異をとなえん |

続々:なぜ中国は戦前の日本と似ているのか?

2012.10.26 Fri

21:38:29

前回の続きで、なぜ中国は戦前の日本みたいに、権力が分化し、ばらばらになっているかを考えて見たい。
ただ一応答えは出たのだけど、あまり面白いものではなかった。

戦前の世界秩序挑戦国としては、日本、ドイツ、イタリア、フランス、ソ連などの名前が挙がる。
戦争に突入したとき、ドイツ、イタリア、ソ連などは、独裁が進み権力が極度に集中していた。
日本、フランスはあまり権力が集中していたとは言えないだろう。
この状況を指して、世界秩序挑戦国において権力の分化が進む理由はないと述べたのだが、これは戦争直前の話だ。

戦争直前になれば、戦争を引き起こす国は軍備を増強して、戦争指導のために最高指導者に権限を集中する。
日本は元々権力集中型ではないが、それでも太平洋戦争直前は総理大臣東條英機にかなりの権力が集まっていた。
逆に言うと、戦争準備をしなければ権力は分散したままだったことになる。
大恐慌と保護貿易主義によって、世界秩序挑戦国では国民の生活水準が下がり、不満が蓄積していった。
それを晴らすために、対外強行策に出ることで戦争の危険が高まり、結果として権力が集中したわけだ。
日本、ドイツ、イタリアはこのパターンだろう。

大恐慌の前はどちらかというと、権力分散し、政府はかなり不安定だった。
権力が分散する最大の理由は、経済の成長に全力を注いでいたので、権力の集中の必要がなかったからだ。
経済が最高に成長するときは、個人が自分の能力を最大限に活用しようと、個々の判断で活動していく。
資本主義国では民間企業が自分たちの創意工夫で生産を伸ばそうと必至になる。
政府が何もしようとしないほど、経済は成長しやすい。
だからこそ、急成長した国ほど権力の分散は進んだのだ。
そして、急成長した国ほど急な不況がこたえ、自分たちの成長に自信を持っているので、傲慢となり世界の秩序に挑戦する気になる。

戦前の日本も現在の中国も、政府が自由放任主義で民間の自由な裁量に任せたから、経済は急成長した。
だから、日本は権力が分散していたわけだ。
中国も今までは高度成長していたから、権力は分散していた。
政治局常務委員が5人から7人、そして9人に増えていったのは、それも理由だろう。
そして、今回の党大会で9人から7人に減らそうとするのは、対外関係が不穏となったので、意思決定の速度を早めるためだとも考えられる。

このように戦前の日本と現在の中国で権力が分散されていたのは理由があったわけだ。
問題はこの後だ。
中国共産党内で権力の分散と動脈硬化が進んでいる部分は、ソ連共産党の状況にも似ている。
ソ連共産党は権力集中の方向には向かなかった。
もっともスターリン、フルシチョフのころは戦争の危機が近くて、権力は集中していた。
それが、核による戦争抑止の力が強かったので、改めて戦争を実行する力が働かず、段々と平和に慣れて権力が分散していったのだろう。

中国は成長が急停止したら、戦争のために権力集中が起こる可能性が高い。
中国はまだ成長が続いている。
輸出は低迷しているけれど、統計上はまだプラス成長だし、実際の所もプラスのように思える。
人々の生活は停滞気味だろうけど、悪くはなっていない。
だから、反日デモに現れるように暴動等を起こすエネルギーはたまっているけれど、それほど強くはない。
問題はこれからだ。
さらに世界の景気が低迷するようならば、中国もマイナス成長に落ち込むかもしれない。
そうすれば本格的に中国の社会は不安定になる。
カオスの時代の到来だ。
本格的に対外強硬路線に向かう可能性は高い。

戦前の日本みたいに、テロ事件が勃発することで、軍部が中心になって対外強硬政策を貫く政府ができるのが、今後の中国の政治の本命だと思っている。
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