異をとなえん |

生産性が向上しているのになぜ生活は良くならないのか? - 交易条件の悪化は基本的に良いニュースである(その4)

2012.07.26 Thu

21:00:44

昨日の記事では疑問点として、日本の生産性は向上しているのに生活がそれほど良くなっていないことを挙げた。
この理由は何だろう。

まず、交易条件が悪化していることだ。
いきなり、今まで述べてきたことを否定しているようだが、交易条件が悪化していることが生産性の伸びをあらわしていることは正しいけれども、生産性が伸びたことによる利益をどう分配しているかを示してはいない。
日本の交易条件が悪化したのは、生産性が伸びた利益のほとんどが相手国に流出している可能性を示している。

日本と韓国は競争相手国として、同種類の製品を作って競合していった。
船舶、鉄鋼、半導体、液晶パネル、高画質テレビなどは、韓国と激しく競合し価格競争に陥っている。
その結果それらの製品の価格は下落の一途をたどり、日本企業は利益を出せなくなってしまった。
倒産に追い込まれている企業も大きい。
生産性の上昇による利益が貿易相手国にほとんど出て行ってしまったわけだ。
これは韓国も同じで、日本より輸出対象製品が絞られている分、より交易条件が悪化しやすい。
円高は交易条件を改善してもおかしくないはずだが、実際は韓国と競合することによって、円ベースではさらなる価格下落を迫られて、むしろ交易条件を悪化させている。

しかし、日本は韓国よりずっと幅広い製品を作っている。
限られた市場で高シェアを誇っている企業も多い。
そういう企業は価格を維持できるはずだ。
けれども、日本は需要不足から起こるデフレがずっと続いている。
国内では激しい競争が起こっているので価格を上げにくい。
また賃金も下降気味なので、価格を上昇する力が働きにくい。
それが日本の輸出価格を押さえ気味にし、全体として考えれば下落させている。

そして、昨日の記事では交易条件の悪化は生産性の上昇の違いだけと解釈していたが、実際は資源の希少性からくる交易条件の変化もありうる。
特に2000年代の原油価格の上昇は非常に大きなもので、1998年が底の1バーレル15ドルくらいだったのが、2008年には100ドルまで上昇し、今もだいたいそのぐらいの価格だ。
日本は原油輸入国として、その影響をもろに受けた。
実質賃金が上昇していることは生産性の上昇によって、原油高による悪影響をかなり減退したと思うが、それでも生産性の伸びのかなりの部分が原油輸出国に移転した。

以上の理由が日本で生産性の伸びほど、生活が良くならなかった理由だ。

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