異をとなえん |

金正恩体制の前途は厳しい

2012.07.23 Mon

20:51:02

北朝鮮で李英鎬朝鮮人民軍総参謀長が解任された。
軍人としてはトップの実力者で、先軍政治をキャッチフレーズとする北朝鮮の国では、金正恩に次ぐNo.2の実力者といってもよかった。
それが解任されたのは、内部で権力争いが過熱しつつあることを意味している。

権力争いと言っても、何を原因にして起こっているかはよくわからない。
李総参謀長は強硬派で、中国から支持されている改革開放派が追い落としたという説を見たことがあるが、本当かどうか。

金正日は独裁者で、とにかく北朝鮮を掌握していたことは間違いない。
それが死んだことで、北朝鮮は誰がリーダーシップを取っているかわからなくなっている。
金正恩は若僧で自分の意見を持っているかどうかもさだかではない。

けれども、金正恩はいい子を目指しているみたいだ。
ミサイルの失敗を公表したこと、ディズニーのキャラを放送させたこと、妻と思える女性と一緒に報道させていること。
これらのニュースは国民に良く思われたい気持ちを表している。
つまり恐ろしい父というより、国民に親しまれる兄ちゃんというわけだ。
けれども、当然ながらそれは国民から見れば怖くない。
いままでの自由が抑圧された社会に不満を持っていた人は、怖くなければ好き勝手に行動し始める。
人々は自分たちの意思をあらわにして、経済上の利益を目指して活動する。

けれども、これらは政権の安定にプラスに働くとは思われない。
北朝鮮の硬直した体制は自由な活動を許容していない。
体制に依存した支配層は自分たちの権益が脅かされることを好まない。
自分たちの力を持って反撃してゆくだろう。
体制内部に政策をめぐって対立が生じたことになる。

李総参謀長の解任は明らかにその対立の一つの現われだろう。
そして、指導者は権力の維持を図るならば、どちらかの政策に与し、自分の立場をはっきりさせるしかない。

金正恩の目指すものが改革開放であるならば、そちらの派に乗って指導することになる。
しかし、それは今までの祖父、父の政策の真逆の道だ。
体制を強硬に支えてきた支持者を切り捨ててゆく行為になる。
それは安定につながるだろうか。
むしろ、政権基盤が危うくなってゆく。

毛沢東の左派政策はその死によって断絶し、反対派であったトウ小平が国の指導権を握って中国を動かしてゆくことになった。
毛沢東の後継者であった華国鋒は改革政策を実行していたにも関わらず、結局は追い落とされた。
ソ連ではスターリンの後継者だったマレンコフは、スターリン体制の批判が盛んになるにつれてフルシチョフに解任された。
前の政策に加担していたのに、それをしらばっくれて新しい政策を実行する派に移動するのは難しい。
不可能だといってもいいかもしれない。

金正恩がロケットの発射実験を強行したのは、金正日の瀬戸際政策を実行し続けることを意味していたはずだ。
それが改革開放政策に移動することは今までの政策を覆すことを意味する。
支持者たちはてんでばらばらになってしまう。
独裁者の後継が難しいのは、隠れていた対立があらわになるので、それを押さえ込むためには強力な力が必要になり、血を怖がることない弾圧が必要だからだ。
しかし、金正恩は上で述べたように、いい子になろうとしている。
それは独裁者と両立しない。
金正恩体制の前途は厳しい。

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