異をとなえん |

第2回電王戦第5局目三浦弘行対GPS将棋戦展望

2013.04.19 Fri

21:54:59

いよいよ電王戦も明日が最後の一局。
わくわくが止まらない。
期待をこめて、対局の展望をしてみたい。

まず戦形予想だが、今までの両対局者の取ってきた戦法が2chにまとめられていたので引用する。

三浦八段の戦法選択は次の通り。
引用開始

516 :名無し名人:2013/04/14(日) 22:23:53.10 ID:/POBwlU+
三浦八段 通算成績と得意戦法苦手戦法一覧(by 2ch棋譜のみ)

対局数 604局(実際の通算対局数821局)
勝率  54.3% (実際の通算勝率 59.3%)
居83.9% 居勝率54.4%
振16.1% 振勝率52.2%
先勝率57.5% 後勝率51.3%

得苦 先後 戦型     出現率    勝率  得苦 先後 戦型     出現率  勝率
    先  矢倉       11.1     55.2        先  向飛車     0.2    100
    後  矢倉       8.4      56         後  向飛車      2     50
    先  横歩取り    6.1     51.4         先  相振飛車    0.5    66.7
△   後  横歩取り    11.9    45.8         後  相振飛車    0.7    50
    先  相掛かり    2.6     56.3     ◎   先  対中飛車    5     71.4
    後  相掛かり    2.5     66.7         後  対中飛車    1.7    60
○   先  角換わり    6.6     67.6         先  対四間飛車   5.8   52.9
×   後  角換わり    5      31          後  対四間飛車   4.6    63
    先  中飛車     0.7    75           先  対三間飛車   0.8    80
    後  中飛車     0.5    33.3          後  対三間飛車    4    54.2
    先  四間飛車    2.6    62.5         先  対向飛車     1.3    37.5
    後  四間飛車    3.8    60.9         後  対向飛車     0.3    50
    先  三間飛車    1.5    55.6         先  その他       3.5    45
×   後  三間飛車    2.5    20     ○    後  その他       3.8    68.2
引用終了

これを見ると、三浦八段は居飛車党、先手番だとオーソドックスに矢倉、角換わりで指して、後手が横歩取りに誘導した場合には受けてたつようだ。
初手2六歩からの相掛かりはあまり選ばない。

それに対して、gpsfishのfloodgate4時間対局での戦法選択は次の通り。
gpsfishは何だと思う人もいるだろうけれど、一つのPCで動いているときはgpsfishだが、それを束ねて動かすとGPS将棋になると考えていい。
引用開始

218 :名無し名人:2013/04/15(月) 22:30:53.05 ID:4Zra6FzG
gpsfish_xeon5470             floodgate4時間対局
対局数     180   局  勝率           62.2   %
居         79.7   %  居勝率         65.9   %
振         20.3   %  振勝率         45.7   %
先勝率     70.9   %                     後勝率  54.3   %

得苦 先後 戦型 局数 勝 負 千日手      得苦 先後 戦型 局数 勝 負 千日手
   先   相掛かり    17   11   5   1       後   相掛かり   18   10   6   2
   先   横歩取り    10   6   3   1        後   矢倉       14   9   5   0
   先   角換わり    10   8   2   0        後   角換わり    13   7   5   1
   先   矢倉       9   4   3   2         後   対三間飛車  8   3   3   2
   先   対四間飛車   8   6   2   0     ◎ 後   中飛車      7   6   1   0
   先   対中飛車    6   5   1   0         後   四間飛車    7   2   5   0
◎ 先   対向飛車    6   6   0   0         後   対四間飛車  7   3   4   0
   先   その他      6   5   1   0        後   その他      7   4   3   0
   先   三間飛車    4   2   2   0         後   横歩取り     6   3   3   0
   先   対三間飛車  4   3   1   0          後   対中飛車    5   3   2   0
   先   中飛車     3   2   1   0         後   三間飛車    4   1   3   0
   先   四間飛車    3   2   1   0         後   向飛車     2   0   1   1
   先   向飛車      2   0   2   0         後   相振飛車    2   0   2   0
   先   相振飛車    2   1   1   0         後   対向飛車    0   0   0   0
引用終了

