異をとなえん |

中国は激しい権力闘争の時代にまた突入するのか - 「チャイナ・ナイン」感想

2012.03.23 Fri

21:00:53

「チャイナ・ナイン」という本に目を通す。

日経ビジネスオンラインで連載を持っている遠藤誉さんの中国本だ。
中国共産党中央政治局常務委員の9名をそう呼ぶらしい。
正式名称はともかく、中国語での通称は何なのだろう。
中国九老とかだろうか。
なんか全然違いそうだ。

昔なつかしの共産圏の権力闘争物語である。
読んでいると、それなりに中国の奥深くで続いている権力闘争の内幕がわかってくるような気がする。
長い中国経験のなせる技なのだろうか。
チャイナ・ナインの一人一人の経歴を解き明かすことで、彼らの戦略などが如実に示される。
江沢民が薄一波の手を借りて、権力闘争に勝つとか、だから薄煕来は江沢民派などというのが説得力を持って語られる。
本当かどうかはわからないが、少くともこういうレベルで中国国民は権力闘争を理解しているのだろう。

中国の権力闘争は実に激しかった。
最高首脳が殺され、逮捕されるのが普通の時代だったのが、少なくともだいぶ柔らいできている。
江沢民が総書記になって以降は、政治局常務委員の失脚はなくなった。

この理由の一つには、定年制がある。
70歳定年で、権力の座から降りたとしても、命の危険があるという状況にはならない。
命がけで権力闘争をしなくて済むようになったわけだ。
中国の政治の進歩だろう。

もう一つの理由は政策の対立軸が弱まっていることだ。
とう小兵による改革開放政策によって、中国は高度成長が始まった。
中国国民の誰もが利益を得ることで、権力闘争を起こすエネルギーは蓄積されず、現在の政策をそのまま続ければ良い形ができていた。
日本の高度成長時みたいなものだ。
池田隼人と佐藤栄作の両総理大臣が高度成長の立役者だろうが、政策が決まっていたことで、それを引っくり返そうとうする勢力は現われず、長期政権が続いていった。

それでは、中国の今後はどうだろうか。
最大の問題はやはり政策だ。
政策の変更を求める勢力が強くなれば、それに呼応しようとする勢力が生まれる。
その対立軸こそが政治闘争のエネルギーになっていく。
中国の現在の対立軸は何か。
民主化自体はどうでもいい話だろう。
権力争いの結果、自派の有利を図るために民主化を叫ぶ勢力はあるかもしれないが、直接の原因にはならない。
少数民族なども、たかが知れている。
重要なのは、やはり経済問題だ。

ただ、どういう形で亀裂が生まれるかは難しい。
そもそもまだ高度成長が続いて、亀裂など生まれない可能性だってある。
当然激しい権力闘争もない。

それでも高度成長は終わった感が強い。
賃金の伸びは顕著だ。
だから、外国資本の進出も止まりつつあるのではないだろうか。
そもそも、外国資本の中国進出の最大の理由は低賃金だった。
それがなくなれば、外国資本は進出する理由がなくなってしまう。
外国資本はベトナムとか、ミャンマーとかに進出するだろう。
外国資本の進出がなくなれば、中国の高度成長を生みだした最大のエンジンが止まってしまう。
中所得国の罠といったところだろうか。

もし、高度成長が止まったらどうなるか。
中国国民はいったい何を要求するか。
中国は極端に富の配分に格差があるので、この是正を求めるのが一番ありそうに思える。
戸籍制度を改正して、農村住民が都市住民になることができるようにする要求も強そうだ。

これらの声を代弁しようとする政治家は誰か。
そしてその声に反対しようとする政治家によって権力闘争が生まれるというのが、私の予想になる。

団派とか太子党とかの派閥は、その政策を代表していない。
それらの派閥は、気分による派閥であって実体がたいしてあるとは思えない。
本当に確固とした派閥があると反対派を完全に叩き潰そうとするから、あくまでも場外の下馬評というだけだ。
だから、本当の対立軸が生まれれば、それに合わせて派が再編成される。
そして、勝者が敗者をたたき出すだろう。

