異をとなえん |

続:中国の挑発行為の目的は何か?

2013.02.08 Fri

21:52:35

中国が日本の自衛艦に射撃管制用レーダーを照射した問題について、正式なコメントを発表した。

「監視用レーダー使用」 中国国防省が主張「日本側は事実ねじ曲げ」

引用開始

 中国国防省は8日、中国海軍艦船が海上自衛隊の護衛艦とヘリコプターへ射撃管制用レーダーを照射したとする日本側の説明は「事実と異なる」として全面否定、監視用レーダーを使ったと主張した。インターネットの同省ホームページに掲載した。

 同省によると、中国海軍の艦船が1月19日に海自横須賀基地(神奈川)所属の護衛艦「おおなみ」搭載の哨戒ヘリコプターに対し、30日には海自佐世保基地(長崎)所属の護衛艦「ゆうだち」に対し、いずれも監視用のレーダーを使用したという。ただ、射撃管制用レーダーについては「使用していない」と主張した。
引用終了

コメントは完全否定で、日本が主張した事実自体が存在しないとした。
今回は、このコメントの意味について考察したい。

まず、本当の事実はどうかという問題がある。
日本政府が虚偽の主張をしている可能性だ。
しかし、日本の自衛隊が意図的に虚偽の事実を発表するとは思えない。
なんと言っても、民主国家では虚偽情報は最終的に発覚する可能性が高い。
どのような偽装を施したとしても、検証を行えばばれる。
今回の問題も日中の間で、事実かどうかが審議されれば、具体的なデータを公開せざるを得ないだろう。
そして、整合性のあるデータを偽造することは難しい。
発覚する可能性が高ければ、そんな責任を問われる行為は誰もしない。
結局、中国が射撃管制用レーダーを照射したという事実は確かだと思う。

それでは、なぜ中国は事実を全面否定したのだろうか。
日本が中国の軍艦に対して追跡、監視してくるので、仕方がなく警告の意味で実行したと、なぜ言えないのだろうか。
一つには、射撃管制用レーダーを照射すること自体が国際法上の武力の威嚇であると認識したからかもしれない。
私などは軍事にうといから、射撃管制用レーダーを照射することがそれほどの大問題であるとは認識できなかった。
けれども、これが国際社会で非難される行為ならば、それを認めた場合国際世論は日本につく。
国際世論はともかくとして、アメリカが日本の立場をはっきりと支持すると、中国としては戦争を起こした責任を日本に転嫁できなくなる。
これは、まずい状況だ。
中国にとって、尖閣諸島の問題は日中間で圧力をかけて解決したいので、国際社会の介入をまねきたくない。
そこで完全に居直って、自己の正当化を図ることはできない。

それでは、単なる現場レベルのミスとして発表することはできなかったのだろうか。
事実を完全に捏造するより、意図のみをごまかそうとするわけだ。
その方がばれにくく、中国が事実を捏造する国家だという評判を抑えることにもつながる。
しかし、これは誰が責任を取るかという問題で実現できない。

中国では穏健派と強硬派の間で対立があり、日本に対して圧力をかけることは認めるが、戦争を起こすことは認めないということで、妥協していると思われる。
射撃管制用レーダーを照射するというのが一線を越えた行為というのは、中国のどのレベルで理解できているかわからないが、艦長は少なくとも知っているはずだ。
そうすると、穏健派にとって強硬派の行動は認められるものではなく、両派の妥協点を破った行為となる。
本当に理解していないかったとしても、それは国際法に無知だということだから、艦長としては非難され、責任を取らなくてはならない。
実際には当然上の支持があったと思うのだが。
しかし、艦長に責任を問うというのは強硬派にとってとうてい認められるものではない。
艦長は下手すれば自衛隊から攻撃を受ける可能性があったはずだ。
つまり、体をはって命令を実行しているのである。
勲章をもらってもいい行動が逆に非難されたら、誰も命令を聞かなくなる。
だから強硬派は事実自体を捏造したのだ。
穏健派は事実自体を否定されると、習近平が強硬派と思われるので、それ以上は突っ込めず黙らざるをえない。

事実自体を捏造した理由はわかったが、それでは今後どうなるだろうか。
結論から言うと、射撃管制用レーダーを照射することは今後起こらないと思われる。
中国首脳部全体で射撃管制用レーダーを照射することが戦争に直結する行為だと認識された。
今後軍部が勝手に実行したとしても、当然日本は事実を公開するだろう。
詳細なデータが出てくれば、国際世論もそう認識する可能性が強い。
中国首脳部も居直れなかった以上、ごまかしきれなかったら軍部に責任を問う。
結局、そうならないように軍部に射撃管制用レーダーを照射しないことを命令する。

日本は今回の行動で中国に対して1ポイント上げたと思う。

余談なのだが、今回の記事を書くにあたって、中国の中央軍事委員会の現在の正確な構成が気になってしまった。
中国の中央軍事委員会は党と国家、別々にあるけれど、基本的に構成要員は同一だから問題ないと言われている。
しかし、今は権力の端境期で、党の要員は替わったが、国家の要員は替わっていない。
軍に正式な命令を出せるのはどっちなのだろうか。
党が実質上のような気もするけれど、法律的にそれでいいのか。
命令系統がはっきりしていないのは、どうかなと思う。
今回の問題にも微妙に影響している気がする。
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