gpsfishも居飛車党、コンピューター将棋同士の戦いでは振り飛車の勝率があまり良くないので飛車を振ることは少ない。
後手番だと普通に相手の戦法を受けている感じだ。
ただ、floodgateでは、gpsfishはもう一つ動いている。
マシンが違うけど、ソフトは同じバージョンみたいだ。
その二つのソフト同士の戦いでは相掛かりか、横歩取りがほとんどだったという印象が強くある。
GPS将棋開発者は後手番での戦いで一番有力なのは、相掛かりか横歩取りと考えている気がする。
後手番で矢倉で戦っているのは、別のソフトでの戦いが多い。

そうすると、GPS将棋は▲7六歩に対しては△3四歩から横歩取りを目指し、▲2六歩に対しては△8四歩から相掛かりを目指すのではないか。
三浦八段はどのように対応するのか。
振り飛車はしないだろう。
得意でもないし、対抗形で入玉になる可能性を減らすのもうれしくない。
相手の注文をそのまま受ける可能性もあるが、横歩取りや相掛かりはソフトが非常に強そうな戦いだ。
それを避けようとすると、やはり角換わりの可能性が高くなる。
1局目と3局目では、どちらも先手から角を換えている。
ソフトはたぶんに角を換えてもらうことは手得をするので、自分が有利と考えている可能性が強い。
その結果無理攻めと見られても、自分から攻めようとするだろう。
プロ棋士がその戦いを有利と考えるならば、互いが自分の方を有利と考えるので必然的にそこで戦いが起こる。
ソフトもはめられる心配はするだろうけれど、評価値が高い方で戦いたいだろう。
結局、1局目や3局目のような戦いの起こる可能性が一番高いと見る。

将棋観戦記の人は、その戦いを見たくないと考えている。

引用開始

もう一つの期待は対抗型なんですよね。対抗型か横歩取り。要は二手目に△3四歩という展開。三手目に▲2六歩。そういう展開の将棋も見てみたいです。要は普通の定跡型を観たい。

というのも、これまでの第一局から第三局まで正直序盤が酷かったので勿論人間はその3つで1−2と負けましたが、負け惜しみみたいですが、まあ勝ってたわけです。勝ってたは言い過ぎだとしても、勝つべき将棋だった。或いは勝てる将棋だった。棋理としては人間がミスらなければ勝てる将棋だった。ということです。

勿論A級棋士でも名人でもあそこから負ける可能性はあります。伊藤英紀さんが言うようにあそこからでも名人が負け越す可能性も理論上はありえます。ただ、私が思うA級棋士、名人、タイトルホルダーってそういう人たちじゃないです。ああいう将棋から理論上、確率的には負ける可能性はゼロではないでしょうが、基本勝ち切るはずです。
引用終了

「棋理としては人間がミスらなければ勝てる将棋」に勝ってもつまらないと言うことだろう。
でもソフトびいきとしては、その棋理が本当に正しいか信じられない。
ソフト最強であるGPS将棋に決着をつけてもらいたい。
だから、先手一手損角換わりから、ソフトが無理攻めをする展開を期待する。
そして、できれば習甦の仇を取って欲しい。
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コンピューターソフトびいきとは

2013.04.17 Wed

22:11:29

自分をコンピューターソフトびいきと考えてきたが、本当はプロびいきではないかと言われてしまった。
そんなわけで、コンピューターソフトびいきの意味について考えてみた。

私は将棋についてはずっと羽生善治のファンだ。
NHK杯将棋トーナメントで初優勝のときのビデオが取ってある。
なぜ羽生善治のファンかと言えば、強いからだ。
誰の目にも劣勢が明らかな状況でも、解説が見えないような手を指して逆転していく。
これがすばらしい。
応援している方としては、なんというか非常に応援のしがいがある。
応援していて裏切られることがない。
だから、ずっと羽生善治のファンをしている。
でも、最近の名人戦とか、勝った将棋でも終盤のぐだぐだ感とか、なんかがっかりしてしまうが、それは別の話だ。

