異をとなえん |

GPS将棋をプロ棋士が分析する

2012.06.20 Wed

20:57:10

記事を書こうと思っている途中で、いきなり面白い番組を見つけてしまったのでリンクだけしておく。

野月七段らによる生放送配信スタート

この前のコンピュータ将棋選手権を分析している。
GPS将棋の全ての対局を分析しようとして途中で終わっているみたいだ。
全部見れていないのだけれど、面白い。
後できちんと見ようと思う。

その中のコンピュータ将棋の分析部分で私の意見を書いておく。

コンピュータ将棋は飛車先の歩の交換を簡単に許す特徴がある。
飛車先の歩の交換の得をコンピュータは簡単に理解できないのだ。
コンピュータの評価関数は終盤のギリギリの局面でもっとも最適化されていなければならない。
結局そこが一番大事だからだ。
コンピュータは局面を深く読むことによって、強くなってきた。
けれども序盤ではいくら深く読もうとしても限界がある。
たとえば飛車先の歩の交換の得が30手先に評価関数の上ではっきり現れるとしても、20手先までしか読めなかったならばその得がよくわからない。
人間は飛車先の歩の交換の得を、先の局面がどうなるかわからなくても感覚的に理解できる。
そういうショートカットがコンピュータには苦手なのだ。

序盤向けの評価関数を整備する考え方もあるのだろうけれど、それをどう整備するかが難しい。
飛車先の歩の交換が悪いと簡単に教えたら、他の部分と不整合を起こしそうだ。
そうするとコンピュータにとって一番簡単に飛車先の歩の交換が悪いことを理解する方法は、読みをより深くすることだ。
マシンの性能が進歩すれば自然に達成できるので、プログラマーはそれほど問題視していないと思う。

コンピュータ将棋が人間と戦う場合、強化の最大のポイントはまず入玉模様の将棋だろう。
次に定跡をそのまま追随していたら、詰みまで整備されていてそのまま負けてしまうような将棋だ。
飛車先の歩の交換は致命傷にならずに、定跡から抜けられる点でむしろコンピュータとしては歓迎ではないだろうか。
今回のコンピュータ将棋選手権でfloodgate最強のponanzaが右玉模様の将棋に走ったのは、基本的に力将棋に持ち込みたかったからで、それは人間に対しても適用できる気がする。
人間としては飛車先の歩の交換から、最後の詰みまで研究しておけばいいのだろうけれど、それは難しい。

故大山名人は悪いという結論が出ている定跡をあえて指したという。
少しぐらい悪くても相手が研究していない局面に誘導した方が力の差が出やすいと見たのだろう。
コンピュータもそういう考えにいたりつつある。
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