異をとなえん |

消費税増税をすれば支出を増やしていい訳ではない

2012.06.09 Sat

20:43:31

昨日の記事では、日本の供給能力は急激には減らないことを前提にした。
けれども少子高齢化で日本の生産力が激減する可能性もある。
少子高齢化で生産力が激減するが、需要はそのままなので大幅な供給不足になる未来を想定して、政府の財政について考えて見た。

少子高齢化が進み、日本国内で物を生産する労働者が全然いなくなり、少数の若者が老人の介護に必死になっているとする。
介護のために外国から労働者を雇う事態までにはなっていない。
輸出製品を生産できる能力はないから、大幅な貿易赤字になっている。
借金で赤字を埋めている可能性もあるけれど、安心のためには日本が海外に膨大な投資をしていて、その所得収支の黒字で貿易赤字を解消できている未来を想定したい。
つまり、今日本は世界一の純債権国だが、それをさらに増やすように努力しなければならない未来だ。

こういう未来を想定するならば、一番大事なのは経常収支の黒字をできるだけ保っていくことだ。
そうすれば対外純投資は当然増えていく。
政府は支出を増やしてはならない。
政府の支出は日本国内で消費されるので、海外に投資する分を食いつぶしてしまう。
日本国民の多くが未来を心配して、消費をやめ貯金をしたとしても、その分政府が支出してはどうにもならない。
とにかく未来かえってくることを前提にするならば、海外に投資するしかないのだ。

普通の人は年金制度などがない場合、老後のことを考えて貯金をする。
少子高齢化が確定的な場合、当然消費は少なめになり、貯蓄は大きくなる。
日本国内の需要は不足して、輸出が増え、海外投資が増えていく。
これは基本的に景気が悪くなることを意味する。
円高だし、国内の投資も消費も増えない。
けれども、長期的に労働力が不足するならば、海外にできるだけ投資した方がいいのだから、正しい変化のはずだ。
問題なのは、この時の政府の経済活動である。
つまり、国内の景気を良くしようと政府支出を増やすのは、本来ならば貯蓄しなければならない分を消費しているのと同じことだ。

国債でなく、消費税増税して支出を増やすのならば問題ないか。
これは意味ない。
本来ならば月15万円しかもらえないのに、月20万円もらっているとしよう。
これは稼いだ以上に支出している状態だ。
人口が増えている時代ならなんとかなっても、人口が減少している状態なら当然破綻する。
今はまだ働いている人が多いから余剰があるので、国債でも税金でも財政は均衡する。
でも、少子高齢化を前提にするならば、差額の5万円を増やすのではなくて、海外に投資しておかなければならない。
税金だからいいわけではない。

今後少子高齢化が進むのに、円高によって、日本の製造業が空洞化していくのを嘆く意見がある。
それは逆ではないか。
少子高齢化が進むというのは未来いきなり労働者がいなくなるという話だ。
だから、現在空洞化していなくて生産能力を保持できても、未来労働者がいなくなれば生産はできなくなってしまう。
生産設備は遊休化し、無駄な投資になる。
その状況を避けるには、本当に生産性の高い産業以外は海外に投資をまわすことだろう。

日本の企業が海外に投資して、その儲けによって、最終的に日本に輸入する製品分の利益が出せるようになればいい。
トヨタ自動車が海外で自動車を生産して、その儲けで日本に200万台分の自動車を持ってくれれば、日本の産業が空洞化してもなんとか回っていく。
つまり、円高によって海外に投資が増えていくのは、正しい変化ということになる。

私の考えでは、現在の日本の需要不足は生産性の低さが原因だ。
少子高齢化によって将来極端に貿易収支が赤字化する可能性は少ないと思っている。
だから、政府支出が国債の発行によって増加しても致命的な問題ではない。
消費税増税でもかまわない。
けれども、少子高齢化によって、未来極端に生産力が減るならば、とにかく今の支出を減らすしかない。
国債でまかなおうと、税金でまかなおうと関係ない。
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