コンピューターソフトについても同じような感覚をいだいている。
24でのボンクラーズの圧倒的勝利とか、電王戦のプレイベントでのgpsfishの圧倒的勝利とかは、羽生善治の再来に見える。
いや、それ以上だ。
どんな将棋でも、終盤の圧倒的な力量差で逆転する、それこそが強者の印だ。
だから、私はコンピューター将棋ソフトのファンとなり、コンピューターソフトびいきになったと思っている。

だから、ソフトの勝利はお情けの勝利ではダメなのだ。
どんな条件でも必ず勝てる、そういう勝利を期待しているのだ。
サッカーの試合において、審判が買収され、理不尽なファールを取られ、ゴールキーパーが退場され、PKで1点負けているような絶対不利な状態でも勝てるような力をソフトに期待しているわけだ。
小説やマンガやアニメでは、主人公が普通に戦えば勝てるのだが悪役が汚い手を使って優勢になってしまう状況がよくある。
そこでそのまま負けてしまっては、お話にならない。
それを何とか逆転して勝つからお話になる。
感動できる。
私はコンピューターソフトにそういう勝ち方をして欲しい。
相手にはめられたから負けたとか、入玉形だから引き分けに持ち込まれたとかなどという泣き言は聞きたくない。

人間とコンピューターの対局条件にしても、相手に弁解を許すようなルールにしたくない。
そういう意味ではソフトびいきが、とにかくソフトが勝てるようなルールにしたい人を指すならば、私は違うことになる。
勝負ごとだからできるだけ中立なルールであるべきだが、どうしてもある程度影響されるならば、私は人間が有利になる方にしておきたい。

物語において、魔王が人間の城に攻めてくる。
しかし、城の壁には壊れている場所があって、修理のための時間が必要だ。
そこで魔王はわざと修理が完成されるのを待つ。
その後、戦闘が始まり、魔王は開始早々一撃で城の壁を破壊して、修理など何の意味をなかったと思い知らせる。
そういう悪役が好きだ。
ソフトにはそういう悪役が似合う。

囲碁の場合だと、石を置かせた上手が下手の打つ手を全て言いなりに聞いて、その上で勝つ、そんな碁がある。
そんなことができるかと言うと、下手はたいてい大局観が誤っているので良しと思った結果が全て悪いことがありうるのだ。

阿部対習甦戦が終わった後に落ち込んだのだが、その後2局目、3局目に勝って、気持ちがよくなった。
なんと言っても、コンピューターは序盤の感覚が悪いという定説が怪しいと思ったことが大きい。
むしろ、コンピューターの序盤の感覚の方が正しいのではないかという気すらしてきた。
だから、習甦が勝っていれば、次のように言えたのではないかと思っている。
「あなたは序盤の感覚が悪いねぇ。あんなに早く端歩を突いては大勢に遅れてしまうよ。6五桂はねられたら負けだとわからなくては。」
まあ、この言説が正しいかどうかはよくわからないが、コンピューターソフトにはこう言える勝ち方を期待したいのだ。
それなのに、無様に負けてしまっては、感情の行き場をどうしていいものか。
習甦に怒るしかない。

GPS将棋に対して勝ち負けだけではなく、内容も期待するのは、終盤の力で勝つという定説を覆して、大局観が優れているから勝っていると示して欲しいからだ。
実際船江対ツツカナ戦の序盤はプロ有利だという話が納得できていない。
でも悪くなってしまうとそれを証明できない。
序盤の評価関数が分かれた状態で終局まで行き、ソフトが勝つならば大局観で勝っていることを示すことができる。
第1局や第3局を再現し、プロ棋士が有利だと思っている状態から、そのまま勝つことができれば最高ではないか。

このように考えている私はコンピューターソフトびいきでは、ないだろうか。
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第二回電王戦4局目、持将棋により引き分け

2013.04.13 Sat

21:49:28

puellaαと塚田九段との対局は持将棋により引き分けとなった。
感想はあまりまとまらないが、それでも簡単に書いてみる。

まず、人間は強かった。
コンピュータ将棋が入玉に弱いといっても、それを的確に突くことは難しい。
故米長会長も入玉狙いで指していたが、失敗した。
puellaαの前身であるボンクラーズに対しても24で多数の将棋が指されたが入玉して勝っている将棋はほとんどなかった。
それなのに、塚田九段は無理なく入玉したように見えた。
もっとも、入玉狙いに絞ったために得点は足りなくなっていたが、そこまでいけない人間がほとんどということを考えると、プロの実力はすごい。
相矢倉の将棋は入玉含みになりやすいことを考えると、コンピュータ将棋も入玉にはさらに対応する必要がある。
もっともこういう言い方はプロがコンピュータより弱いことを前提にしている話だが、率直な感想である。

