異をとなえん |

続:GPS将棋による羽生対中村太地戦解析

2012.07.21 Sat

20:36:05

昨日の羽生中村戦の結果を知る。
羽生が勝ったのだが、検討では中村の敗着は最終手1手前の92手目だったらしい。
89歩成りの替わりに36角と打っていると、後手勝ちか、まだ難しい局面になっている。
GPS将棋の分析では先手勝ちなのだが、後手からの長手数の詰みを見落としているみたいだ。
全幅探索の読みの深さは大体20手ぐらいらしいので、それを越えた手順の詰みがあるとコンピュータは読み落とすことがある。
1手先の読みでの詰みとかは、それ専用のルーチンを動かすことで回避できるみたいだが、先の方の手での詰みは読みきれない。
コンピュータは終盤では間違えないとか言うが、こういうのを見るとむしろ終盤こそ弱いのかもしれない。
人間は王手の連続とかの場合はかなり深くまで読むことができる。
コンピュータも局面を終盤と認識したら、詰めろや王手以外の手を対象外にする制限を加えれば深く読めると思うのだが、難しいのだろうか。
まあ難しいことは難しいのだろう。
コンピュータにも強くなる余地はまだまだあるし、人間にも勝つチャンスはあるということだ。

羽生は時間がないと読みがコンピュータに近づいていく。
20手前後の読みで結論を出すのだろう。
時間があるとさらに深く読もうとし、今回みたいな手を発見してさらに手をひねってしまう。
そうすると、深く読むと妙手だが一見では良くない手を指すようになる。
けれども、それがむしろ勝率を悪くしている気がする。
羽生と言えども完全に正確な読みは期し難い。
深く読むと妙手で一見では悪い手は、読み間違えていると、ただの悪い手になってしまう。
そういうのが二日制で悪い方向に働くのだろう。
人は神にはなれないのだから、ある程度のところまで読んで良かったら妥協するしかない。

中村についてはGPSの短時間の読みにも敵わないと酷評してしまったが、勝ちがあったとすればむしろ深い読みがあったことになる。
けれども最後の手をノータイムで指して負けにしたとすると、深い読みというより、単なるラッキーで勝ち筋があっただけだ。
中村がGPS将棋の予想と違う手を指すのは、羽生の読み筋と同じで勝ち目がないと見たからだろう。
けれども読みを外そうとして別の手を指しても、成算がないならばあまり意味はない。
今回の負けでは、たまたまの勝ち筋としか見えない。

ここまでいかにもわかったかのような批評をしているが、これは本当にコンピュータのおかげだ。
コンピュータが分析してくれないと、プロ同士の対戦の凄さというのは全然わからなかった。
プロ同士の対戦の凄さというよりもNHK杯戦と今回の棋聖戦の差というべきか。
詰まない王を追いかける将棋とぎりぎりの逆転を目指してじっと我慢する将棋の差だ。
その違いがわかるようになるだけでも、コンピュータ将棋が強くなり普及していることがうれしい。

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