異をとなえん |

バブル崩壊の意味と財政政策について(ロビンソンとフライデーの話)

2012.02.29 Wed

20:53:49

バブルの崩壊がなぜ大きな経済の停滞を招くのか。
そして、ケインズ流の財政政策がある点で有効であり、ある点で有効でないのか。
それを説明するために、ロビンソンとフライデーによるモデルの話をしたい。

ある島にロビンソンとフライデーの二人が住んでいた。
ロビンソンは2単位分のパンを作っていた。
1単位は1年分の量で、どんくらいの量かわからないけれど、まあ成人一人が一年間に食べる量と思って欲しい。
その内1単位をフライデーに売り、フライデーはその替わりに歌をうたうことで支払っていた。
国民総生産は、パンで換算して3単位になる。
生産されたパンが2単位で、パンに換算すると1単位分の価値がある歌をたして、3単位だ。

さて、ここで問題が発生した。
パンの元となる小麦を生産する畑で連作障害が発生することがわかったのだ。
本当の連作障害はいろいろあるのだろうけれど、ここはいい加減に5年間は普通に生産できるが、5年後以降は何も生産できなくなるとする。
パン以外には食糧がないので、生存が危くなる。
これに対応するために、二人は急いで新しい畑を開墾しなくてはならない。
今そういう状況だ。

畑で5年後に一切の収穫物が取れなくなるというのは、不動産において5年後から一切の賃料が入ってこない状況と同じである。
つまり、畑の資産価格は急減したことになる。
ロビンソンは自分の資産価格が急減したというか、5年後に入ってくる所得がなくなったことで、至急対応しなくてはならない。
つまり支出を減らし、この場合歌を聞くことをやめ、売っていたパンを保存し、新しい収入を得る、ここでは新規の畑を開発することになる。
パンの保存期間はかなりあることにしておく。

まず、ここでわかることは、資産価格の減少は支出を減らすことである。
資産の価格は予想される収入を利子率で割り戻したものだけれど、本質は未来入ってくるキャッシュフローにある。
利子率の設定次第では資産価格は大きく変動するけれど、それは重要ではない。
資産の売買の時には意味があるのだけれど、売買しなければあまり関係ない。
重要なのは、資産のキャッシュフローに合わせて支出を変化させなくてはいけないことだ。

もちろん、今回の場合のように5年先に変化が生じるならば、現在何もしないという行動を取る人はいるだろう。
けれども、どんな人間であっても5年後にはなんか変化を起こさなくてはならなくなる。
そして、普通の人間は未来が確定的ならば、すぐ行動を取ることになる。

バブル崩壊後、なぜ日本の経済成長が停滞するかの議論の中で、土地の価格が下がっても元の価格に戻るだけならば、買った人の損は売った人の得で相殺されているのだから、問題ないと主張する意見は、これで間違いだとわかる。
バブルの発生は土地のキャッシュフローが増大すると考えたから起こった。
つまり、土地価格の上昇は未来の賃料上昇によって正当化されると考えたのだ。
土地を売った人は利益を得たけれど、土地を買った人だって利益を得ると信じて、その分支出を増やしたのだ。
具体的には不動産の売買では銀行の融資がつきものだ。
買った方は銀行から借金をして買っている。
将来のキャッシュフローが予想に合わなければ、銀行への返済が滞る。
不動産会社も銀行も、将来の予測が合わなくなることで支出を減らすしかない。
不動産会社も銀行も、不動産を買った時点では自分の収入が増大すると考えて、支出を増やしていたはずだから、その分の支出は当然はげ落ちることになる。
バブル発生時は不動産会社も銀行も非常に羽振りが良かった。
その分の需要は偽だったのだから、その分経済は縮小せざるを得ない。

ここで、未来は常に不確定であることを想定しておこう。
先のことは確定的でない。
人は希望的観測をしがちだから、5年後の収穫予想が0というのは間違いだと思うかもしれない。
その場合、現在の行動をそのまま取っていく。
つまり小麦と歌を交換していくわけだ。
何の対策も取らず、5年後に予想通り収穫物が0になったならば二人とも飢死にすることになる。