将棋としてはちょっとがっかりである。
puellaαは勝ちやすいことを考えて、定跡をランダム選択しているのだろうけれど、将棋としては定跡DBを使わないほうがずっと面白い。
特に飛車先の歩の交換を許す指し方が成立するか興味深かったので、その形にならないのは残念だった。

もっとも解説の木村八段によると、今回の対局でもpuellaαは人間だとムリに見える形で仕掛けているみたいで、1局目、3局目とは基本的に同じ流れだ。
人間が基本的に受身の立場を取っていることもあって、コンピュータがムリ気味でも先攻するのは普通の流れとなっている。
その攻めが成立するかどうかが、私にとってはもっとも興味がある点だ。
コンピュータの序盤が弱いと考えるのではなくて、将棋にとって新しい常識が生まれるかどうかに視点が切り替わったことが、今回の電王戦での最大の収穫となっている。

最終局の三浦戦はコンピュータのムリ攻めが正しいかどうかについての結論を出してくれることを期待する。
1局目は習甦が弱かったし、3局目はツツカナの読み負けで本当に成立していたのかどうかはっきりしない。
今回の4局目はかなりはっきり良くなっているのだが、途中で塚田九段が最強手段を放棄して入玉狙いに走ってしまったので、やはりよくわからない。
GPS将棋は形勢が良くなっているのに読み負けて逆転を許すようなことはないだろう。
そうなれば、ある程度の結論は出る。
GPS将棋がムリ攻めをしなかったら、それはそれで面白い結果だ。

人間とコンピュータの団体戦が引き分けになるか、コンピュータ側の勝利になるかを含めて、最後のGPS将棋三浦戦は最高に面白い戦いになりそうだ。
そして内容も素晴らしい一戦を期待したい。
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第二回電王戦4局目展望

2013.04.12 Fri

21:18:14

明日は第二回電王戦の4局目が行われる。
プロ棋士は塚田九段、ソフトはpuella αだ。
塚田九段は一昔前王座のタイトルを取ったこともある棋士だが、羽生世代の台頭によってトップ棋士から脱落した。
現在はプロ棋士5人の中ではレーティングが一番低く、実力は一番下だと思われる。

下記は棋士ランキング(2013/04/12)から抜粋した結果だ。

20 三浦弘行八段 1729
31 船江恒平五段 1659
46 阿部光瑠四段 1614
95 佐藤慎一四段 1510
101 塚田泰明九段 1496

そうすると、コンピュータソフト第二位であるpuella αの楽勝かとも思うのだが、このpuella αの実力が良くわからない。
puella αは米長九段を破ったボンクラーズの後継ソフトだが、floodgateの対局に参加しておらず実力の測定ができない。
別名で参加している可能性はあるけれど、よくわからない。
次期コンピュータ将棋選手権にも出場予定がないので、開発自体もそれほど進んでいない可能性がある。
コンピュータソフトの内、gps将棋、ツツカナ、ponanzaはfloodgateに参加していて、ほぼトップクラスの実力を保っている。
習甦はレーティングにして200ぐらい下だった。
前回のコンピュータ将棋選手権でも、上の4つと下の4つとではかなりの実力格差があったので、習甦が弱いのは当然のことかもしれない。
puella αは普通に考えればトップクラスにはまだ残っていると思うのだが、不明というのが本当なところだ。

ツツカナの実力は船江五段に勝ったことから、1700ぐらいとしておく。
ponanzaはほぼ同等、習甦はそこから200ぐらい落ちるので1500と推定される。
それだと習甦が阿部光瑠四段に負けたことは、ほぼ実力通りの結果だ。
puella αの実力がわからないけれども、ツツカナと習甦の間で1600あるならば、puella αは塚田九段に勝つことが予想される。

