異をとなえん |

続:第二回電王戦1局目、人類がコンピューターに勝利する

2013.03.26 Tue

21:50:22

前回書いた記事に大幅な事実誤認があったので修正しておく。

引用開始

最大の敗因はやはり手の内を読まれすぎたことにある。
対局後の記者会見では、61手目の8八金と寄った局面まで想定だと言っていた。
この局面はもう習甦が苦しそうに見える。
人間的には必勝の局面らしい。
そういう局面に事前準備によって誘導されてしまったことが、最大の敗因だ。
引用終了

阿部四段が61手目の▲8八金と寄った局面まで想定だと言っていたのは、完全な聞き間違いだった。
正確には51手目の▲9八玉と寄った局面までが想定だった。

参照記事:第2回電王戦初戦は人類・阿部四段の勝利!(観戦記)

引用開始

阿部四段 今回▲7六歩、△3四歩、▲2六歩、△8四歩となったんですが、自宅で練習対局をしていたときは▲7六歩、△8四歩、▲2六歩と定跡系で、自分から角交換していかなかったんです。だから一手損の角換わりになってしまいましたが、△4四角▲9八玉までは、▲3七桂、△3一玉の形は入ってますが、ほぼ研究どおりでよかったと思います。
引用終了

どうも習甦の負けがソフトを貸し出したことが原因だと思いたくて、記憶を改変してしまったようだ。

本番の習甦が貸し出したソフトと基本同じならば、その後の手も同じだろうと考えてしまった。
しかし阿部四段が説明したように、▲3七桂△3一玉の手が入っていないと、かなり手が変わってくる。
王手で飛車を打ち込む手があるので、▲9八玉と寄った後では△3一玉と入る手も有力だ。
それらを考えると、前に指した対局と今回の本番の対局とでは、その後の展開は全然変わっていたのだろう。

この将棋の勝負所は9八玉以後だと思うので、阿部四段がソフトの貸し出しと関係なく実力で勝ったことは間違いない。
阿部四段の勝利をソフトの貸し出しのせいだとしたことを謝罪する。

事実誤認を反省して、冷静な目で見てみると、今回の敗北の原因は習甦が単に弱かっただけだ。
71手目の▲5一角打ちから、なんと0手で馬に変化してしまう、ひどい習甦の指し手があった。
形勢不利なところから水平線効果が発生したと思っていたが、このぐらいは抑止できなければおかしい。
実際△3九角成りから馬になって戻っておく有効な指し手は指せたはずだ。
それなのにできなかったのは、水平線効果を抑止する処理になんらかのバグを埋め込んでしまったからではないだろうか。
そう考えると、51手目の▲9八玉から習甦がなんか攻め急ぎ過ぎた原因がわかる。
先読みし過ぎて形勢が苦しくなるので、安易に手を伸ばそうと強制手を指してしまう。
60手目の△6七金打ちは、その典型に見える。
これは私のような弱い人間にも悪手に見えるのだから、かなり悪い手だろう。

習甦開発者の竹内氏は「途中開発でうまくいかない部分もあったのですが、何とか間に合って戦えたことはよかったです。」と言っているが、実際は問題を残していたのではないだろうか。
長時間floodgateに、本番少し前定跡データベースを使用しないで参加したことなども、開発がかなりドタバタしていたからではないか。
長時間での戦いの能力向上を図るならば、もっと早めに参加させるべきだし、単に最終確認するためだけならば、できるだけ本番と同じ状態で動作させるべきだ。

結局、習甦の敗北の最大原因は開発がうまくいかず、戦う状態に仕上げられなかったことではないだろうか。
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