11月の中国消費者物価、6.9%上昇・11年ぶり高い伸び
【北京=高橋哲史】中国国家統計局が11日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比6.9%の上昇となった。1996年12月(7.0%)以来、11年ぶりの高い伸び率。物価上昇は食品以外の品目にも広がる気配をみせており、中国政府は今後、インフレ警戒を一段と強めるとみられる。
10月のCPI上昇率は6.5%だったが、11月はさらに高まった。中国政府は2007年のCPI上昇率を「3%以内」に抑える目標を掲げていたが、大幅に上回るのは確実だ。
品目別では構成品目の約35%を占める食品類が18.2%上昇し、全体の上昇をけん引した。豚肉や食用油などの伸びが引き続き目立った。食品以外ではこれまで3―4%程度だった住居関連が6.0%と上昇幅を拡大。光熱費や燃料価格の高騰が響いたほか、住宅市場の過熱から内装費用なども上がった。(11日 21:13)
8月の時と比べてみると、8月のCPIは6.5%で食品の上昇率は18.2%、食品以外の上昇率は0.9%だった。11月は、CPIは6.9%で食品の上昇率は18.2%。食品以外の上昇率は表示されていないので計算してみる。18.2 * 0.35 + x * 0.65 = 6.9が成り立つから、これを解いて、x = 0.8になる。
おかしい。食品以外の上昇率が減少しているのに、CPIは上昇している。「品目別では構成品目の約35%を占める食品類」と書いてあるのでウエイトが0.35としたがこれがおかしいのかもしれない。構成品目は約35%だが、ウエイトとしては8月に計算した時のように、0.324でいいのだろう。これで計算する。18.2 * 0.324 + x * 0.676 = 6.9が成り立つから、これを解いて、x = 1.48になる。食品以外の上昇率は1.48%で、まあらしい数字が出た。
しかし、この数字は本当に意味のある数字なのだろうか。8月の時私は下記のように書いていた。
第一、原油もずい分上がったと思うのに、0.9%しか上昇しないなんて事があるだろうか。と思って、原油価格の変遷のサイトを見ると、2006年7月はバーレル当たり67.97ドル、2007年7月はバーレル当たり69.29ドルでほとんど変わっていない。日本の入った原油の価格だが、中国もあまり変わりはないだろう。去年、原油が上がったというのは私の錯覚だった。
しかし、そもそも中国でのガソリン恐慌で、調べたヤバッ!ガソリンねーぞを見ると、「中国内地の製油は政策による制限を受け石油価格の調整はずっとなされず」とあるように、ガソリン、灯油は価格統制されていて原油の輸入価格を反映していない。つまり、原油の輸入価格を見て意見を言っている私は間抜けなのである。
しかも、油不足深刻だが、チップを払えばたくさん給油 - 最近の中国のニュースから - 楽天ブログ(Blog)を見ると、
「規定では一回に200元分の軽油しか供給しないけど、給油所の店員に10元、20元のチップをやると、満タンにしてくれるよ」、陳さんは最近給油所で油を入れるのに並んだが、こんな経験をした。
とあるように、軽油の価格は実はまったく意味がなくなっている。上の例では明らかに、軽油の価格は200元ではなく、もっと高い。でも幾らかなんて出しようがない。これを見ると、食品以外の物価上昇率が1.48%なんて信じられない。このCPI消費者物価指数をどこまで信用していいかまるで自信がなくなってきた。
結局、言えそうなことは、中国政府も物価上昇が深刻なのは認めざるを得なくなったということぐらいか。疑問を持つと、「前年同月比6.9%の上昇となった。」というのも怪しいかぎりである。「1996年12月(7.0%)以来、11年ぶりの高い伸び率。」とあるから、7.0%を超えないように数字操作しているのではないだろうか。