それほど激しい対立軸は生まれているのか。
薄煕来の毛沢東への回帰の運動は、格差の縮小を要求する勢力に対して、薄煕来が答えようとした、ともとれる。
ただ、それで薄煕来が失脚して、党中央が団結を誇示できるならば、たいした対立軸でもなかった話になる。
現在の日本の対立軸は新自由主義勢力と既存利益集団との争いだろう。
自分の国の場合はなんとなく予想がつく。
ただ、外国の場合はよくわからない。
中国の場合は特にそうかもしれない。
肝心要については、なにもわからないけれど、本を読んでそんなことを考えた。
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グローバリゼーションが格差を拡大させる - グローバリゼーションの本質とは?(その2)

2012.03.14 Wed

20:43:54

グローバリゼーションの話を続ける。
国ごとに話をしようと思っていたが、理論的な話をもう少ししたい。

リカードの比較優位説によって、自由貿易は貿易する国々の富を増やすということが説明されている。
それと同時に、ヘクシャー=オーリン・モデルによる要素価格均等化定理によれば、賃金は同一化していく。
先進国は労働賃金が中国みたいな低賃金の国に引き寄せられていくのに、どうやって自由貿易で得をすることが可能なのだろうか。
その答えは、資本と労働の分配率において、資本の分け前がずっと大きくなるである。

この理屈をどう証明する、あるいは説明するか、いろいろ悩んでいるのだが難しい。
一応考えた理屈は次のようなものだ。

二つの国AとBがあって、Aは資本がたくさんある先進国、Bは低賃金の発展途上国とする。
ここでグローバリゼーションの革新によって、A国からB国に資本と技術を移転すれば、B国でもA国と同じ労働生産性で商品を製造できるとする。
そうするとB国からA国への輸出が低賃金によって競争力が強いので増えていく。
これが均衡するのは、A国とB国の賃金が一致した所となる。
A国においては、賃金が下がっているのだから、前と同じだけの量を生産しているのならば、資本の取り分が増えることになる。
一方、B国においても、前は生産していなかった生産が生まれたのだから、資本は同じようにその利益を増やすことが可能になる。
B国の資本はA国から投資されたものなのだから、それはA国にとっての利益となる。
だから、総量としての生産量は増えているし、A国も資本の取り分と労働の取り分を合わせれば、その総量は増えているのだ。

どうもグダグダで、なんか穴がありそうだ。
理論はともかくとして、現実はそのように説明できると思う。

アメリカはグローバリゼーションを主導することによって、大きく成長した。
多くの製造業がアメリカを離れ、新興国に進出し、その製品を輸入した。
アメリカでは製造業の労働者が減少し、賃金は上昇しなくなった。
その替わりに、アメリカの多国籍企業は大幅に利益を上げることが可能になった。
その資本の利益は株式会社の配当として分配されるより、グローバリゼーションを推進した経営者たちの手におさまった。
一般労働者と経営者の所得格差は拡大していった。
もっともグローバリゼーションによる利益が上位だけに集中していたならば、そもそも輸入を増やせず、グローバリゼーション自体が止まってしまったことだろう。
資本による利益は配当の拡大、株式の価格上昇、そしてサービス業を通して、アメリカ国民全体にしみわたり、アメリカ全体が豊かになっていった。
金融業が非常に儲かったのも、アメリカの利益の原点が新興国への資本の移動にあったからだ。

グローバリゼーションは人類全体で見れば、間違いなく成長を促進させた。
中国を中心に、ギリギリの生活で生きていた人たちが人並の生活をできるようになった。
けれども、それがアメリカの格差を拡大させたことも明らかだ。
いや、格差こそが成長のエネルギーだといっていいのかもしれない。

日本はグローバリゼーションの波に大きく乗り遅れた。
その一つの理由は格差こそが原動力なのに、それができなかったからだ。
企業が共同体経営のために、労働者を解雇できないので、新興国への進出が遅れた。
利益が上がらないわけである。
また、日本が国際化されていないこともあって、新興国での経営がうまくいかなったことも、グローバリゼーションに乗れなかった原因だろう。

もっとも、最近日本は世界への進出を加速させつつある。
現在いる社員を解雇せず、別の部門になんとか移動させることができるようになりつつあるからだ。
先進国においては、グローバリゼーションの利益はサービス業に回るから、そちらに労働力を移動できるなら、自然にみんなが利益を享受できる。

