異をとなえん |

ギリシャ情勢の今後 - ギリシャのユーロ圏離脱は不可能だ(その4)

2012.05.15 Tue

20:19:55

同じことを何度も書いている気がするが、あまり気にしないようにと考えを改めた。
繰り返し書けば文章が少しましになってわかりやすくなるのではと思う。

そういう訳でまたまたギリシャ問題だ。
JBPRESSでギリシャの選択肢の議論が出ていた。

今デフォルトするか後でするか、それが問題だ
ギリシャに残された4つの選択肢


選択肢は現状の緊縮政策、緊縮政策は続けるけれどプライマリーバランスを回復したらデフォルト、直ちにデフォルト、ユーロ圏から離脱の4つだ。
書いている人は2番目を推薦しているみたいだけれど、ギリシャ情勢は3番目を選択しようとしているように見える。
この道筋はどうなるだろうか。
記事の中では次のように予測している。

引用開始


 第3の選択肢は、SYRIZAのアレクシス・ツィプラス党首が示した道筋だ。同氏は、ギリシャが即刻、今のプログラムを撤回し、一部の改革を覆し、残っている対外債務についてデフォルトの可能性を検討することを望んでいる。そうしてもユーロ圏からの離脱にはつながらないとツィプラス氏は主張する。EUは、はったりをかけているだけだと同氏は言う。

 後者については、筆者はツィプラス氏が正しいという確信を持てない。ただ、それを言えば、間違っているという確信も持てない

 ギリシャが一方的にプログラムを撤回したら、どうなるのだろうか? まず、EUがギリシャ向けの融資を打ち切る。次にギリシャはすべての対外債務についてデフォルトする。

 だが、プライマリーバランスが赤字なため、ギリシャは今以上に大規模な緊縮プログラムを実行しなければならない。ギリシャがまだユーロ圏内にとどまることを望んでいると仮定して、他国が離脱を強いることはできるのか?

 欧州の条約には、ユーロ加盟国が単一通貨から離脱する条項がないし、どこかの国を追放する条項も当然ない。条約は、EUの通貨はユーロであるということも定めている。

 理論上は、欧州中央銀行(ECB)はギリシャ国債を担保として受け入れることを拒める。緊急流動性支援の要請を拒むこともできる。そうなれば、ギリシャは「自発的に」ユーロ圏から離脱せざるを得なくなる。だが、これは信じ難いほど敵対的な行為だ。

引用終了

この予測でよくわからないのは、次の二つだ。
1. "ギリシャがまだユーロ圏内にとどまることを望んでいると仮定して、他国が離脱を強いることはできるのか?"
2. ”ギリシャは「自発的に」ユーロ圏から離脱せざるを得なくなる。”

1番目が疑問なのは、他国が離脱を強いることはできるのかと、EUはギリシャをユーロ圏から追い出したいと考えていることを前提にしている点だ。
EUはギリシャを追い出したいのだろうか。
ドイツはギリシャに財政援助をするのは嫌がっているみたいだけど、別に追い出したいとは思ってないだろう。
ギリシャがユーロ圏に留まっていると、自然に出ていってしまう財政援助がある。
それをドイツは止めたがっているけれど、ギリシャがEUに協調しているとそうはいかない。
だから、いろいろともめたけど、なんとかギリシャとの間で支援のための合意をまとめたわけだ。
ギリシャがそれを反故にすれば、ドイツもそれを守る必要はなくなる。
だから、ギリシャのユーロ圏離脱を強制する必要はないはずだ。

2番目が疑問なのは、ギリシャがユーロ圏から離脱せざるを得なくなる部分だ。
私が前の記事で述べたように、ギリシャのユーロ離脱は不可能に近い。
新通貨の導入は直ちに経済システムの崩壊を招く可能性が高いからだ。
実行しようとしても途中で断念する可能性の方が強い。
そして、ギリシャのツィプラス党首がユーロ圏の離脱を主張していないのだから、離脱しないと考える方が普通ではないか。
EUとの合意を破れば当然報復的な行為が行われることも当然だろう。
欧州中央銀行(ECB)がギリシャ国債を担保として受け入れるのを拒むことや緊急流動性支援の要請を拒むことが、なぜ問題になるのかがわからない。
当然の措置に思える。

私の考えるギリシャ情勢の今後は次のようなものだ。
ギリシャは再選挙となり、急進左派連合が勝利する。
急進左派連合は緊縮政策を拒否してデフォルトに向かう。
EUは一時的にギリシャとの経済上の取引を凍結することによってそれになんとか耐えようとする。
ポルトガル、スペイン、イタリアなどもパニック的状態に陥る可能性もあるが、なんとかなる。
ならない可能性もあるけれど、それは突入するしかないだろう。
そして、ギリシャではデフォルトによって大混乱が発生し、輸入がほぼ断絶するだろうから、必要な物資が届かなくなり、国民が危機的状況に陥る。
そこで政府は自分の誤りを認め、EUとの合意に戻り、緊縮政策を続ける。

ギリシャがデフォルトすると大恐慌の再来もありえるかもしれないが、ユーロの解体はありえない。
それが私の結論だ。
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