バブルの崩壊においても同じようなことが起こった。
土地価格が下落しても、いつかは回復すると信じて、何も対策を取らない不動産会社や銀行も多かった。
その場合支出は基本的に同じままである。
需要が変わらないので、経済の規模は変わらない。
けれども、不動産の価格が元に戻らなければ最終的には破綻する。
日本はバブル崩壊後、かなりの期間経済は成長を続けていた。
基本的には銀行が不動産価格の下落に目をつむり、政府が財政支出の拡大をしていたからだ。
しかし、1998年になると、ついに資金繰りがつかなくなり、金融機関が破綻を始めた。
ここで、未来予測の変化に合わせて行動の変化、支出の減少が起こった。
もちろん、個別の行動はいろいろあったのだけれど、本格的に起こったのはここだろう。
つまり、不良債権処理の実行は、未来予測に合わせた正しい行動の変化なのである。

ロビンソンは歌を聞くことを止め、畑の開墾を開始した。
この場合、フライデーは突如収入を失ってしまう。
島に二人しかいないのだがら、もっとコミニュケーションを取れという話になるだろうけれど、この場合政府があると役立つ。
政府は急に仕事を失った人を助けるために、借金をして失業保険を払うわけだ。
ロビンソンはいつか返却するという政府の保証に応じて、直ちに必要ないパン1単位を供出する。
そのパンはフライデーに緊急に渡されることになる。
飢死やら暴動などの緊急事態の発生が予想されるならば、政府は財政政策を取る必要がある。
もちろん、経済が収縮し新しい状態に変化するのをスムーズに実行できる場合だ。

さて新しい状態に変化しなくてはならない。
どういう状態が正しいかは、すぐに予想できるように、ロビンソンとフライデーの二人が共同して、新規の耕作地を発見、開拓し、現在の農地でも生産を続けることである。
具体的な作業分担は二人で協議することになる。
この時、国民総生産はパンで換算して2単位になる。
現在の農地からの生産分2単位だけで、歌はなくなるのでその分の生産は減る。
新規の耕作地の発見、開拓はまだ成果が出ていない。
出る予定もまだない。
だから、生産としては換算されない。
前が3単位だったから、国民総生産は減少する。
資産価格が暴落した場合の正しい経済の反応となる。

フライデーは、歌をうたうより、畑仕事をしなくてはならない。
新規の労働である以上大変だけど、収入はパン1単位と変わらないのだから、普通は嫌がるだろう。
今回はすぐ飢死にしてしまうから、直ちに新規の労働を受け入れるだろうけれど、蓄えなどがあった場合は時間がかかる。
賃金の減少を労働者はすぐに受け入れられないわけだ。

次に財政政策の有効性について考えてみよう。
ロビンソンはフライデーと共同で作業を考えたが、あまり役に立たないと思ったので、自分一人で現在の耕地作業と新規の開拓をしたとする。
フライデーは失業状態のままだ
ロビンソンが生きのびるためには、正解かもしれないけど、コミュニケーションが取れていれば、フライデーを見捨てるようなことはしないだろう。
しかし、国民経済のように大きな経済の場合、コミュニケーションの不備は発生するので、その場合政府の措置は有効になる。
政府は将来のパンの返却保証と引き換えに、ロビンソンからパンを手に入れて、フライデーを雇い、なんらかの新規の耕作地開拓の仕事をする。
政府とロビンソン、どちらの新規耕作地の開拓能力が高いかの問題はあるが、大体同じ効果ならば、政府の財政政策は有効なわけだ。
この時、国民総生産はパン3単位になる。
生産したパン2単位分と政府の支出はパン1単位分の価値があると計算されるので、パン3単位なわけだ。
ロビンソンとフライデー共同で作業するのと、実質は同じなのだから、計算の綾でしかない。