今回の記事ではグローバリゼーションがなぜ格差を拡大させるのか、説明してみた。
次回はアメリカ、日本以外の国について、グローバリゼーションがどう働くかを考察してみたい。
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原発についての自分の意見

2012.03.12 Mon

21:09:53

原発についての質問があったので、一言述べておきたい。

原子力発電について、賛成か反対かを問われたら、いまだに賛成派のような気がする。
とは言っても、ところどころで見かける、推進派と反対派の論議の中であるような絶対的な確信はない。
だから、どこかで原発を作りたいと言いだす人がいたら、それを法律で止めるのはおかしいと感じるし、自分の家の近くで原発を建設するならば、それ相応の迷惑料を払ってもらわねば、許せないと思うだろう。

結局のところはコストの問題なのだ。
原発のコストが他の原料による発電のコストに比べれば、安ければ推進した方がいいし、高ければやめた方がいい。
もちろん、原発のコストはいろいろな物がかかる。
事故が広範囲で長期間に及ぶ問題や、処分に時間がかかる核廃棄物の問題がある。
今までの推定が今回の事故によって変わったことも明らかだ。
それと同時に、一つ一つの事故に伴って改善していくことで、技術の安全性は高まっていく。
どんな技術だって最初からパーフェクトなものはない。
それを考えにいれず、最初から事故を起こすと考えてコストを産出することもおかしい。

しかし、事故の確率なので誰も正確にわかるわけがない。
しょせんは未来のことであり、不確定のことだ。
その不確定な未来を前にして決断するのは、リスクを取って、金を儲けようとする資本家以外にいない。
国家の援助がなければ、無理という話もある。
それはそれで正しいのかもしれないけれど、国家がリスクを引き受けなけれならないなら、やめた方がいい。

なんか文章を書くのが難しい。
遠慮が出ているような気がする。
実は主張したいことはあるのだが、原発についての基本的意見を書いていたら、うまく入らなくなってしまった。
それについてはまた書くこともあるだろう。

この文章を読むと、結局逃げているだけではと感じる人もいるだろう。
それについては、その通りだと答える。
私は、国民として、消費者として、自分がわからないこと、責任を持てないことに対して判断を停止し逃げるのは正しいと思っている。
民主主義論として書かねばならないのだが、それはまた別の話だ。

それでは、なぜ原発基本賛成派なのかと言うと、アトムの記憶だと思う。
「三つ子の魂百まで」ではないが、子供のころ鉄腕アトムを好んでみた記憶がしみついている。
だから、原子力が嫌いになれない。
もっとも、幼児のときの記憶にこだわってもしかたがない話だ。
だから、原発について賛成か反対かと問われれば、わからないと答える。
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グローバリゼーションの本質とは?

2012.03.10 Sat

20:39:42

グローバリゼーションの本質で記事を書こうとしてるのだが、ここ二三日全然進まない。
対象が巨大すぎて、把握するのが困難だからだろうか。
どこから手をつけようか迷い、書き出しては止まっている最中だ。
それでも、自分としてはなんとなくわかった気がするので、書いていかなくてはいけない。

一番書きたいのは、グローバリゼーションがどこに向かっていくかという話だ。
このアメリカ中心のグローバリゼーションがいつもでも続くか疑問を持っている。
続かないという結論を引き出すためには、そもそもなぜグローバリゼーションが世界の繁栄を生み出しているのかを語らねばならない。
それがグローバリゼーションの本質という話になる。
そして、日本がこのグローバリゼーションにどう立ち向かうかという話も書く必要がある。
それが一番重要な話かもしれない。

どう考えても1本の記事でまとまる話ではない気がする。
やはり、分割して一つ一つ書いていくしかない。
そうするとまずグローバリゼーションが世界の繁栄をもたらしている理由から書くしかない。

