異をとなえん |

キプロスの問題がなぜ民主主義の問題になるのかわからない

2013.03.22 Fri

21:58:56

「ヨーロッパの一級市民たちと二級市民たち」ではキプロスの問題が解決できない原因を、民主主義が国民のエゴイズムによって、正しい選択ができないからだとしている。
この理屈がわからない。

基本的な問題は簡単で、借りたお金は返しましょう、というただそれだけの話だ。
政治システムがどうであろうとも、その決定によって借金がなくなる理由はない。
借金は返さなければ永久にそのままだ。
民主主義国家だと国民の支持が得られないから、借金の返済のための負担を認めないというのは理屈に合っていない。
どんな国でも負担が増加するのは嫌だろう。
借金だって返済しなくて済むならば誰だって返済しない。
けれども借金を返済しないと、たいていもっと状況は悪くなる。
だから、借金を返すために必死になって努力する。
借金を返すのは当然の義務だということを、モラルとして国民に教えようとするわけだ。

国民が反対するから、議会が税金を増やすのは認めないというのはそれでいい。
問題は借金を返済するのと借金を踏み倒すのと、どちらがより負担が大きいかだ。
キプロスの場合今回の解決案を拒否すれば、間違いなく銀行は倒産する。
今回の預金に対して超過金をかけるといった法案の具体化によって、銀行が再開されれば全ての預金が一斉に引き出されるのは目に見えている。
だからECB(ヨーロッパ中央銀行)が銀行に対して流動性を供給しなければ、銀行は倒産必死と見て、預金の返済を認めず破綻処理をすることになるだろう。
そうなれば、税金として預金の10%前後が取られるより、さらに大きい負担を迫られることは必死に思える。
10%前後の超過金を払うことで、預金が戻ってくるならば、その方がいいに決まっている。

キプロスの議会は何か別の方法がないかと、預金への税金を拒否した。
しかし、今のところ代替案はなく行き詰っている。
銀行を閉鎖し続け、預金を封鎖できていれば、このままの状況を維持できるかもしれない。
しかし、それは金融システムが麻痺しているのと同じことだ。
遅かれ早かれ、銀行の活動を開始する必要がある。
そして究極の二者択一を迫られるわけだ。
たぶん、EUとキプロス政府との合意がなければ、銀行は破産申請を出さざるを得ない。
議会も全面カットよりは、10%減ですむ方がいいと理解して、たぶんギリギリで預金への税金法案は通る。

北欧圏の国々では、民主主義によって南欧の国々への援助を拒否している。
それはエゴイズムだと評されているけれど、むしろ自分たちの金を喜んで出す国がある方が不思議で仕方がない。
今回援助をしないのも当然だろう。
援助しないことで、その他の国も預金の取り付け騒ぎが起こる可能性があるかもしれない。
けれども、それはECBが援助してくれさえすれば対処できる。
ECBがキプロスと他の国との間で差別していることではない。
EUとの間できちんとした借金の返済計画ができるならば、一時的な借金は認めるそれだけだ。
しかし、きちんとした借金の返済計画がなければ、一時的な借金は踏み倒される危険が大きくなるので、キプロスには無制限の流動性は許可できない、それだけの話だ。
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