もっとも一発勝負ではレーティング推定はあてにならないし、どちらが勝つかより内容の方が重要だ。
期待するのは、puella αが塚田九段に飛車先の歩の交換を許してから逆襲する将棋だ。
飛車先の歩の交換が有利という棋界の常識が正しいかどうかを判断するためにも、2局目、3局目と同じパターンを期待する。

ところで、電王戦の観戦記はニコニコニュースに出るようなもので終わりなのだろうか。
普通に手の解説がつく観戦記は出てこないのだろうか。
3局目、飛車先の歩の交換をしてから、94手目の6六銀を指すまでに、ツツカナ側が一度有利になったように見える。
それならば、船江五段がどこで悪手を指して不利になったか知りたい。
あるいは、船江五段がずっと優勢という結論ならば、そのことを教えて欲しく思う。
手の解説をこんなに知りたいと思わせる将棋はないので、将棋世界あたりから記事が出ると期待してもいいのだろうか。

ぐだぐだ記事を書いたけど、明日も楽しみだ。
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続:円安株高への懐疑

2013.04.10 Wed

21:53:14

黒田新総裁の異次元の金融政策はとにかく大量に国債を購入して、貨幣をあふれさせようとする政策に見える。
インフレ率が2%になれば、価格が下がらない資産を買っておくと儲かる理屈だ。
その理屈が正しいか疑問はいろいろあるけれど、市場はそんな簡単な理屈を信じて、国債を買い、株式を買い、不動産を買い、ドルを買っている。
そして、みんな上がっている。
初動としては成功だ。

けれども、このルートは本当に成功するのだろうか。
インフレ率が2%でも経済成長をするには賃金の上昇が必要だ。
輸入物価が上昇することによってインフレ率が2%になるのでは、内需が減少するのだから満足に成長できるかどうか疑わしい。
少なくとも一般国民には成長の恩恵は行き渡らないだろう。
輸出が増えることでの成長が内需の減退分を上回れば経済は成長する。
たぶん、ここまでの成長はできる。
ただこれだけでは、賃金は上昇しない。
賃金が上昇するには、輸出による経済の拡大が続くことで労働力が枯渇し、失業率の低下があって始めて起こる。
ここらへんから自信がなくなってくる。

まず労働需要が増えるには、輸出企業の収益が改善し、利益が増えるだけでは起こらない。
輸出で儲かってしかたがないからと、設備投資を増やして輸出量を増やさなければいけない。
でも、輸出企業は金融危機によって、存亡の危機に直面した。
ゴーン日産社長は円安になっても、日本で生産を増やすことはないと明言している。

引用開始

【ニューヨーク時事】日産自動車のカルロス・ゴーン社長は27日、
ニューヨーク国際自動車ショーの会場で記者会見し、円安が進行しても、「日本国内から(北米に)移管した生産が戻ってくるとは正直、思わない」と述べ、円相場の動向にかかわらず、生産の現地化を進める方針を示した。

ゴーン社長は、「為替の変動リスクを抑えるためには現地化が必要」と強調。
一方、円安によって、「国内生産100万台を維持するという計画における不利な条件が減っている」と指摘した。日産は既に、北米での販売比率が高いスポーツ用多目的車(SUV)「ローグ」や「ムラーノ」の生産を九州工場(福岡県苅田町)から米国に移管することを決めている。
また、日本が交渉参加を決めた環太平洋連携協定(TPP)については、現地生産が拡大しているため、「日産への影響はあまりない」との見方を示した。 
引用終了

日本の輸出産業の主力である自動車産業が輸出を増やさない。
自動車産業と共に日本の輸出の主軸であったエレクトロニクス産業は、円安にも関わらず利益が増えるというより、やっと収支がとんとんになる段階で、輸出量を増やすところまでいかない。
実際輸出できる製品がない状況だ。

円安が続けば輸出企業の収益の改善は続くとは思うが、輸出量の増加という形で生産が増えていくにはかなり時間がかかりそうだ。
つまり労働需要の増加、賃金の増加という流れはあまり期待できない。
その場合、企業はとにかく儲かり、国民は損をしていく、そんな未来が予想されてしまう。
この状況が続くならば、日銀の金融政策は否定されてしまうのではないだろうか。
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円安株高への懐疑