それでは、政府がフライデーに歌をうたわせたらどうだろう。
フライデーが失業状態なので、とにかく仕事を与えようというわけである。
この場合、フライデーの役に立ったかもしれない労働力が無価値に使われることになる。
ロビンソンの側で唄うことで役立つかもしれないが、それはまた別の話だろう。
この場合でも、国民総生産はパン3単位だが、間違っていることは明らかだろう。

以上をまとめると、次のようになる。
資産価格の減少は需要を減らす、つまり経済規模を縮小させる。
不良債権処理は資産価格の下落が確定すれば実行する必要がある。
緊急対策はたぶんした方がいい。
財政政策は正しく実行されれば成果がある。
財政政策は間違って実行されれば害が生じる。
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国債の金利上昇を心配する必要はない

2012.02.25 Sat

20:43:57

国債の金利上昇を心配する人がいる。
金利水準1%の上昇で銀行債券6兆円の損失
本質的に金利上昇は銀行にとって得な話だということを説明してみたい。

まず、債券市場の金利の決まり方について説明する。

普通の債券では償還されない可能性が高ければ高いほど、金利は高くなる。
償還されない可能性は格付け会社の格付けによって判断することができるので、格付けが高いほど金利は低く、格付けが低いほど金利が高い、そういう債券市場ができあがる。

自国通貨建ての国債はデフォルトの可能性0で、どこの国の債券市場もできている。
それ以外の債券は、国債の金利に対して何パーセントが上乗せする形で決まる。
上乗せする金利は普通格付け会社の格付けで決まるわけだ。

それでは、国債の金利はどう決まるのだろうか。
厳密には相互作用があって決まるのだろうけれども、まず国債以外の債券や銀行融資によって投資する金額が定まる。
そして貯蓄から投資を引いた残りの資金は、とにかく国債を買ってしまう。
そこで決まるのが国債の金利だ。
余った金額を残しておいたら金利はつかないから、他に運用する先がない場合金利は幾らでも下がっていく。
それが今の日本の国債市場だ。
上の話は理論で書いているので、国債を買わないと金利はつかないと言ったが、現在日本では日銀に預けておけば、たしか年利0.1%の金利は保証されている。
だから国債の金利はこれよりは高くなる。

この理屈がわかると、国債の金利の上昇する危険性、国債の価格が暴落することで銀行などが巨大な損失を出すという話の馬鹿さ加減がわかる。

国債の金利が上がるというのは、金融機関はそれよりも高い金利で貸し出しができていることを示している。
つまり景気が良くなって企業が積極的に投資をしているから、企業への貸し出し金利が上昇するのだ。
そして残った金で国債を買うわけだけれど、購入する金額が少なくなれば当然国債の価格は下落する、つまり金利は上昇することになる。
ただ、ここらへんは実際には複雑な相互作用である。
政府は国債の繰替えや確定している支出のために国債を発行するのだから、調達する金額は決まっている。
だから、金融機関が残った金額で国債を買うといっても、政府が調達しなければならない金額を下回ったら、それでは困ってしまう。
その場合、国債の金利が上昇することで、その他の金利も上昇し、そんなに高くては採算に乗らないと企業が借金をあきらめることで、国債を買うための資金が生まれるのだ。

要するに国債の金利が上がるということは、その他の金融商品の金利も上がることだから、基本的には金融機関にとって得なのだ。
金利上昇局面での資金繰りの問題はあるけれど、基本的に得ならば銀行の損といってもたいした問題にはならない。

銀行は市場の時価という形で自分の資産を把握していない。
1兆は金利2%で貸す、1兆は金利1%で貸す(国債とする)、こんな形で認識している。
国債の価格が下がったとしても、金利1%で貸していることに変わりはない。
ここで国債を売って損を出したとしても実行するのは、それ以上に儲かる金利で貸し出しができるときだけだ。
とにかく、銀行にとって得なことに変わりはない。

いろいろ工夫してみたけど、どうもうまく説明できている感じがしない。
また、後で挑戦してみよう。

わかりにくい所がありましたら、質問をよろしく。
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日本国債のCDSが上昇している理由

