異をとなえん |

海外への資金の逃避について

2012.10.02 Tue

21:39:26

日本の衰退は免れないから、資産を海外に逃避させようという意見がある。
もちろん自分の金をどうしようと個人の責任だからかまわないけれど、彼らはもうかっているのだろうか。
2008年からの円高では1ドル120円が80円になった。
海外の資産価値が3分の2になったわけだから、よほど高い金利で回していなければ元本を割っているはずだ。
そして、金融危機により投資自体も失敗した可能性が大きい。
結局海外投資では失敗した人が多くないだろうか。

日本はバブル崩壊以後、需要が伸びなくなった。
資産価格の下落によるキャッシュの枯渇が原因だろう。
その結果、供給能力自体は別に変わらないので供給と需要のギャップは輸出で埋め合わせようとする。
輸出が増えて貿易黒字がさらに大きくなれば、ギャップは解消し供給を維持できる、つまり雇用を維持できることになる。
しかし、貿易黒字がさらに大きくなればそれに見合った資金が外国に還流するのでなければ必然的に円高になる。
それは結局輸出を増やせないことを意味する。
輸出を増やすためには、貿易黒字の増大に見合った分、海外に投資しなくてはならない。
けれども海外への投資は最終的に国内に製品やサービスとして取り戻す必要がある。
さもなければ投資する意味がない。

韓国の新聞に出ていたけれど、韓国国内での円建ての融資は円を手に入れる当てがなければ、借り換えしないほうがいいとあった。
これは韓国の資金繰りが苦しくなったときの話なのだけれど、2005年ぐらいに円安でなおかつ金利が安いときに日本から円建てで借金した企業があったわけだ。
それが金融危機以降円高によって返すのが急に難しくなってしまった。
そこで急場をしのぐために借り換えようとするのだが、その場合円建てで借り換えるのはやめた方がいいという意見だ。
円建てで借り換えても、さらに円高が進行したら企業にとって致命傷になるからだ。
でも日本に輸出して円を確実に取得できる自信があるなら、借り換えても大丈夫なわけだ。

つまり円建てで借金するということは、日本国内の需要をあてにしている。
日本国内の需要が増えていくのでなければ、借金するのは危険になる。
実際日本ではデフレになっていて、借金をできるだけ返済しようと企業ががんばることになった。
日本がデフレになれば必然的に円高に振れ、海外投資が利益をあげることが難しくなる。

日本が2002年ぐらいからむしろ円安に振れていたのは、外国の景気がアメリカを中心としたバブルによって非常に良かったためだ。
海外での投資の利益が非常に増大したので、日本から大量に投資をすることができ、結果輸出が増え、貿易黒字が増えても円高に振れなくなった。
海外の景気が良かったから日本も良くなったという話になる。

今はしかしどうなのか。
海外の景気は悪くなっている。
アメリカの国債金利が非常に低くなっているのは日本と同じようにデフレが近づいているからだろう。
そうすると日本からは当然資金が流れない。
むしろ日本の国債が安全だと逆に資金が流れてくる。
資金の面から見れば円高の可能性が高い。
もっとも貿易面から見れば輸出が伸びなくなっているので、貿易収支は赤字になっている。
これは円安要因だけれども、貿易収支の為替相場の影響は小さくなっている。
資金の移動の方が為替相場に効いてくる。

まとめると、ドル円相場が均衡状態にある現在、海外への資金の逃避は慎重にした方がいい。
はっきりアメリカの景気が良くなり、相場が円安になってからでも投資は間に合うと思う。
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