異をとなえん |

スペインの国債利回りが下がらない - ギリシャ危機の本質(その3)

2012.06.18 Mon

20:39:37

ギリシャの選挙では新民主主義党が勝った。
連立を組んで緊縮政策を続けることになるだろう。
とりあえず一安心である。
しかしスペイン10年物の国債利回りは7.14%をつけ、ユーロ導入後の最高を更新した。
危機は依然として去っていない。
これは今までも述べてきているように、資産価格崩壊によって債務の返済ができなくなっている現象に他ならない。
だから資産価格が底を打って、その価格の元で市場が均衡しなければ経済の健全な成長は期待できない。

スペインの住宅市場がバブルであり、ユーロ導入後とてつもなく上昇したのは周知の事実であったが、リーマンショック後も意外と下がっていなかった。
私には、住宅市場価格の下落、不良債権の増加、金融危機という日本のバブル崩壊と同じことが予想されたが、スペインの銀行の資金繰りはそれほど悪化することもなく、平穏な状態を保っていた。
けれども実際は、不良債権の増加を抑えるために、銀行が必死になって住宅市場価格の下落を抑えていたことが本当なのだろう。
スペインの住宅価格下落に拍車がかかっている背景を見ると、ついに住宅価格の下落に拍車がかかったようだ。
キャッシュフローがついにもたなくなったのだろう。
それと同時にこの住宅価格に基づいた経済活動の再構築が必要になってくる。

スペインの名目GDPは2008年のリーマンショックの時が最高で1兆877億ユーロだが、2011年も推定値1兆733億ユーロでたいして落ちていない。
経常収支の赤字はGDP比10%から3.7%と大幅に低下しているが、まだ大きい。
スペインの資産が大幅に減少した以上、過大な負債を持ち続けることはできない。
負債を返却できるよう、借金を返し始めなければならない。
そのためには経常収支の黒字が必要だが、輸出企業の採算が合うように大幅に賃金を低下させなければならず、最終的にGDPの大幅な減少をまねくことだろう。
アジア通貨危機のようなクライマックスが近づきつつある。

イタリアの国債利回りもスペインにつられて上昇しつつある。
イタリアはスペインに比べてたいしたバブルもなかったが、経常収支はGDP比3.2%の赤字なので、ユーロ圏自体が収縮している以上、それに引っ張られている。
現在の財政がプラマイ0に近くとも、経済全体が悪化すれば財政は急激に悪化する。
それを市場は注視しているのだろう。

スペイン、イタリアも含めて世界全体で危機を押さえ込むように努力は続く。
アジア通貨危機でIMFが主導してタイ・インドネシア・韓国等を立て直したように、EUだけでは資金が足りなくとも、世界全体で面倒を見ればなんとかなる。
財政収支、経常収支を強引に黒字化さえすれば、手当てする資金は見せ金に過ぎない。
それだったらどうにでもなる。
ギリシャの全然黒字化する未来が見えていない状況とは違う。

金利7%と言うのは、アイルランド、ギリシャ、ポルトガルがEUに対して援助を求めざるを得なくなった金利だ。
スペインもお手上げになるのは見えている。
年内に正式な援助要請が来るのは確実だ。
イタリアがその状況に追随するかどうかは、また先の話になるだろう。
このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る