異をとなえん |

尖閣諸島問題について中国はどう考えているか?

2012.08.22 Wed

21:22:06

尖閣諸島問題について、中国はどう考えて行動しているのだろうか。
下記にあるように、領土拡大を求めて戦略的に行動しているというのが一つの見方だろう。

中国の「経済ミサイル」に要注意
尖閣を巡る次の圧力は「威圧経済外交」か


しかし、私にはそう思えない。
中国共産党が未だに共産主義の理想を信じ、世界支配の野望を持っている可能性はある。
社会主義市場経済などという、いんちきにしか思えないスローガンをかかげていても、経済を知らない一部の共産党官僚はドグマ的に共産主義の優位を信じているのかもしれない。
中国人民解放軍あたりも信じている可能性がある。
けれども社会主義市場経済というお題目で、10数億人の中国人を支配している共産党指導部が、そんな理想を信じているように見られない。
すでに指導者も、毛沢東、とう小兵、江沢民、胡錦濤と4代を数える理想を目指した時代は、とっくに終わったことだろう。

それでは、今の中国が目指している外交目標は何だろうか。
私には、今の中国は戦前の日本と物凄く似ている、と思えるのだ。
経済力、軍事力が大幅に伸長しているけれども、世界からはそれに見合った待遇が与えられていない。
共産主義というイデオロギーで活動しているので世界からは仲間外れにされている。
先進国に国全体としては大きくなったとしても、1人あたりのGDPではまだまだ全然低い。
優越感と劣等感がないまざって行動している。

アメリカに対抗するための軍事費の増額は軍部の力を増強させている。
特にイデオロギー的な力を持たなくなっている共産党指導部はどうしても、軍部の力を気にせざるを得ない。
軍部は予算が増えている以上、それを使いたい誘惑にかられている。
戦前の日本で最終的に軍部が力を持てたのは、世界に力を見せ付ける点で国民に支持されたからだ。
中国でも、中国の力を世界に見せ付けたいと思っている人間がたくさんいるように思われる。

下記の記事は親日と反日に関係なく、領土の増加を支持する人々が多くなっていることを示している。
「親日」か「反日」かでは語れない領土問題

しかし、戦前の日本は破滅への道を進んでいった。
軍事的に強くなれば、小国に対しては勝てる。
でも世界の秩序に反すれば、反動もきつい。
日本の中国侵略はアメリカを中心とした反発をまねき、悲惨な戦争に日本を追い込んだ。
核の呪縛は中国を戦争へなかなか導かなくとも、周辺諸国との領土争いを続ければ、経済に支障をきたす。

日本も指導部が欧米との対立を避けるために、軍部の活動を押さえ込もうとしたが失敗した。
中国では全面戦争がほとんど考えられない以上、ある程度のところで抑制が効くと思う。
しかし、国民の間で不満が高まっていては、そう弱気にも出られない。
つまり、中国の行動はよそから見ると、強気になったり、弱気になったりで、統一されなくなる。
世界は中国の深い戦略と考えるかも知れないが、たぶんに誤解だろう。
目先の危機を解消するために、手当たりばったり行動しているに過ぎない。
日本の小泉政権のころに副首相が小泉首相との会見をどたんばキャンセルしたのがいい例だ。
反日というお題目で中国国内をまとめているために、日本がいうことを聞いてくれないとそれだけでぱにくっているようなものだ。

それでは、今後中国は尖閣諸島問題に対してどう行動するだろうか。
尖閣諸島に対して日本側の実効支配を強化させなかったのは、ある意味中国外交の勝利だった。
日本が有効な対策を取れないうちに、中国の国力を拡大すれば、いつかは尖閣諸島を領有できるというわけだ。
台湾に対する軍事的侵攻を考慮すれば、尖閣諸島を支配するのは有効に見える。
でも国民に対して、尖閣諸島は中国領だと主張したのは諸刃の刃だった。
その主張にとらわれて、日本の実効支配の強化に対して、対抗措置をとらねばならなくなっている。
中国指導部から見れば尖閣諸島は大いなる悩みの種になりつつあると思う。
領土問題は妥協しづらいからだ。

それでも日本が尖閣諸島に実効支配の行動に出ればどうなるか。
前の記事で書いているように、国際司法裁判所への提訴ではないだろうか。
今の日本が竹島にされていることへの対抗措置と同じだ。
国際司法裁判所に提訴して、自分たちの方に正義があると国際世論に訴えるわけだ。
日本が拒否すれば、国民に対して自分たちが正しいことを示せる。
そして、今は時期ではないが、いずれは軍事力を持って奪還すると国民に約束できる。

日本が竹島で国際司法裁に提訴するのと同じ理由となる。
違うのは韓国が提訴に応じなくとも、軍事力を使用しないことだろう。
日本国民が自分たちに正義があると思ってくれれば、国内世論をおさえられる。

中国の場合の問題は国際司法裁に提訴しても日本が応じてしまう可能性がある点だ。
日本が応じれば、少なくとも実効支配を崩したことになる。
日本が竹島に対して韓国が裁判に応じれば、自分たちの主張の勝利と言うように、中国も国民には自分たちの勝利と主張できるだろう。
しかし、負けると尖閣諸島を支配する可能性がなくなってしまう。
もっとも、国際司法裁で負けたなら、国内世論をある意味抑えられる。
日本が竹島に裁判で負けたならば、たぶんあきらめるように、中国国民も納得するだろう。
リットン報告書を日本人が拒否したように、中国人も拒否する可能性はあるが、実効支配をしていなければ、別の方面に焦点を移すと思う。

この理屈は南シナ海にも適応できるだろうか。
中国はASEAN諸国との南シナ海の紛争では他の国の仲裁を拒否したい。
二国間で対立している方が自分の意見を力で押し通せると考えているからだ。
軍事的手段だけでなく、経済的な力も有効に使える。
そして、とにかく自分が先に居座ってしまえば、軍事的に対抗できない国に対しては勝てると思っているからだ。
だから、こちらでは国際秩序への仲裁はなかなか受け入れない。
裁判に負けて撤退するのを国民が許容しない可能性もある。

南シナ海の問題と尖閣諸島の問題は中国政府では異なる対応だろうけれども、中国が軍事的に勝てない状況で日本が実効支配を進めれば、国際司法裁の提訴を共同で行う可能性は十分にあると思う。
このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る