2012.02.24 Fri

20:54:25

あいも変わらず、日本国債のデフォルト話が出ている。

日本が世界金融危機の次なる「誘発点」に―米誌

私はありえないと否定しているが、それではなぜCDSの保証料が上昇しているのだろうか。
そこらへんのことを説明してみたい。
ただ、実務がよくわかっていないので私流の解釈である。

まず、自国通貨建ての国債はデフォルトしないのに、なぜCDSの相場が成り立つかである。
デフォルトしないといっても、それは絶対的なものではない。
アメリカで去年国債の発行上限の引き上げでもめたように、理屈でなくデフォルトすることはありうる。
普通デフォルトするより、インフレの方が経済にとっては優しい。
デフォルトだと金融システムに大きなひびが入って、経済が動かなくなることがある。
だから、常識的にはデフォルトするより、借り換えを続けるはずだ。
けれども、そういう常識は外国の人間にとってはよくわからない。
日本人だってアメリカ国債が政治的な争いでデフォルトしたら、意外性に驚くだろう。
そんなわけで、最悪の事態を考えて自国通貨建ての国債でもCDSの市場は成り立つ。

その場合、国債のCDSは別通貨建てでなくてはならない。
国債がデフォルトしたら、その国の通貨は暴落する。
そんな通貨で購入した資金が戻ってきても役に立たない。
だから、日本の国債のCDSはドル建てで成立している。

また、国債のCDSを当事国の金融機関が売買することは普通ないと思われる。
当事国の金融機関は自国の国債を大量に持っている。
そして、多くの取引で国債が絶対にデフォルトしないことを前提にしている。
たとえば、為替の先物取引で1ヶ月後に100万ドルを円に交換する取引が成立したならば、銀行は今直ちに100万ドルを借りて、円に交換し、それで1ヶ月満期の国債を買う。
1ヶ月後に償還された資金と100万ドルを交換し、そして借りた100万ドルを返す。
最初に取引が成立した時点で全ての利率と交換レートは確定するので、銀行は当然儲かるように取引する。
さて、問題はこの時国債がデフォルトしたらどうなるかだ。
はっきりいって、もうどうにもならない。
先物取引で交換するための資金は手に入らないだろうから、もう破綻するより仕方がない。
もちろん、100万ドルとかならば大丈夫だろうけれど、実際には天文学的な金額んある。
ネットでは小さな金額でも、累積では膨大な額になるのだ。

だから、日本の銀行が日本国債の破綻に備えてCDSを買っていたとしても何の役に立たない。
第一、今の場合だったら必要な資金は円なので、ドルで戻っても基本的には困る。
そんなわけで、基本的にCDSの市場は日本の金融機関と関係ない他所の国での話となる。

自国通貨建ての国債は、普通デフォルトしないと言った。
それならば、CDSの売り手は基本保証料をただ取りできる。
だから、売れば売るほど大儲けだ。
それなのに、なぜCDSの価格は上がるのだろうか。
その理由は、たぶんCDSの売り手は担保がいるからである。
私みたいな貧乏人が、CDSの売り手となっても、本当にデフォルトしたときに債務を肩代わりできるわけがない。
つまり、ちゃんと返せるあてがある企業しか取引に参加できない。
そして、担保を入れておくのだと思う。
結局担保のお金をCDSで運用しているのに近い話になるので、幾らでも売るというわけにはいかない。

それでは、CDSの保証料が利回りより高いというのはどういうことだろうか。

引用開始

ニューヨークとロンドンの取引所でも職員が「最近の日本国債のCDS指数は135bp前後で、利回りより100bpほど高い」と話している。
引用終了

最近外国の投資家が日本国債を買っている。
彼らは現物の資金で持って、日本国債を買っているのだから、保証料が利回りより高いのならばCDSを売った方が得なはずだ。
100万ドルの資金でCDSを売れば、135bp、つまり1.35%の保証料が毎年入る。
実際に日本国債を買うより100bp、つまり1万ドルほど得になる。
もちろん、日本国債がデフォルトすれば償還金額を支払わなければならないけれど、それは実際に日本国債を買ってデフォルトするのと同じはずだ。

