異をとなえん |

日本は尖閣諸島に対して具体的な実効支配の行動を取るべきだ

2012.08.02 Thu

21:31:24

BLOGOSに尖閣問題についての記事が二つ上がっている。

尖閣を奪われたらどうなるか
尖閣諸島問題:日本からエスカレーションを仕掛ける愚かさ

どちらも石原都知事が進める尖閣諸島を都有地にする構想に反対している。
私は賛成派なので両方の意見に同意できない。
そして、両方の意見とたぶん根本的に違っているので、その意見をまとめておく。

まず、尖閣問題における日本の最終的な目的が異なっている。

「尖閣諸島問題:日本からエスカレーションを仕掛ける愚かさ 」には次のように書かれている。

引用開始

尖閣諸島問題において我が国の目的はどこにあるでしょうか。私は「尖閣諸島の実効支配を維持すること」だと考えます。ここが違うと議論がかみ合いませんが、この目的を達成するためにリスクやコストを極力小さく抑えられればより良い、という事になります。
引用終了

「尖閣を奪われたらどうなるか」には日本の目的ははっきりと書かれてはいないが、同じようなものだと受けとれる。

私には「尖閣諸島の実効支配を維持すること」が重要とはとても思えない。
はっきり言えば放棄したって全然かまわない。
資源はあるかも知れないが、日本は全然開発に着手しなかった。
つまり日本政府は中国と争ってまで開発する利益があるとは思わなかったのだ。
将来的には違うかもしれないが、海底資源の開発のコストを考えると当分利益にはならないだろう。
何の利益も挙げていない実行支配にこだわっても意味はない。

それでは、私の考える日本の目的は何か。
それは「中国と全面的な戦争をしないこと」だ。
だから中国が尖閣諸島を強引に占領しても、日本がそれに対して何の行動もしないならば、実のところほうっておいてもいい。
問題は中国の軍事行動に対して、何の反撃もしないことを日本の世論が承知するかだが、無理だろう。
遠い将来日本の軍事的反撃が絶対に勝てないと、国民全てが周知するような事態になれば別だろうが、そうでなければ日本の反撃と小競り合いは必死だ。
こうなると予測が全然つかなくなる。
双方に死傷者が出れば、戦いがエスカレートする危険性は大きい。
日本が尖閣諸島の戦いで勝利すれば、中国軍としては絶対に引けなくなることもある。
アルゼンチンがフォークランド戦争の際に、イギリス軍の反撃によって島を奪還された後、核兵器を持っていればそれを使う誘惑を抑えられるかという話だ。
中国も戦況が不利な場合、核による反撃を考えるかもしれない。
この事態だけは絶対に避けたい。

譲渡反対派の二人の意見は、日本が現状実効支配しているのだから、ことを荒立てるべきではないという考えと取れる。
しかし日本の実効支配といっても、具体的に何があるのか。
中国側から見れば、中国が尖閣諸島を実効支配しているが、日本の主張を考慮して開発だけはしていない状態と考えてもおかしくないように見える。
つまり日本の立場と同じわけだ。

それでも、今までは現行の戦略で問題なかった。
それなのになぜ今変更する必要があるのか。
最大の理由は中国の力が無視できなくなったからだ。
今までは日本が軍事的に有利だった。
だから中国の主張を無視することができた。
しかし、現状の経済成長が続けば中国の軍事力は非常に強大化することが予想される。
空母の保有を開始したし、アメリカに軍事力で追いつこうと努力している。
中国のGDPが順調に成長したならば、アメリカと本当に互角に戦えるようになるかもしれない。

そうすると、尖閣諸島を軍事的に支配することが容易にできると思えるかもしれない。
そして、日本は中国には勝てないから反撃しないと予想する危険性がある。

「尖閣諸島問題:日本からエスカレーションを仕掛ける愚かさ 」には、「防御側のエスカレーション戦略に抑止効果はない」と簡単に結論を出しているが、疑問だ。
たとえば、朝鮮戦争の時の北朝鮮の韓国侵攻はアメリカ側が救援には乗り出さないと共産圏が誤解したからこそ発生したのではないだろうか。
最初から、38度線にアメリカ軍が駐留していたら、共産圏が侵攻を留まった可能性は十分にある。
北朝鮮がどんなに侵攻を望んだとしても、スターリンがそれを認めなかっただろうという話だ。

日本が尖閣諸島にある程度の人員を配置した場合、中国の尖閣諸島への軍事的な占領は戦争への覚悟が必要になる。
中国もそれはなかなか難しいだろう。
現状ではフィリピンみたいに、日本が何もしないと予測されかねない。
日本も尖閣諸島に人員を配置すれば、中国の侵攻に対して、ほぼ自動的に軍事的な反撃をせざるを得ない。
私みたいに尖閣諸島なんか放棄しようと考える人間に口をはさむ機会を与えないわけだ。
互いの意図が明白になるわけだから、むしろ戦争抑止には有効に思える。
つまり、尖閣諸島を日本が絶対に守るかどうかはっきりすることが、戦争の可能性を減らすと考える。

それでは、日本が尖閣諸島を都有地にする、あるいは国有地にすることによって、具体的な実効支配の行動をした場合、中国はどう行動するだろうか。

「尖閣を奪われたらどうなるか」では、中国が尖閣諸島の軍事的な占領をしてアメリカの仲介によって引く、という予測をしている。
この場合日本の尖閣諸島の実質的な支配が阻害されるから、日本にとって不利だというのが、結論だ。
私の意見は全く違う。
どうであろうと国際的な関与によって、尖閣諸島の支配権が保証されるならば、戦争の危険性が極めて少なくなる。
これは尖閣諸島の支配権が日中どちらの手に渡ろうと同じことだ。
アメリカの仲裁によって国際的な関与が行われるのが重要なのだ。
だから、津上氏のたぶん最悪な予測でも大歓迎だ。

私は日本が具体的な実効支配の行動をした場合は、もう少し違う予測をしている。
中国の軍事的な行動は、現時点では成功するかどうか疑わしい。
アメリカの援助がなくとも日本が勝利する可能性が十分にある。
そうすると中国は軍事活動に訴えられない。
経済的な反日行動を取る可能性があるけれど、日本も具体的な実効支配の活動をしてきた場合は引けないだろう。
そうすると手詰まりだが、中国は手詰まりだからといって何も行動しなければ、世論がもたないかもしれない。
だから、国際司法裁判所への提訴が一番考えられるのではないだろうか。
そこで、日本が平和的な解決のために裁判に応じるとすれば、国際的な関与のもとで尖閣諸島の支配権が決定する。
もちろん、日本が裁判には勝つことも負けることもあるだろうけれど、結果はどうでもいい。
国際的な正義に従うならば、日本の面子は立つ。
それは中国も同じことだろう。
中国だって日本と戦争するより、平和を望んでいると思う。
面子さえ立てば兵を引くことができる。

以上のことから、私は日本が尖閣諸島に対して具体的な実効支配の行動に出ることに賛成だ。
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