グローバリゼーションというのは、技術的、政治的な改革によって、世界経済が一つの経済圏として統一された現象だ。
技術的というのは、インターネットに代表される通信技術の発展によって、世界の人々が同時に同じ情報を見聞きすることができるようになったことだ。
物流の発展も著しい。
コンテナシステムの発達によって、膨大な生産物を安価に運搬できるようになった。
中国の安い労働賃金で生産された製品をアメリカに物流費をかけて輸出しても、十分に安価で発売できるようになったのだ。
情報技術の発達も、生産をリアルタイムにコントロールできるようにして、工場が移転していくことに役立った。

政治的な改革というのは、共産圏の崩壊だ。
ソ連の崩壊によって、社会主義が放棄され、閉じ込められていたソ連圏が世界に解放されるようになった。
残った共産主義国である中国も、経済体制としての共産主義をほぼ放棄し、市場経済に積極的に参加している。
さらに、他の発展途上国も共産主義に未来がないことを確信して、企業を国営化するような政策をやめるようになった。
これらによって、世界のほとんど全ての国で市場に基いた経済圏が統一的に成立した。

グローバリゼーションという、世界経済の統一が成立したことで何が起こっただろうか。
成立した世界経済圏の最大の特徴は、最下層がまだ極めて貧しいことだった。
労働者の上の階層と下の階層とでは極端に所得の差が開いている。
一つの国として世界経済圏が成立していたら、たぶんこんなに労働者の間での格差は開いていなかっただろう。
そして、最下層の労働者が多いことは、彼らの生活水準が向上することで膨大な需要が生まれることを示している。

統一された世界経済圏は技術と資本が既にあることで急激な発展を開始した。
それが近年の極めて高い経済成長にあらわれている。
一つの経済圏として見た場合、マルクスの言う資本の本源的蓄積過程にあたるといっていい。
マルクスは封建主義的な世界から人々が引き剥がされ、市場経済に移行することを本源的蓄積過程と呼んだが、現在の世界経済もそれと同じ過程だろう。
私としては、封建主義的な世界の引き剥がしにそれほど意味があるとは思えない。
技術革新によって、労働と交換に取得できる製品・サービスが十分に魅力的で、今消費するために金利を払うことをいとわないような状況では、同じことが言えると思う。
金利を払うことをいとわないほど労働者が渇望し、新製品の普及率がまだ低ければ、膨大な資金需要が生まれる。
同時に新製品を生産するための設備投資も必要だ。
資本の利益は極大化する。
つまり、資本家と労働者の格差はとてつもなく大きくなっていく。

統一された世界経済圏でもっとも進んでいる国はアメリカだった。
だから、巨大な資本がアメリカにあることで、その金融産業の支配者たちに富が集まった。
金融産業をサポートする、イギリス、香港、シンガポールの金融産業の人たちも富裕を極めるようになった。
また、世界をまたにかける多国籍製造業の経営者も成功していくことになる。
勃興期の特徴として、製品の差別化は進んでいない。
だから、同じような製品を大量に作ることが要請され、価格勝負となり、結果産業の寡占化が推進されていく。
アメリカの大企業が巨大化し、世界に覇をとなえることができるようになったのは、そのためだ。

だから、グローバリゼーションを全体としてとらえれば、経済の発展段階の一つとして、それほど変わったこともない現象だ。
しかし、グローバリゼーションは発展段階が不均衡な国々の中で起こった。
発展段階の違いによって、それらの国々の対応にはいろいろな違いが出ることになった。
次回はその違いについて説明したい。
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アメリカ経済がダメになる理由

2012.03.08 Thu

20:53:49

アメリカ経済復調の理由では、アメリカの大幅な財政支出の拡大をアメリカ経済復調の理由としていた。
けれども、アメリカの経済はさらに苦しくなっていくように見える。
最大の原因は石油の価格上昇だ。
石油の価格上昇は世界経済自体の成長力を低下させるだろう。
そして、アメリカ経済はもっとも石油価格の上昇に弱い。

ダメになる理由はいくらでもある。
アメリカは他の先進国に比べてエネルギーの消費量が倍だ。

人口一人当たりエネルギー消費量の推移(主要国)

当然原油価格の上昇は他の先進国の2倍のダメージを与える。
だから、ガソリン価格の上昇が一般的な消費を冷やすと言えるのだ。
アメリカ経済が減速すること、世界経済自体が石油価格の上昇で減速すること、両方が世界経済の金融を支配しているアメリカの金融産業に悪影響を与え、利益を減少させるはずだ。

