異をとなえん |

ケインズ政策の何が間違っているのか?

2012.08.24 Fri

21:31:10

経済学者はバカなのか「さっさと不況を終わらせろ」

上記の記事を読むと、ケインズ政策に反対する経済学者はバカらしい。
ケインズ政策に反対し、自分はバカでないと思っている人として、反論したくなった。

まず、なぜケインズ政策に納得できるのかが、私には不思議だ。
たぶんケインズ政策によってGDPが増えるのだから正しいと考えているのではないか。
そして失業率が減少することは望ましいと。

でも本当にGDPが増えることはいいことなのか。
たとえばケインズ政策では、政府支出の増加によって、穴を掘って埋めるだけの仕事をしても、その仕事代分GDPは増加する。
しかし、そのGDPの増加には意味がない。
少なくとも、失業者にその金を仕事せずに渡した方が、国全体の効用としては増えているはずだ。
失業者は費やした労働を別のことに回せるからだ。

だから、普通はなんらかの効用を持った公共事業をしろと、ケインジアンは言っている。
でも、その効用は本当に意味を持っているのか。
たとえば地震による津波で島が大きな被害を出した。
この被害を二度と出さないように、津波を防ぐ施設を建造して復興させた。
けれども、その島から住民が移転していなくなったら、その公共投資に意味はあるのだろうか。
つまり、本質的に政府が正しい公共投資をするかは不明なのだ。

もっとも政府は社会が必要とする公共投資をしなくてはならないのは当然だが、それは好不況と関係ないはずだ。
好況でも必要ならば投資する必要があるし、不況でも無意味なものは無意味だ。

失業者が減少するのは望ましいことではないのか、という意見があるかもしれない。
実際社会で活動しないでいると人間が不良資産になるという話だ。
問題なのは、その活動をすると本当に経済的な価値が上がるかということだ。

日本はバブル崩壊後、公共投資を大幅に増やした。
建設業者は増え、建設業の労働者も増えた。
でも政府の公共施設の建造は無駄であるという世論に押され、近年大幅に公共投資は削減されていった。
それに伴い建設業の労働者も減少しているけれど、公共投資は労働者に対する人的投資として正しかったのだろうか。
私は懐疑的だ。

だから、ケインズ政策が問題なのはGDPが増えて、失業者が減少すること、それ自体なのだ。
「ロビンソンとフライデーの話」で書いているが、資産価格の下落によるバランスシート不況では、新しい成長分野を見つけだす必要がある。
その新しい分野を開拓するために、今やっている仕事をやめて、挑戦する人たちが必要となる。
だから、不況による失業者の増加は正しい道だ。
失業者が政府の公共投資による仕事に従事して、頭を使わなければ新しい模索はありえない。
あるいは、政府が前と同じだけの所得を失業者に保証したら、たぶん失業者は新しい仕事を探す気力を失うだろう。

私の意見は失業者への生活保障は一切ダメとか、公共投資は一切ダメという意見ではない。
飢えて死ぬような話ならば援助は当然だろうし、不況によって金利が低下するのだから必要な公共投資はやった方がいい。
大事なのはそれで景気を立て直すのではなく、病が重くならないように安静にさせることだ。

重要なのは失業率が上昇して新しい仕事を見つけようと努力していくこと、それ自体だ。
努力ではGDPは上昇しない。
努力が社会の中で受け入れられて、始めて価値を生み出す。

私の場合を例に挙げれば、この失われた20年に自分としては経済学に対して多大の貢献ができる理論を考え付いたと思っている。
そして、この貢献を本などにして、収入を稼げるようになれば、努力が実を結び、GDPを成長させることになる。
けれども、世間が私の理論を単なる妄想というか、読む価値がないものととらえれば、当然効用は0で、GDPは全く成長しない。
つまり暗中模索の中の努力は、無価値かもしれないし、価値があるかもしれない。
でもそれは終わった後でなくては、わからないのだ。

とはいえ、新しく価値を生み出す、成長する、ためには暗中模索が必須であることは当然だ。
GDPは暗中模索中増えないけれども、それは必要な期間になる。
そして、今までの歴史から考えると、人間は必ず新しい成果を生み出し、再び成長できるようになるのだ。
その進歩を遅らせる点でケインズ政策は間違っている。

もう少し追加したいことがあったのだが、それについては明日に。

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURLはこちら

490 続:ケインズ政策の何が間違っているのか?

前回の記事では、ケインズ政策がGDPを成長させ失業率を減少させることが問題だと書いた。 けれども、普通の経済学者は基本的にGDPが成長することを歓迎している。 それではアメリカなどでケインズ政策に反対する経済学者の理由は何だろうか。 ケインズ政策の本質は金持ちから失業者への援助である。