異をとなえん |

続:胡錦濤の面子が潰れたから反日デモが起こったというのは、中国の宣伝工作だ

2012.10.09 Tue

21:44:11

前回の記事では、中国側が日本の外交を誤解したというリンクを三つ挙げたが、他にも二つ見つけた。

民主党政府が理解していない「中国が怒る三つの理由」
発火点は野田総理と胡錦濤国家主席の「立ち話」

この話にちょっと引っかかっているのは中国の宣伝工作の具体例を見つけたという驚きだ。
私は一般人として外交の裏舞台など知るよしもない。
だから中国の宣伝工作といってもピンとは来ない。
それがなんというか、こういう形で実行するものだということに気づいたことに興奮している。
だからそれを証明したいと感じて、補足しているわけだ。

宣伝工作だという推論は主として二つの事実に基づいている。
一つは中国側が誤解したというのは、中国側しかわからないことだ。
基本的に胡錦濤に情報が伝わらなかったとかいう話は胡錦濤だけしかわからない。
田原氏は「その内容は戴秉国氏から胡錦濤氏にきちんと伝わらなかったのではないか」と書いているが推測でしかない。
胡錦濤が回りにそのように主張するとはなかなか考えにくいのに、なぜ多くの人がそのように推測するのか。
中国側がそう主張しているからだろう。
しかし、最高指導者の個人的判断を下部の官僚が推測することは、普通は越権行為のはずだ。
指導者への批判と受け止められかねないからだ。
それを複数の中国側の人間が主張しているのは、統一した指示が出ていることをうかがわせる。
複数の中国側の人間というのは、5つのソースもあれがさすがに一人の人間だけが主張したことではないだろうからだ。

胡錦濤が誤解した、あるいは胡錦濤が警告したのに日本が従わなかったというのは、基本的に中国指導者の能力に対する批判だ。
自民党の谷垣総裁が野田総理と会談して、「近いうちに解散」で合意した。
私などからは野田総理のみえみえの嘘に見えたが、実際に会って谷垣さんは野田首相を信用できると判断した。
だから、それが嘘だということは谷垣さんの人間観察能力が劣っていることを示している。
だまされたというのは人間は善良かも知れないが、指導者としては失格だ。
総裁選に出馬できない状態に追い込まれても仕方がない。

胡錦濤の場合も同じだ。
野田首相にだまされたというのも、日本の出方を誤解したというのも、面子が潰されたというのも、どれであっても指導者として批判されることに変わりはない。
反対派からは、「われわれだったらおめおめと野田と話すことはなかった。尖閣国有化を撤回しなければ会いもしない。」と主張するだろう。
会わないというのが、なぜ日本に対する制裁につながるのかはわからないけれども、小泉首相との会見を拒否したことで、そのように考えていることがわかる。
つまり胡錦濤国家主席は能力不足だから、他の有能な指導者に交替しろという主張に容易に変わりうるのだ。

そうなってくると、胡錦濤が誤解したという中国側の主張は、諸刃の剣となる。
だます人間も悪いがだまされる人間も悪い、というのはよく言われる話だ。
つまり、最高指導者の胡錦濤批判となる話を中国側がなぜ多くの日本人に伝えるのか。
社長の面子が潰されて笑いものになったという話を、末端の社員が組織的に実行するのはおかしいだろう。
だとしたら、やはり宣伝工作となるわけだ。

もう一つの事実は中国側の主張を受け入れた場合の結果だ。
民主党と外務省の無能が今回の反日デモの原因だと受け止めれば、日本国民は日本政府が中国に譲歩して尖閣問題を解決することを要求するだろう。
実際単純に記事を読んだかぎりでは、野田総理に辞任を要求するのが普通の感覚ではないだろうか。
あるいは日本政府に譲歩を要求するかだ。
日本政府と日本国民の間の意見が分裂し、日本国民が中国に妥協するように要求することは、中国側の思うつぼだろう。
この二つの事実が中国の宣伝工作と理解する理由だ。

中国側の宣伝工作だという推論を元にして、中国情勢を考えて見る。
胡錦濤が日本側の意図を誤解していたとは思えない。
それなのになぜ野田首相と話し合いをしたのか。
思いつくことは二通り。
一つは、胡錦濤は形式的に尖閣諸島国有化に抗議するけれど実際は容認するつもりだったというものだ。
その後、反日デモを止められなくなったのは反対派からの突き上げによって、政策の指導権を失ったからだ。
もう一つは、面子を潰されたというのを口実にすることによって反日デモの大義名分を得るためだ。
前に書いた記事(習近平が消息不明だった理由は?)ではそのように推理した。
しかし、この場合も最高指導者としては明らかに軽んじられている。
つまりどちらの場合も胡錦濤は政策上の指導権を失いつつあるのではないだろうか。

胡錦濤は親日派だと一般に言われていた。
福田首相との東シナ海での共同開発の合意は、そういう立場を取っていたことを強く示唆する。
胡錦濤体制化で反日デモも起こっているが、共同開発の合意は最高指導者の承認が絶対必要だろう。
それを認めたということ自体が親日派となる。
それなのになぜ大規模な反日デモを止められなかったのか。

あるいは最近の党弁公庁主任の交代だ。
党弁公庁主任は党人事の要だろう。
それが胡錦濤派から習近平派に変わったのは、習近平の力が増大している表れではないか。
習近平がスムーズに権力の引継ぎができるかはわからないが、反日派の勢力が増大しつつあるというのが私の中国理解だ。
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