答えは為替にあるのだと思う。
日本国債の利回りは円建てである以上、当然円で利息がつく。
円高に振れればドル建ての保証料を上回ることもありうる。
1%など為替変動に比べれば、あってないようなものだ。
つまり、日本国債の購入というのは円高への期待を示すものであって、利回り自体は重視していないことを示している。

もう一度、CDSの価格が上昇している理由を考えてみよう。
円が上昇すると考えている投資家は円を購入する。
そのまま置いておくと利子がつかないから、一番確実である国債で運用する。
いざというときのために日本国債のCDSを買っておく。
いざというのは、アメリカ国債のデフォルトのような本当に偶発的な事態への準備である。
この場合、単純なドルベースだと逆ざやになるはずだが、円が将来的に上昇すると考えているので許容できることになる。
将来的な運用を考えると分散投資をしていると言ってもいい。

それでは、なぜCDSの価格が上昇しているかだ。
最大の理由は海外の投資家が日本国債を買っているので、安心のためにその分CDSを購入しているからだ。
逆説的なのだが、日本の信頼性が上がっているから、CDSの保証料が利回りを上回るほど上昇しているのだと思う。
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野田総理の覚悟

2012.02.23 Thu

20:59:15

世の中には何を考えているのか、まるでわからない人間がいる。
その方向に進んだら穴に落ちるのが目に見えているのに、まっすぐ歩いていく。
誰が見ても大きな穴なのに本当に気づかないのか、気づかないふりをしているのか、わからないけれど、そのまま歩いで落っこちる。

最近だと、鳩山元総理がその典型だろう。
普天間移転問題は難しい問題であり、解決策が簡単に見つかりそうもないことは、最初からわかりきっていた。
それなのに、わざわざ自分で期限を切って解決すると大見得をきり、できなくて辞任した。
途中でいくらでも方向転換ができそうなのに、そうしなかった。
少なくとも、防衛相に丸投げして、自分は知らんぷりできそうなものだった。
使命感があったのかもしれないけど、そのわりには知識がなさすぎた。
知れば知るほど抑止力が重要なことがわかったなどと言っているようでは、使命感も当てになりはしない。

そして今も同じようなことが起ころうとしている。
当然のことながら、野田首相の消費税増税である。
日本の総理大臣は本当にバカしかなれないのだろうか。
そう思うほど、わけのわからない方針で突き進んでいる。

増税を歓迎する人はいない。
それを正面に押し出して戦うのは、選挙で選ばれた政治家なのだろうか、と思う。
少なくとも、収入である増税の方ではなく、支出を前面に押し出したい。
つまり、最低保障年金の導入政策を看板にして主張すべきだろう。
もっとも、最低保障年金の導入が国民に受ける政策とは思えないが。

まあ、これらは戦術レベルの判断なのかもしれない。
とにかく、自分の目指す正しい政策を実現するために全力をつくす。
政治家として正しい方向とも言える。
ただ、現状ではどう見ても参議院で通るとは思えない。
衆議院だって危ない。
それなのに、口だけは政治生命をかけるなどと言っている。
本当にそうする気があるのか。
それだとしたら、法案が否決されたならば衆議院を解散して信を問うしかない。
その覚悟が本当にあるのか。

内閣支持率が下がっている現状では、自派の議員も解散など支持しないだろう。
そして、小沢派の衆議院での造反が目に見えつつある以上、解散するならばそこに消費税増税賛成の候補者を立てるしかない。
でも内閣支持率が低ければ誰も立候補したがらないだろう。
過半数を取るだけの候補者がいなければ、絶対に勝てない選挙になる。
そうだとしたら選挙をする意味がないのだから、解散する意味もないことになる。
もちろん、野田総理としては解散するならば候補者ぐらいなんとでもなると考えているのかもしれない。
ただ、立候補者の準備をしていないと、解散するというはったりも効かない状態にすでになっていると思う。

そんなこんなで未来を予測すると、予算案はまあどうにか通るけれど、消費税増税法案が否決されて、どうにもならなくなるのが確定だろう。
そこで野田総理はどうするのか。
解散はできない、かと言って、ここまでつっぱしっているのに総理を続けていくわけにもいかないだろう。
結局辞任する、そういうことなのかもしれない。
自分は精一杯がんばった、でもうまく行かなかったからやめる。
こんなことでいいのか。
子供の宿題ではあるまいし、政治家がこれでいいわけがないだろう。
本当に増税が大事だと思うならば、法案成立は後回しにして、どっちにしたって実際に上げるのは後なのだから今すぐ通す必要はない、外堀を埋めるとかしていくべきではないのか。
個人的には国民背番号制を実施する法律の方を優先すべきだと思う。
あるいは受けの良さそうな、支出削減の法律の可決を目指すべきなのだ。

まあ、今述べたようなことは政治素人の考えそうなことで、実際には増税法案は可決される可能性があるのかもしれない。
でも鳩山元首相のように何も考えていない、というのが一番ありそうに思えるのだ。
そうすると日本の総理大臣というのは、本当に責任感を持っていない馬鹿にしかできない仕事かと思ってしまう。
それでは悲しすぎる。

野田総理には消費税増税法案が否決されたら、少なくとも勢いで解散するぐらいの覚悟は持って欲しい。
そのぐらいは期待させてよ、お願いだから。
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通貨を持つ意味

2012.02.21 Tue

21:00:21

ギリシャはユーロ圏に入って得をしているのだろうか?を書いてから、通貨を持つ利点について考えている。
明日書くで終わったけど、全然考えがまとまらない。
思考の道筋だけ書いておく。

なんかの雑誌で高知県は独自通貨を持てば発展する、という主張を読んだ。
なんか疑わしい。
でも、ヨーロッパの小国は極めて高い一人当りGDPをたたき出している。
これは独自通貨圏を持てば発展できることを意味しているのだろうか。

それと、都市の集積の利益の話がある。
リチャード・フロリダ氏や増田悦佐氏が主張する、大都市には集積の利益が存在するから、大都市に人や富が集中するという話だ。
この説に納得はできるのだが、それでは大都市と無縁だと思われるスウェーデン、フィンランド、アイルランドはなぜ一人当りGDPが高いのだろうか。

一つの理屈は制度的な穴を見つけているというものだ。
アイルランドはEUの他の国に比べて法定実効税率が低い。
他の国の法定実効税率は20%台なのに、アイルランドは12.5%だ。
EUの国なのに法人税が安いので、EUに進出したい企業がこぞって進出することで成長している。
ある意味ありえそうな話ではある。
でも、スウェーデンやフィンランドにはそんな話はきかない。
ノルウェーみたいに、資源が出るわけでもなさそうだ。
それでは発展している理由は何なのか。

単純に考えてみる。
二つの国がある。
一つは人口が多く、一つは人口が少ない。
二つの国は仲が良く、技術や資本の移動は自由にできる。
けれども、労働者は移動しない。
二つの国は通貨が別々で変動相場制を取っている。
このとき人口が少ない国の一人当りGDPが人口の多い国より低いとする。
そうすると、大体一人当りGDPと賃金は一致すると考えれば、賃金が低いということで輸出が盛んになるはずだ。
その後どういうルートをたどるかわからないが、最終的には賃金が一致する方向に進むはずだ。
つまり、一人当りGDPは一致することになる。
実際ヨーロッパの国々は大体GDPは同じくらいの所が多い。
東欧圏などは異っているが、それは今まで技術とか資本が自由に移動できなかったからだろう。
つまり、独自通貨圏だと、一人当りGDPは結果的に近づくわけだ。

それではギリシャみたいに独自通貨ではなくて、同じ通貨を使っている場合にはどうなるだろうか。
基本的には同じにみえる。
賃金が安い地域は他の地域に出荷する製品が増えるはずなので、雇用が増加し、それが最終的には賃金の増加に結びつく。
一人当りGDPが平均化することになる。

それではギリシャが現在ひどく苦しんでいるのは、技術資本等が流れこむ前に、一人当りGDPが並んでしまったからだろうか。
ギリシャ政府が国債による財政支出の拡大がなければ、一人当りGDPは低いままで、そうすれば輸出企業が進出して、輸出が伸びる形で経済は成長したのだろうか。
なんとなく納得できるのだけれど、そうすると通貨は関係ないという話になってしまう。

どうもよくわからない。
大都市の集積の利益の話にも関係しない。
一応、人口の少ない国は、一人当りGDPは他の国に並んでも、非貿易財のサービスが実質的に劣っているので実は損している、という仮説を考えている。
ただ、それと通貨の話がうまく結びつかない。
通貨ではなく、労働者の移動の容易さの方が重要なのだろうか。

なんか結論が出そうなのだが、どうもしっくりこない。
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ギリシャはユーロ圏に入って得をしているのだろうか?

2012.02.16 Thu

20:53:09

ギリシャがユーロ圏に参入して得た利益とは何なのだろうか。
ギリシャはユーロに参入していなかったら、現在の困難には出会わなかったのだろうか。

ユーロ圏以外にも自国独自の通貨を使っていない国はいくつかある。
アメリカドルを通貨としてそのまま使っている、パナマ、エクアドル、エルサルバドルなどの国だ。
それらの国はなぜ独自通貨を使わないのだろうか。
それらの国がアメリカドルを使用している最大の利益は独自通貨に比べてアメリカドルの価値が相対的には安定していることだろう。
アメリカドルは長期的には安くなっているとはいえ、短期では十分に安定している。
政治が安定していない国では、通貨の発行をきちんと抑えることができず、政府が無制限に国債を発行し、それを中央銀行に引き受けさせて、インフレを招いてしまうことが多い。
その危険性がないだけでも、経済発展にはずっと安心のはずだ。

また、為替相場の急変という事態を免れる。
アジア通貨危機が典型だろうか。
資金が急激に自国に流れこむ。
あるいは逆に急激に流れだす。
どちらも、小国にとっては致命的になる現象だ。
その場合為替管理に頭を使うことになる。

変動相場なら自動的に調整するから関係ないとはいっても、実際に起これば経済は急変する。
国が止められるならば、止めた方がいい。
ドルをそのまま通貨として採用すれば、相場が急変する自体はなくなる。
それ自体が安心材料だ。

問題はなんだろう。
一つは国内で流通するドルをどうやって調達するかという問題がある。
アメリカに輸出することでドルを稼ぐしかないが、これはその国にとって損な取引といえる。
自分たちで通貨を管理できないから仕方がないとはいえ、アメリカに対して金を貸す形になるのは貧乏国としては辛い。

ギリシャにはその損はない。
ギリシャはユーロ圏に参加することによって、無条件に国内で流通する分のユーロを手にいれることができたはずだ。
それから、新規に通貨を発行する場合にECB(ヨーロッパ中央銀行)には通貨発行益が生じる。
通貨発行益というのは、無から通貨を作り出すことで手に入る利子のことだ。
それをたぶん、ギリシャは割り当てられた分だけECBから分配されるはずだ。
実際にはどう配分しているかわからないが、基本EUの仕組みはドイツから金が出ていって、フランスがとんとんで、それ以外の国は金をもらうことになっている。
だから、少なくともギリシャはアメリカ以外の国でドルを通貨として採用している国よりはずっと恵まれている。

