異をとなえん |

アメリカは財政の崖を落ちるのか?

2012.11.02 Fri

21:40:14

世界経済全体が保護貿易に走っているというのが、私の未来予測だった。
この道を回避する方法はあるのか。
そのことを考えてみたい。

まず、超基本的なことではあるが、私は現在の世界全体の不景気を覇権国交替の際に起こる現象だと考えている。
技術革新が飽和したことに伴う利益率の低下、資産価格の低下、デフレの発生がその現象だ。
日本でもバブル崩壊後に発生した現象だが、基軸通貨ドルの経済圏において起こっていることが違う。
円経済圏においても、ドル経済圏においても、本質的には技術革新によって抜けるしかない事態だが、他国が成長することで、それに追随して状況を改善できる。
日本経済の場合は、不良債権処理を実行することでアメリカ経済の繁栄のおこぼれを預かった。
それで一時的な好景気を得たわけだが、アメリカ経済の景気が悪くなるにつれて、不景気に転落している。
アメリカ経済の場合も、他国の繁栄に追随することで成長を回復できるだろうか。
それはありえない。
他国の繁栄に追随するというのは、基軸通貨国としての特権を失うことだからだ。
基軸通貨国としての特権を失えばアメリカ経済はさらに不況に沈むことだろう。
だから、技術革新による自律的な成長が戻らなければ、アメリカ経済の復活はない。

とまあ、いきなり理屈を並べてみたが、普通に読んでいたら何がなんやらということだろう。
そもそもこの理論があっているとしても、アメリカは本当に構造的な不景気にあるのだろうか。
一時的な景気循環に過ぎないと、なぜ言えないのだろうか。
実際、アメリカ住宅市場の持ち直しとシェールガスによるエネルギー価格の低下で、アメリカ経済は回復しつつあるというような記事が朝日新聞に載っていた。
そうならないとなぜ言えるのだろうか。
これについては、シェールガスによってアメリカ経済がどのくらいの利益を得ているかを計算し、資産価格の低下による悪影響をどのくらい緩和しているかを調べる必要がある。
実際私もだいたいでいいから計算する必要があると思っているのだが、何を調べればいいかよくわからず停滞中だ。
しかし、答えを推測する方法はある。
それはアメリカの国債金利の動向だ。
景気が良くなるならば国債金利は上がるし、景気が悪くなるならば国債金利は下がる。
現在のアメリカ国債の十年金利は1.7%前後にとどまっているが、長期的に見てみると、リーマンショックから金利低下は続いている。
もっともさらに長期で見てみれば、第2次石油ショックのころからずっと下がり続けているのだが、そのことはおいておこう。
金利低下が続いているのはアメリカ経済の先行きに自信が持てないからだ。
だから、はっきりとしたトレンドの反転がなければアメリカ経済は復活しないと言える。
もちろん今がちょうどその反転した時期という可能性はあるが、それについてはまだよくわからない。

とりあえず、アメリカ経済の不景気は構造的なものとして推論をすすめる。
構造的というのは、バブル崩壊後の日本経済が循環的な景気変動はあったにしても、長期的に落ち込んでいるという意味だ。

この不景気が循環的なものではなくて、構造的なものであることには一つの重要な証拠がある。
それはアメリカの経常赤字だ。
アメリカの巨額の経常赤字の垂れ流しは止まっていない。
すでにアメリカの対外純債権はマイナスになっている。
常識的に考えれば、これは維持不可能だ。
維持可能にするには、オーストラリア経済のように自国に流れ込んだ資本によって、それ以上の資産が積み上がらねばならない。
オーストラリアは対外資本による鉱山開発が進んで、自国の資産が増えている。
それが累積した対外債務の返済を保障し、経済成長を可能にする。
アメリカ経済にその条件が整っているか。
アメリカに流れ込んでいる資金は、成長のための資金ではない。
成長する分野がないために仕方がなく国債にとどまっている資金だ。
到底永続性を維持できるものではない。
だとしたら、それを解消できない状況が続いていることこそが、構造的な不景気を生んでいるのだろう。

なんか保護貿易政策が発生するかどうかの話をしようとして、全然そこにたどりつかなかった。
タイトルとも一応結びつけるつもりなのだが、それはさらに遠い。
そこにたどり着けるようにがんばる。

この項続く。

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURLはこちら

521 続:アメリカは財政の崖を落ちるのか?

前回の記事では、アメリカの経常赤字が続いていることを構造的な不景気の理由とした。 永久に経常赤字を続けることはできないから、それを解消できない状況が続いていることこそが不景気を生んでいるという理屈だ。 しかし、この理屈自体は間違っていることに気がついた。 シェールガスによってアメリカの資源の価値は増大した。 だとしたらその分資産は増えているのだから、当然借金できる限度額自体も増