異をとなえん |

続:覇権国の交替理論

2012.10.17 Wed

21:19:35

前回はバブル崩壊によって覇権国が保護貿易に走り、そのため輸出で利益を上げていた国が世界秩序に挑戦する国に変貌するところまで説明した。
今回はその続きだ。

バブル崩壊によって保護貿易主義が広まったところで、世界は三つの種類の国に分かれる。
まず覇権国だ。
覇権国の金融システムを支えていた国もここに含まれる。
覇権国は金融に特化しているので、金融システムが成長を止めると、これらの国も成長することは難しくなる。
しかし、元々が極めて繁栄している国々だったので、世界の秩序を変革しようなどとは考えない。

次に覇権国に変わって、最先端の産業を進歩発展させていた国がある。
次期覇権国候補だ。
覇権国は金融業の利益が巨大なので、人材や資源が金融業に集中していく。
すると、それ以外の産業がどうしても手薄になっていく。
金融業には進出できないけれど、技術的には覇権国にほぼ追いついていた国が最先端の産業の支配権を握るようになる。
この国は最先端の製品を輸出するので、保護貿易主義による影響を強く受けない。
他の国には作れない製品を作っているからだ。
また一人当たりGDPも覇権国に追いついているから、成長しようとする強迫観念は強くない。
だから、世界秩序を変革しようとする意識はそれほど持たない。

上記以外の国が世界秩序挑戦国となる。
どこの国でも作れる製品を作っているので、保護貿易主義が広がると輸出を増やすことができない。
だから、技術の劣位国は輸出ではなく、自国の内需によって成長することが望まれる。
でもそれは簡単にはいかない。
消費を増やしていくメカニズムがないからだ。
労働者の賃金は他の要因が変わらなければ増えないから、消費を増やす力がない。
技術進歩こそが、真に消費を増やす仕組みだが、そもそも劣位国では技術進歩を生み出していく仕組み自体がない。
今までは先進国からの技術導入で間に合わせたからだ。
残るのは資本の投入による生産性の向上だが、覇権国でのバブルの崩壊によって輸出ができなくなれば、資産価格自体が下落する。
その状況では資本は投入できない。
結局消費は増えず、内需が拡大しない状況になるわけだ。

世界秩序挑戦国は技術が遅れている以上、一人当たりGDPも低い。
それが成長できない状況に陥れば、不満も高まってゆく。
世界秩序を変革することで成長を目指そうと考えてくる。

また、世界秩序挑戦国が他の国と大きく違うのは輸出中心に成長してきたので生産能力自体は非常に高いことだ。
だから余剰生産力をケインズ政策による公共投資に投入して、成長を回復しようとする。
公共投資といっても、世界の秩序に不満を持つ以上、一番投資したくなるのは軍事力だ。
軍事費を拡大して余剰生産力をそこに注ぎ込み、強化した軍事力で一気に世界秩序を変革することを目指す。
この場合の世界秩序の変革というのは、覇権国が世界に張り巡らした投資を奪い取ることだ。

世界秩序挑戦国が世界秩序に挑戦すると、覇権国は自国の投資を奪われては困るから、世界大戦が勃発する。
この場合次期覇権国候補がどちらにつくかが、決定的に重要かもしれない。
基本的に次期覇権国候補は現在の世界秩序にそれほど不満がないので覇権国側につきやすいが、特に決定的要因はない。
次期覇権国候補のついた陣営が勝利するので、結局次期覇権国候補がリーダーとなって世界秩序を再構築し、覇権国に繰り上がることとなる。
この大戦と同時並行して、次期覇権国候補が技術進歩を再開させれば、世界全体の経済成長が復活する。

これが私の考える覇権国の交替理論だ。
中国の状況をいろいろと考察する内に、現在の中国と戦前の日本がとても似ていると思った。
その理由を考察すると、現在の中国と戦前の日本が世界秩序挑戦国だとするのが一番わかりやすい。
そのために覇権国の交替理論をまず説明した。
次回は現在の中国と戦前の日本が世界秩序挑戦国だから似ていることを説明したい。

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURLはこちら