異をとなえん |

コンピュータ将棋最高峰の一局

2013.02.09 Sat

21:46:32

今日のBlunder対gpsfishの将棋が素晴らしかった。
twitterの一言コメントだけでは感動を伝えきれないので、ブログにもコメントを追加する。

将棋は断崖にかかったロープの上で全力で殴り合っているような将棋だった。
物凄いパンチを繰り出し、相手は受けきって殴り返す。
どちらも一歩も引かない、そんな感じだ。

将棋はゴキゲン中飛車で、先手が7八金型に構える。
先手Blunderはいつものごとくノータイムで定跡を指し、当然のように劣勢に陥る。
最近のBlunderは序盤必ず不利になるのだが、もっと何とかできないのだろうか。
後手番で不利になるのは仕方がないとしても、先手で指した時でさえ評価値がマイナス、後手有利になる。
Blunderが苦戦している最大の理由がこれだ。
今回の序盤も、後手は1歩得をして、飛車が龍になっている。
先手にはたいした得があるようにも見えない。
弱い私の目から見れば、これだけで後手勝勢だ。
実際はそう単純なことではなくて、ほんの微差に過ぎず互角なのだろうけれど、それでも先手は評価値マイナスで開始する必要はないだろう。

手が進むうちに、Blunderが盛り返してくる。
中盤戦の力では現在Blunderが最強だと思っている。
手どころの読みが深く、他のソフトを上回っている。
その分消費時間が多く、秒読みに先に突入して負けることも多いのだが、中盤戦が強いと一番強く見える。
実際Blunderの読みと評価値は安定していて、底まで読んでいる感じがする。
他のソフトは手が進むにつれて、読み通りに進んでいるのに評価値が大きく変動するので、どこまで正しいのか怪しい。
Blunderは読みどおりに進んでいると、形勢がいいならば評価値が順調に増えていくので納得できる。

対局は進むにつれて、盤面が不穏になっていく。
どの一手でも、直ぐ詰むや詰まざるやに発展する可能性を含んでいるようで、緊迫して目が離せない。
それを読み取れる棋力の無さが悲しい。
それでも、駒を取るぞという手を唯々諾々と聞いていたのでは勝てないことがわかる。
手を抜いて相手玉に迫る。
一手間違えたらすぐ詰んでしまうような迫力があって、素晴らしい。

将棋は100手を少し超えたあたりで、Blunderが有利になり、決着がつくかなと思ったのだが、全然そんなことはない。
gpsfishが粘りに転じ、守備陣の再構築を始めてしまう。
Blunderは時間がなくなっているので、秒読みに突入して逆転するかの流れに見えてきた。
ただコンピュータ将棋というのは、面白いことに先に時間が切れてもそれほど不利にならない。
秒読みの方はすぐに指すから、時間が残っている方はそのとき読むことができない。
だから自分の手番で長考することになる。
秒読みの側はその間読むことができるので、かなり思考を補うことができる。
Blunderはうまく時間を使って、優勢を持続していった。
その結果gpsfishも時間を大量に使って秒読みに突入した。
形勢はかなりはっきりBlunder有利に傾いていたので、そのままきっちりと勝ちきった。

今日の将棋が素晴らしいと感じたのは、コンピュータ将棋らしくなく、互角に近い形勢が続いたことだ。
コンピュータ将棋では、どちらかが一方的に有利になって、そのまま勝ちきってしまうような将棋が多い感じがしている。
終盤力が強いから、最後の方では逆転はほとんど起きない。
だから必死に粘っているけれど、少しずつ悪くなって負ける。
最強の手で突っ張ると形勢不明なのだが、自信の持てない方が逃げてしまい、ただ粘っているだけの将棋、そんな将棋が多い。
それに対して今日の将棋はぎりぎりまで戦っているのが素晴らしかった。
それにも関わらず、将棋はすぐ終わることなく、延々と続く。

現在のコンピュータ将棋最高峰の一局だと思う。
将棋を知っている人は一度は見てもらい、感動して欲しい。
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