2013.04.09 Tue

22:00:59

黒田氏が日銀総裁に就任して、異次元と呼ばれる金融緩和を行い、円安株高が続いている。
ドル円相場は92円台から一気に100円に届きそうな勢いだし、日経平均は12000円から13000円を突破するまでになった。
株高は基本的に歓迎すべきことなのだから万々歳でいいのだけれど、どうも懐疑的になって仕方がない。
今回の景気回復はアメリカ経済に引っ張られる形で起きているのだが、アメリカ経済の復調がいつまで続くかわからないのが最大の疑問になっている。

今回の日本の株高の最大の原因は円安だ。
円安によって輸出企業を中心に利益の回復が起こり、それが株式相場を上昇させている。
円安は輸入企業の利益を減らす側面のあるのだが、それらの企業は中小企業が多いので大企業中心の株式市場にあまり関係がない。

為替相場を考慮して未来を予測していくと、どうも頭が堂々巡りして確固たる土台を持てないような感じを持つことがある。
為替相場の変化がプラスの影響とマイナスの影響を同時に発生して、両方働いた場合にどちらの影響の方が強いかよくわからなくなるためだ。
今回のドル高円安も輸出が増える、輸出企業の利益が上昇する、といった経済にプラスな面と輸入物価の上昇によって内需を減退させるマイナスな面がある。
どちらが勝つかというと、基本的にはアメリカ経済と日本経済、両方合わせた経済が成長できるかどうかに依存するだろう。
二つの国を合わせた経済が最終的に成長するならば、円安ドル高はアメリカ経済の成長のおこぼれを日本経済が受け取る形で発展できることを意味する。
アメリカという大旦那が元気良く成長するならば、そこに商品を売っている下請けも元気が良くなる話だといっていい。
問題なのは、アメリカ経済が回復しないならば、日本経済の回復も怪しいということだ。

リーマンショック前、日本経済はようやくバブル崩壊以後の停滞から脱出して成長軌道に戻った印象があった。
けれどもそれはアメリカ経済の成長に伴う成長であり、日本経済の自律的な成長とはとうていいえなかった。
だからリーマンショック後の金融危機によって、アメリカ経済の成長がストップすると、日本もその余波を受けて世界の中でもっとも経済が縮小した。

今の景気回復もその時の印象にだぶる。
アメリカ経済の好調が資金をアメリカに吸収させ円安ドル高を導いていた。
円安ドル高が輸出企業の好調を生み、輸出企業中心に設備投資の拡大を促した。
もっとも現在の日本の輸出企業はアメリカ経済に懐疑的になっている。
だから設備投資がそれほど盛り上がっていないという違いがある。

どちらにしても、アメリカ経済の復調が止まれば日本経済の景気回復は止まるだろう。
アメリカ経済の復調が止まったけれど、日本経済が自立的に成長するので景気回復が続くということはありえない。
アメリカの景気が悪くなれば、為替相場は円高ドル安に反転し、それに伴う株式相場の上昇は止まってしまう。
つまり今の景気回復のエネルギーが全て反転する形になるのだから、日本経済も必ずスローダウンしてしまう。

結局、日本経済の先行きはアメリカ経済頼みということで、懐疑的になって仕方がない。
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天野宗歩以来の将棋の革命か? - 船江恒平五段対ツツカナ戦感想

2013.04.08 Mon

22:13:58

第2回電王戦は2局目、3局目とコンピュータ側が勝利した。
ずっと見ていたが人間の強さに感動した。
コンピュータ側が優勢になれば人間は逆転できないだろうと思っていたのだが、その見込みをくつがえして局面をひっくり返す。
人間の直感というか、感覚的な読みがコンピュータの機械的で膨大な読みを上回るというのは、予想していなかっただけに驚きだった。
あれを見ていると、人間がコンピュータに勝つ可能性はどんなにコンピュータが進歩しても0にはならず、希望は永遠にあり続けるような気がする。
とまあこんな所が、対局が終わって直ぐの感想だったのだが、3局目を終わって別のことが気になっている。
船江恒平五段対ツツカナ戦の感想を探しても、私と同じ考えを述べている意見が見つからなかったので、そのことを記述する。