さらに問題なのは、ガソリン価格の上昇が住宅価格に悪影響を及ぼすことだ。
前にも同じようなことを書いているのだが、もう少し説明してみたい。

覇権国交代の理論 - 「内向の世界帝国日本の時代がやってくる」感想

引用開始

ガソリン価格が上昇すれば、アメリカ人は自動車通勤を避け、公共交通機関への転換を図るだろう。
そして、都心の高層マンションに住むようにし、交通費を削減しようとする。
引用終了

ガソリン価格が上昇すれば、交通費をおさえるためにできるだけ通勤する地域に近い所に住もうとするだろう。
どこに住めば、自分の行動距離を最小にすることができるかという問題だが、買物は購買頻度を少なくすることによって移動距離の総量を減らすことができるし、通勤に比べれば総量も小さい。
ほぼ毎日移動しなければならない通勤の移動距離を減らすことが一番重要な問題となる。

すると何が起こるかと言えば、通勤場所がある都心近辺への引越しである。
エネルギー価格の上昇によって、増田悦佐氏が主張する自動車から鉄道への交通手段への変換がアメリカで起こるのは難しいだろう。
鉄道設備は簡単には作れないからだ。
しかし、都心近辺の建物を高層化して、郊外から都心に人口が移動するのはそれほど難しくない。
ニューヨークなどの例外を除き、アメリカの多くの都市の人口密度は高くない。

乗用車利用と人口密度の相互関係に関する研究

引用開始

アメリカの都市のほとんどは居住密度が20/haに満たず、他地域と比較して極端に居住密度が低いことに留意する必要がある。
引用終了

だから、都心中心にある、一軒家を取り壊してマンションにすればいい。
駐車場をどうするかという問題はあるけれど、それはバス交通の充実とか、車のシェアとかでカバーするのが一番ありふれた解決だろう。

その結果何が起こるか。
郊外の家は住む人がいなくなるのだから価格はさらに低下していく。
都心のマンションは住む人が増加するのだから、価格が上昇していく。
賃貸マンションの賃料も上昇することになる。

Murray Hill Journal: 住宅価格は上がらなくても家賃は上がる

上記のブログでは住宅価格は上がっていなくとも、家賃が上がっていることを記事にしている。
もっとも、賃貸と購入の場合の位置の違いがわからないから、家賃の上昇の理由ははっきりしていない。
それでもニューヨークの中心部であるマンハッタンの家賃が上昇しているのは、原因が交通費の削減にあることを示しているように見える。

1月米住宅着工は予想上回る+1.5%、集合住宅がけん引しプラスに転じる

また上記の記事では、米住宅着工件数は集合住宅がけん引しプラスに転じるとある。
米住宅着工件数の表の数値を見てもあまり納得できないのだが、許可件数の方を見ると集合住宅は一年前の14万9千件が23万1千件と顕著に増えている。

二つをまとめると、一軒家から集合住宅中心にアメリカの住居状況は変わっている。
重要なのは、交通費が原因でその変換が起こっているのだとすれば、どんなに賃料が上昇しても住宅価格の上昇に結びつかないことだ。
むしろ、郊外の一軒家は住む人がいなくなって、とことん下落する可能性の方が強い。
住宅価格がさらに下がり続けば、いつまで経ってもアメリカの需要は回復しない。
結局、アメリカ経済そのものが石油に基づいた国だったことを確認するのではないだろうか?

関連記事
アメリカのガソリン価格と住宅価格の関係は?
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野田谷垣密談の報道を怒る

2012.03.06 Tue

20:59:42

最近のニュースで怒ったことに、野田首相と自民党の谷垣総裁との密談がある。
密談があったことに怒っているのではない。
あのニュースの報道の仕方に疑問を感じているのだ。
普通に考えておかしいだろう。

読売新聞では次のように報道した。

密談の成果?消費増税で息ピタリ…議場どよめく

引用開始

 野田首相が目指す消費税率引き上げと、自民党の谷垣総裁が求める衆院の早期解散をともに満たす“解”はあったのか――。

 首相と谷垣氏の25日の極秘会談は、3月以降の「消費税政局」を前に、互いに接点を見いだそうとする狙いがあったとみられる。29日の党首討論は極秘会談でのすり合わせも反映し、首相と谷垣氏が消費増税の必要性で認識を共有するなど、議論がかみ合う場面もあった。

