らかに分裂しつつある。
今回の選挙では、オバマ支持層とロムニー支持層の間ではっきりと人種が分かれている。
マイノリティはオバマに入れ、白人はロムニーに入れた。
人種の違いは所得の違いを示している。
貧乏人はオバマに入れ、金持ちはロムニーに入れたということだ。
つまりアメリカの白人は黒人やヒスパニックを援助したくない。
そういうことではないだろうか。
だとしたらケインズ政策は難しくなっていく。

オバマが勝ったほうが財政の崖に落ちる危険性が高くなるというのは、支出においてどちらの層を優遇するか異なってくるからだ。
先ほどのEUの場合で考えてみよう。
景気の悪化を防ぐために、財政支出の拡大が必要になった。
そこでEU全体で国債を増やして支出を拡大するのだが、メルケルが支出を差配したらドイツの公共投資を実行するだろう。
それに対してギリシャの首相が支出するのだったら、ギリシャで予算を使うことになる。
最終的な負担はドイツが取らなくてはならないとしても、それだったら国債で得た資金をどこで使うかは大きな問題となる
ドイツで使うのだったらドイツ国民は妥協できるかもしれない。
でもギリシャで使うのだったら我慢できない。
この場合経済効果自体は基本的に同じである。
ドイツで支出すればドイツにギリシャの輸出が伸びる形で資金が動き、経済を活性化させる。

アメリカの場合も同じだ。
ロムニーが大統領となれば、ケインズ政策によって上位10%に資金が流れる形で支出する可能性が強い。
オバマが大統領だと上位10%に資金が流れることに反対する可能性が強い。
実際オバマはブッシュ減税の延長で高所得者を適用外にしようとしている。
そうすると、そもそも上位10%はケインズ政策自体を拒否しようとするだろう。
だから、オバマと下院の対立によって財政の崖に突っ込む危険性が高くなってくる。
財政の崖に落ちれば世界経済は大恐慌の再来を迎えるかもしれない。

オバマ再選によってダウが大幅に下落したことは、その前兆にみえる。

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