3局目、ツツカナは当然のように先手の飛車先の歩の交換を拒否しなかった。
これについては前に述べたこともあるが、コンピュータの読みがまだ浅いのが原因で人間の序盤の感覚は正しいと思っていた。
しかし、本当にそうだろうか。
コンピュータの判断が正しくて、人間の感覚が間違っている可能性も十分あるような気がしてきた。
飛車先の歩の交換は一歩持てることと飛車の利きが直接通るということで間違いなく得な手である。
それ自体をコンピュータが認識できていないわけがない。
それなのに拒否しないのは、歩の交換によって手得になる利益をより重視してるからだと思う。
もちろん、手得というのは局面が膠着してしまえば価値を失う。
その場合持っている歩というのが、絶対的な得として残ってしまうだろう。
だから、歩の交換を許して手得した側は先攻して一歩持たれた損を取り戻す必要がある。
あるいは2局目のponanza佐藤戦のように、端歩を突きこすといった具体的な利益を手に入れる必要がある。

ponanza佐藤戦では端歩を突きこされたのは、佐藤慎一四段のミスだという風に理解していた。
そんな風に佐藤四段の感想を解釈した。
けれども、端歩を受けていれば当然ながら別の部分は立ち遅れる。
その場合3局目と同じようにコンピュータ側が先攻する形で戦いが起こった可能性が大きい。

船江ツツカナ戦ではコンピュータの無理な仕掛けから戦いが始まった、という解釈が多い。
少なくとも序盤戦は人間有利な局面だったと思っている意見がネット上に多く見られる。
しかし、船江五段の指し手に明白な悪手があっただろうか。
明白な悪手はなかったというのが、大方の見解ではないだろうか。
それなのに、66手目4六角と打ったあたりでは相当に難解な将棋である。
加藤一二三九段の形勢判断では互角に近かったと思うし、今までの流れから考えると先手有利な感じだけれど、実際の局面を見るかぎりでは互角に近いように見える。
どう見ても既に序盤とはいえない状況なのだから、コンピュータ側の判断も尊重すれば互角だろう。
悪手を指していないのに、形勢が互角ならばコンピュータ側が悪いという判断は間違いだ。

その後、ツツカナの判断では67手目の4六飛が悪手で形勢はツツカナ側に傾いたとしている。
これについては、山崎バニラさん観戦記の最後に載っているツツカナの評価値フラグから判断した。
この判断が正しいかどうか。
94手目の6六銀で大逆転しているのだから、実はまだ船江五段優勢だった考えもあるかも知れないが、解説の鈴木氏もこの後はツツカナ優勢に傾いていたし、実際90手目の6八金打ちでは詰ましにいかずに、7七角打ちから飛車を取っていれば十分ツツカナ優勢に見える。
それなのになぜ詰ましにいったかというとツツカナ勝ちが見えたからだが、その読みに誤りがあったということだ。
その経緯は面白い話だが、私の主張とは関係ない話なので省略する。

重要なのはコンピュータの序盤の歩の交換を許した作戦が成立するのではないかということだ。
人間がそれに気づかなかったのは、かなり無理ぎみに先攻しなくてはいけないので容易には勝てないからだろう。
今回の序盤ではツツカナ側を持って指すと人間では簡単に負けにしそうな気がする。
一手誤ると即終了な場面を延々と耐えなければいけない。
人間が形勢不利と即断しても全然不思議ではない。
でも、今回示されたように実は形勢互角ならばどうだろうか。
序盤戦術に革命が起こるような気がする。
歩の交換を許さないための銀の上がりを早めに指す必要がなくなる。
そうなれば、序盤の戦術のレパートリーも大幅に広がるだろう。
天野宗歩が生み出した概念を根本的に変える革命かもしれない。

第4局目、第5局目とコンピュータ側は序盤定跡を外してくる可能性が強い。
そうすると人間側としては歩の交換は得だと考えているのだから必然的に取って勝負する将棋になる。
この2局は歩の交換を許す作戦が成立するかどうかを占う決定的な将棋となるだろう。
なんていうかわくわくしてきた。
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