その他にもギリシャにとって得な点はなんだろうか。
アメリカ以外の国でドルを通貨として採用している国は、アメリカに依存してしまう危険がある。
アメリカが確信犯として、ドルを大量に発行した場合、その通貨を採用している国はアメリカからただで搾取されることになる。
もっとも、これはその国がアメリカが無視できないほどの経済力を持った国の場合で、実際は小さいからそれほど影響はない。
ギリシャの場合は無限に発行すれば、ECBを通じてギリシャに還元されるのだから、これも得だといえよう。

それではギリシャが独自通貨を持つ利点はなんなのだろうか。
たぶん、一番先に出てくるのは独自の金融政策を取れるということなのだろう。
それだけかもしれないが。
金融政策は当然全体の流れを考慮して実行されるから、全体とギリシャの経済状態が違えばギリシャが好景気なのに金融緩和されたり、ギリシャが不景気なのに金融引き締めをされることがある。
これは問題ではないのか。

なんか難しい。
結論が出ないので明日に続く。
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製造業から金融業に変換という主張は正しいか?

2012.02.15 Wed

20:45:48

野口悠紀雄氏は製造業主体の経済を金融業中心の経済に変更せよと主張している。
製造業中心の経済からサービス業中心の経済への変更は正しいと思うのだが、金融業中心というのは納得し難い。

基本的に金融業で多くの利益を上げるのは難しい。
金融業はお金を集めて、それを貸して儲ける産業だ。
けれども、調達金利にしても、運用金利にしても、市場が存在するのだから、そこから大きくは変われない。
そうすると、あまり儲かるはずがない産業となる。

まあ、それでもある程度は確実に儲かるのだけれど、それは金融業がきちんと動いていないと経済全体がダメになってしまうので、政府が規制して、保護しているからだ。

それでは、利益を大きく上げるとしたら、どうすればいいのか。
一番大きく稼ぐにはリスクを取って、危ない企業に投資するわけだ。
新規産業の株式公開による利益を目指すなどが、その典型的な例となる。
ただ、これは金融業の利益かというとおかしい。

新規企業の株式に投資するのは、ほとんど新産業の経営をしているに等しい。
それは金融業の利益というより、新産業の利益なのだ。
新しい企業を起すのは金融業とはいえないだろう。
それでも、業態が金融業に属しているのだから、金融業の利益だと主張もできるだろう。
ただその場合、新産業にも利益が流れこんでいるから、金融業の利益は他の企業に比べて突出しないはずだ。

でもバブルのとき、金融業の利益は拡大していく。
本質的な理由は資産価格が高騰していくと、金融業の取引対象となる資産は価格が常に高騰していくからだ。
資産はつまり金融業にとっての在庫なのだから、取り扱っている商品の評価益が上がることで利益は膨らんでいく。

2000年代、アメリカやイギリスの金融業が栄えたのは、バブルであったことが最大の理由だろう。
つまり本質的な繁栄ではないのだから、日本がそれに追随できなくとも仕方がない。

バブルであったとしても、アメリカ、イギリスは繁栄していた。
日本はそのおこぼれを貰えないのかという意見もあるだろう。
でも、それは難しい。
アメリカがバブルを生み出し、それはイギリスが拡散していた。
アメリカはバブルの中心だから繁栄し、イギリスはEUや中東の金融をアメリカとつなげることによって繁栄したのだ。
それができたのは、アメリカと言語をともにした深い絆であり、かっての世界帝国としての経験によるネットワークだろう。

日本は言語を別にしていることもあって、そのネットワークの中に入れなかった。
だから、日本では金融業は発展していなかった。

バブルのとき、日本でも世界各国への輸出が盛んになり景気は良かった。
金融業ではおこぼれは回ってこなかったが、世界全体が繁栄することによって、おこぼれは回ってきたのだ。
そう考えると、野口氏が言うように、製造業は円安バブルによる一時的な利益による繁栄だったという主張が正しいとしても、金融業に変化しておくのが正しいとはいえないはずだ。
金融業に転換し利益を出したところで、それはバブルによる一時的繁栄でしかなかったからだ。

製造業中心の経済がサービス業中心の経済に変換すべきという意見は正しいとしても、そのサービス業は金融業ではないと思っている。

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