 首相は25日、東京・虎ノ門のホテルオークラ内にある日本料理店で藤村官房長官と昼食を取るために外出した以外、首相公邸で過ごしていたとされる。

 首相は29日夜、記者団に「(谷垣氏とは)会っていない」と語り、谷垣氏も会談を否定した。2人の会談は今後の政局に影響を与えるため、双方とも厳しく情報を管理している。

 首相が3月に国会に提出する消費税率引き上げ関連法案は、参院で多数を握る野党の協力を得なければ成立できない。政権が連携を模索した公明党は、衆院選挙制度改革を巡って民主党と対立し、党内では小沢一郎元代表が増税反対の立場を明確にしたため、首相は自民党との協力関係の構築に本腰を入れる必要があると判断したとみられる。

 一方の谷垣氏も、苦しい立場にある。党内では「今国会で衆院解散を実現できなければ、9月の党総裁選で再選の目はなくなる」(党幹部)とささやかれているが、解散権を握る首相をどういうタイミングでどう追い込んでいくか決めかねている。党内では、安倍元首相や森元首相が、消費税法案の成立と衆院解散を引き換えとする「話し合い解散」を主張していることもあり、谷垣氏としては解散に関する首相の意向を確かめておく必要があった。

 会談で合意点があったのかどうかは明らかになっていないが、29日の党首討論では、首相と谷垣氏の接近を印象づける場面もあった。谷垣氏の討論は、前回討論とは違い、「消費増税はマニフェスト(政権公約)違反」という理屈での解散要求を抑制。社会保障・税一体改革の中身の議論に焦点をあてた。

 谷垣氏は首相の質問に答える形で、基礎年金の国庫負担財源確保のための消費増税の必要性に言及した。自民党が2012年度予算案の対案に「将来における償還財源を明確にした上で赤字国債を発行」と明記した点について、首相が「償還財源は消費税か」と迫ると、谷垣氏は「その通りだ。間違いない」と即答し、場内はどよめいた。

(2012年3月1日08時33分 読売新聞)

引用終了

密談はあったと報道されているが、密談があったことがなぜわかったかについてのソースは報道されていない。
ただ、単に密談があったと新聞が書いただけだ。
それなのに当事者である二人は完全否定している。
これって本当にあったと、マスコミはどうして確信できるのだろう。

日本の感覚に慣れた感じからすると、密談はあったけれど、建前として否定している。
そんな風にも受け取れる。
でも、この感覚も変な気がしてならない。

マスコミが密談したと書けば、本当はなくても我々はあったと信じてもいいのだろうか。
本当はどうだったかを、国民は追及して、確固たる土台の上に思考する必要があるのではないか。

極東ブログで、事実について検証しているが、それ自体はどうでもいい話だ。

パズルタイム:野田首相と谷垣自民党総裁の極秘会談

マスコミは最初から、なぜ密談があったことがわかったか、ソースを提示すべきである。
ソースについて書けないなら、報道しない責任感を持つべきだ。

最近になって段々と裏の事情がもれてきている。
密談の事実をもらしたのは、手塚補佐官というのを2ちゃんねるで見た。
マスコミとしては、首相側近からの発言なのだから確度が高いと信じ、でもどちら側から漏れたかを書けば、たぶん迷惑がかかると考えて、ああいう報道になったのかもしれない。

密談の元となった二人も否定するならば、訴えるぐらいしろと言いたい。
事実なのでそうできないならば、否定すべきでない。
嘘をつくのは泥棒のはじまり、ということわざを知らないのか。

密談があったことを前提にして、今後の政局のことを考えるのは、報道に乗せられた気がして気分が悪い。
かと言って、ないと仮定して考えるのは間違っているように思える。
日本的あいまいさで、世の中が動いていくのは、仕方がないことかもしれないけど、マスコミが平気でそれを無視するのが頭にくる。
マスコミも、両者の密談否定を間違っていると信じるならば、国民に嘘を言っていると批難すべきではないのか。

始めはたいしたことないと考えていたが、真面目に考えてみると、とてつもなく異常に思える。
そんな事に慣れてしまうのがいやだ。

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続・アメリカ経済復調の理由は?

