異をとなえん |

コンピュータの読みの深さ

2012.07.05 Thu

21:13:42

羽生が棋聖位を防衛し、81個目のタイトルを取得した。
これで故大山名人のタイトル数を上回ったことになり、めでたい。
こんなに強いのに、どうして森内名人に勝てないのか、不思議だ。

最後の方だけ鑑賞していたのだが、twitter上でponanzaGPS将棋が個々に対局を検討している。
これがなかなか面白い。
ponanzaの方が思考時間が長いので、基本的にはponanzaの読みがGPSを上回っているだろうと仮定して、コンピュータ将棋の特徴を述べて見る。

まず、敗着は58手目の34金みたいだ。
24銀と桂を取れというのが、ponanzaのお勧めになっている。
この手を逃してからは、だいたい互角という形勢判断がなくなってしまった。
ただ、ここらあたりでは、先手の方が有利という形勢判断が多い。
着手自体は読み筋通りに進んでいることが多いのに、なぜ互角と先手有利に分かれるのだろうか。
その理由は互角と判断しているときの思考時間にある。
だいたい互角の手は52手目と57手目しかなく、各々思考時間が2620秒と185秒で非常に多くなっている。
その他の手の場合の思考時間は短い方が多い。

思考時間の変化は局面の難しさによってきまってくる。
局面の岐路ではどの手を選択するかが難しい。
だから、できるだけ深く読んでいき、そのため思考時間が長くなる。
それに対して、局面が簡単な場合、つまり王手に対して逃げる1手のような場合、深く読む必要がない。
そのため浅い読みで着手を決定し、評価値は浅い部分の値になる。
コンピュータ的には次の手が正しく指せるならば、正しい形勢判断ができなくともいいわけだ。

そうすると52手目の2620秒というもっとも多い思考時間を費やした手の形勢判断が、たぶん一番正しい。
ぱっと見では先手優勢なのだが、先に行けばまだまだ形勢不明というわけだ。
そして読み筋通りに局面が進展していって、57手目まで来ると思考時間185秒でほぼ同じ形勢判断が下されるわけだ。
たぶん52手目の読みと57手目の読みは同じなのだ。
52手目でそこまで読めているのに、いちいち読みを繰り返すのはなんとかならないかと思うけど、まあ難しいんだろうな。

羽生は53手目の38玉と逃げる手で長考していた。
はためには逃げる1手かと思っていたのだが、屈指の難所だったわけだ。

そして52手目の76馬では、コンピュータとしては59馬と指して先手有利と判断していた。
でも76馬と指して形勢判断が互角に近づくのだから、途中で読みを妥協してしまった感じがある。
ここらへんはまだまだコンピュータ将棋の課題なのかもしれない。

でも、こういう読み筋を見ているとやはりコンピュータの力が人間を上回った感じを強く受ける。

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471 続:コンピュータの読みの深さ

昨日の記事は大馬鹿だった。 コンピュータの思考時間の変化を局面の難しさと判断したが、自分が指しているのではなく、他者の対局の検討をリアルタイムにしているのだから、そんなわけがない。 実際ほぼ指すのと同時にtwitterに投稿されていた。 だから昨日の対局では、52手目を2620秒と長考したのは局面が難しかったからではなくて、羽生が長考したからそれに合わせたのだろう。 コンピ