異をとなえん |

日本がインフレにならない理由

2011.10.08 Sat

22:09:43

日本が不景気だからというのが本質的な理由だけど、それとは別に人口減少とかの理由で物価指数的に簡単にインフレにならない気がする。
生産性が上昇し、所得が増加していくことで、日本国民の購買力は上がっている。
でも、人口は増えていないので、個々の商品の量的な個数増大は望めない。
むしろ、人口が減少するのだから量的には減っていきそうである。
すると個別の市場では需要の減少による価格減少圧力がかかり続けるわけだ。
価格上昇は難しく、この製品市場だけを見ていると、デフレ脱却できない。

けれども生産性が改善することで、所得が上昇すれば、購買力が増し、全体として見れば新しい何かを買おうとするだろう。
その場合二つのケースが考えられる。
一つは純然たる新商品を買うケースであり、もう一つは今までの製品市場を二つに分割しより高品質の製品を買うケースだ。

純然たる新商品が発売される場合には、普通最初価格が高く、時間が経つにつれて安くなっていく。
特に新らしい製品が生まれているデジタル市場を考えるとこれはあてはまる。
その場合、物価指数として考えるとデフレ要因になってしまう。
GDPデフレーターを使えば、新商品の発生によるインフレ、実質GDPの伸びより名目GDPの伸びが大きいことをとらえられるだろうけど、それには時間がかかる。
新商品の発生はGDPデフレーターによるインフレを起こすと直感的には思うのだが、本当に正しいかは検討中。

純然たる新商品でなく、品質が上昇した製品を買うケースを考えよう。
つまり今までの製品市場が二つに分割され、通常品質の製品と高品質の製品に分けられて販売されるわけだ。
通常品質の製品と高品質の製品に分かれた場合は、物価指数がうまくそれをとらえることができるだろうか。
たとえば、高品質の製品として瞬間的に思いつくのは、手作りとか本物とかいう言葉である。
本物はともかくとして、手作りだと大量生産できない。
作り手自体がブランド化してしまうと、個々の個数は本当に少なくなってしまいそうな気がする。
そういうものを物価指数としてうまく把握できるかというのが疑問なわけだ。

こういうことを考えたのは、マッキンゼーが出した「日本の未来について話そう」を読んだからだ。

本の中で雑誌モノクルの編集者が書いた部分に、日本の消費者が高級ブランド製品を買わなくなっている話がある。
景気が悪いからというのではなくて、本物とか手作りとか、そういう方向に消費者の指向が向いているというのだ。
私個人としては日本が世界の先端を走っている証拠として、目にとまった。
本全体はどちらかというと、日本が世界に遅れはじめていることを主張しているので特に目についた。

話の主張は別として、もし手作りの製品を消費者が求めていくとしたら、インフレになかなかなりにくいと思ったので取り上げたわけだ。

もっとも当然のことながら、今まで一つ買っていたものを二つ買う感じによる日本の成長もありうる。
この場合は需要の上昇によって普通に価格上昇するはずで、実際のところはこれが本当かもしれない。
需要が増えれば、最終製品はともかく中間製品は普通に価格上昇するはずだからだ。

最終的には賃金の上昇によって全ての物価が上昇するから必ずインフレになる。
金本位制のように貨幣の量が制限されていると、また別かもしれないが現在の管理通貨制ならなると断言していいだろう。
だから、本当に日本経済が回復すれば必ずインフレになるだろうけれど、そうでなく見かけがデフレ状態だったとしても実質的なインフレが発生していることはありうると言いたいわけだ。
この場合の実質的なインフレというの物価指数はプラスになっていなくとも、GDPデフレーターではプラス状態になることを指す。
なんか言葉遊びかもしれないけど、インフレになかなかなりにくい理由として考えてみた。
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