2012.03.05 Mon

20:55:11

私の記事は具体性に欠けているのが弱点だ。
前回の記事では、数字が全然なかったので、おぎなってみた。

ググってみると、日経新聞10月9日の朝刊で太田康夫氏が不動産価格の損失額の計算をしていたらしい。
阿修羅の掲示板に載っていた。

米9兆ドル喪失の重み:米国の不動産価格下落問題:日経新聞

引用開始

けいざい解読:編集委員 太田 康夫[日経新聞10月9日朝刊P.3]

米9兆ドル喪失の重み

 米国の住宅価格がピークをつけたのは2006年半ば。高騰が激しかったカリフォルニア州の住宅
価格(米連邦住宅金融局調べ)はその後5年で46%下落。主要10都市を対象とするS&Pケース
・シラー住宅価格指数も約30%下げた。それに伴って、今年6月末の米家計の住宅資産額はピーク
比で6兆6000億ドル減って、16兆1000億ドルとなっている。
(中略)
 米国では商業用不動産価格も下がっている。非金融部門が抱えるその資産額はピークから2兆85
00億ドル減。住宅と合わせると、バブル崩壊で失われた不動産資産の合計額は5年で9兆4000
億ドル。邦貨換算で720兆円にのぼる。
引用終了

まず、太田氏の記事によると、2011年6月末でアメリカの失われた不動産資産額は約9兆4000億ドルだ。
内訳は、住宅資産の損失額は6兆6000億ドルで、商業用不動産の損失額は2兆8500億ドルになる。
それだけの資産が失われたということは、5%で運用されていたと仮定すると、年間4700億ドルの収入が減ったことになる。
それは同時に年間4700億ドル分の需要が失われたのと同じだ。

しかし、この値は現在時点の不動産価格を前提にしている。
不動産価格の低下はまだ止まっていない。
不動産担保証券に対して買い支えが入っていることを考えると、実際はもっと損失額が多いはずだ。
たとえば、アメリカの金融危機前の住宅資産の総額は22兆7000億ドルだけど、日本みたいに半額まで低下すれば、11兆7000億ドルが損失になる。
そうすると、まだ5兆1000億ドル分下がり足りないわけだ。
損失の総額も同じような比率で下がり足りないとすると、7兆2636億ドル下がり足りない。
結局推定損失総額は9兆4000億ドルたす7兆2636億ドルで、16兆6636億ドルだ。
やはり5%前提で計算すると、年間約8331億ドルの需要が失われなくてはおかしいことになる。

この需要喪失に対して、新規に起きた政府支出の拡大による需要はどれほどだろうか。
アメリカの財政赤字は下記のように推移している。
2008年度  4580億ドル
2009年度 1兆4100億ドル
2010年度 1兆2900億ドル
2011年度 1兆2990億ドル
金融危機前から大体1兆ドル赤字が増えているのだから、不動産価格の下落による需要の低下をほぼ打ち消している。
2008年度と2011年度を比較すると、8410億ドル赤字が増えているのだから、8331億ドルの需要低下を無効にしている。

物凄くアバウトな計算だけれども、アメリカ経済が復調している理由は政府の財政支出の拡大だと断言していいかもしれない。
前回の記事で書いたバブルの清算が終わっていないというのは、未来が未確定なので、あいまいなまま減らされる需要のことだった。
それを見込んだ分、政府は財政支出を増やしている。
アメリカ経済が復調している理由はこれでほぼ納得できることになる。

問題はやはり来年度から減らされる財政赤字だろう。
4000億ドル以上財政赤字を削減すると書いたが、これはなんか勘違いしていた。
ただ、アメリカNOW 第89号 2013年度予算教書と「ベースライン」 (安井明彦)を見るかぎりでは、それほど財政赤字は削減されていない。
どうやら、繰延べたみたいだ。

これほどの財政赤字を出し続けることが可能かという問題はあるが、アメリカ経済は現状維持を続けてもおかしくないように思える。
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