異をとなえん |

日本政府による円安介入

2011.10.31 Mon

20:43:01

日本政府がドル円相場に介入した。
75円台から79円台までドル高になったけれど、すでに反転しつつあり77円台まで戻されている。
アリバイ作りの介入というのは、予測されていた感じであまり驚きはない。

それでは、政府はこの介入によって何を達成するつもりなのだろうか。
スイスみたいに介入ラインを明示して、円高を絶対に阻止するつもりなのか。
ただ、それだと現在の介入枠は小さすぎる。

為替介入枠15兆円の拡大指示、「必要なら断固行動」=財務相

引用開始

 財務省によると、FBの発行限度額は現在150兆円で、8月末段階の発行残高は119兆円。3次補正が成立すれば、今後の為替介入の原資は現在の31兆円から46兆円と過去最大規模に膨らむ。
引用終了

上記の記事によれば、現在の介入枠は31兆円だが、小泉内閣が2003年1月から2004年3月まで介入した金額が35兆円だということを考えれば、まだ足りない。

さらに小泉内閣のときは、アメリカの経済は好調で日本とアメリカの間の金利差がかなりあった。
円キャリートレードの資金の流れを押してやることによって、日本政府は円安を導くことができた。
現在は金利差が0に近く、円キャリートレードはなきに等しい。
その中でドル高円安に導くのは大変である。

そして、あの時の介入では日本からアメリカに資金が流れたとしても必ずしも損をするという状況ではなかった。
今現在では円高ドル安により評価損が出ていたとしても、金利差による差益でかなり解消しているはずである。
財務省の話ではトータルで見ると、まだ利益が出ているらしい。
しかし、今回の介入は金利差が0に近くなっている。
円安に誘導できなければ、日本にとって損になるのだが、そこらへんを考えているのだろうか。

スイスみたいに為替相場の下限を設定するならば、アメリカの同意、すくなくとも暗黙の了解はいると思うのだができているとは思えない。
アメリカ自体が輸出の拡大による景気回復を目指している以上、為替相場を介入によって固定しようとすれば、中国みたいに批判の対象になる。
それでも実行する覚悟は日本にはない。

それらを考え合わせると、今の日本の介入は円高阻止を目指して政府もがんばっています、というアリバイ作りでしかない。
日本政府が損をすることによって、輸出企業のためにドルの売り場を提供しているだけだ。
日本国民の金を輸出企業への補助金とするというのは問題だ。

日経平均が介入によって上昇したのが、終値では下げたように日本にとって得だとも思えない。
ドル建ての輸出入では、輸入金額の方が多いと聞くので、本当に短期ではドル高は全体の日本企業にとっては損なのだろう。

いろいろと文句をいったが、日本政府の介入の目的は円高対策をしているという格好づけだけだろう。
その格好づけのために、日本国としては膨大な損をするのだから、自重して欲しかったと思う。
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「通貨燃ゆ」感想

2011.10.29 Sat

21:08:00

谷口氏の「通貨燃ゆ」を読んだ。

中身自体は下記のネット上にあり読んでいたのだが、紙で読み直してみると勘違いしていた部分もあって、別の感想を覚えた。

BP's Eye - 円・元・ドルの同時代史

勘違いしていたのは、基軸通貨がドルである制度的根拠が既になくなっていると谷口氏が主張していたと思ったけれど、どうも別の人らしいということだ。
本を読み直してみると、ドルを基軸通貨たらしめているものは第7回〜スーザン・ストレンジの新しさに述べてあるような構造的権力という主張らしい。
構造的権力は必ずしも制度と結びついているのではなく、慣習みたいなものも含めているようだから、必ずしも矛盾しているわけではないのだろうけれど、ちょっとイメージと違った。

構造的権力、制度的枠組みを私はどうも軽視しがちである。
自由な市場の中で自然に形成された、デフォルトの標準の方を重視してしまう。
もっとも制度も慣習も密接に結びついているのだから、どちらも軽視してはいけないことは明白である。
そういう意味で基軸通貨の制度的意味を重視している、この本が印象に残る。

とはいっても、制度うんぬんではなく、基軸通貨というシステムは基軸通貨国が富を持っているのでなければ成立しえないのは明らかだ。
イギリスが基軸通貨国を降りざるをえなくなった最大の理由は、制度よりもアメリカに借金せざるを得ない状況に追いこまれたからである。
下記に引用するように、第二次大戦の戦費をまかなうために、膨大な借金をせざるを得ず、結果どうしてもアメリカからドルを借りるしかなかったからだ。

第27回〜熾烈だった米英貿易戦争

引用開始

そこで基金は英国とインドの間に介入し、インドからポンド建て・英国向け債権を買い上げ、代価をドルで支払う。英国はインドに対する債務(短期)から解放され、代わりに、基金向け債務(長期)を負うことになる。

このように見た場合、関係者は「三方一両得」であるかのようだ。ケインズもそう思って喜んだらしい*21 。ところが既に気づかれたとおり、この仕組みにはポンドの膨大な流通量をそっくりドルに入れ替えてしまうマジックが隠されていた。
引用終了

谷口氏の書き方では外交交渉によってイギリスがアメリカに敗北、あるいは騙されたという印象を受ける。
けれども、借金をせざるを得ない状況こそ、イギリスがアメリカに基軸通貨国を譲らざるを得なくなった決定的理由だ。
とにかくイギリスは借金を返さなければいけないのだから、どこかから借りるしかない。
金本位制に復帰することを考えていた以上、ポンドを刷って債務を返済することなど論外だし、実際にそんなことを実行したらインフレによって、イギリス経済は致命的打撃を受ける可能性が強い。
そんなわけで、イギリスが基軸通貨国を譲ったのは外交交渉というよりも、資金の問題だったはずだ。

基軸通貨の決定は制度的枠組みよりも、資金を供給できるかどうかに依存するというのが私の主張だ。
その主張に対する反論として、意味がある本だった。
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「弱い日本の強い円」他感想

2011.10.28 Fri

19:19:56

昨日、本屋に行って目についた本。

新井素子さんが「銀婚式物語」を出していた。

中身うんぬんよりも、「新婚物語」から25年たった事実に驚いた。
私も年をとるわけである。
金婚式物語も書きたいとあとがきにあって、それまで夫婦睦まじくあって欲しい。

佐々木氏による「弱い日本の強い円」は基本的な為替相場に関する本で参考になる。

円とドルの為替相場はドル円相場と呼ぶべきで、逆の円ドル相場と呼んではいけない。
ドル円相場が下落したといったら、ドル安を意味している。
ドル円相場で1ドルが80円から70円に下がったら円高だけど、誤解しやすいのでドル安と言う。
上記のような基本的事項が、実務を知らない私には参考になった。

その他にも、クロス円などを含めて現象を判断するなどと言うのが参考になる。
たとえば、現在円はドルに対して最高値を次々に更新している。
安住財務相は投機による円高は容認できないとか、発言しているようだが、どうだかと思うわけだ。
なんといってもドル円相場の値幅は近頃極端に小さくなっている。
はっきりいって、今ほど投機の影響が少い相場はない。
ドル円相場が動かなくても、クロス円の相場はかなり動いている。
つまり、ユーロ高、ユーロ安という現象の振動が、一部ドル円相場に反映しているだけで、本質的にはあまり動いていない。
それなのに、今のドル安円高という現象を重く見るのは、判断を間違うもとだ作者はいっているように思う。

長期的に見ると、購買力平価によって為替相場は決まるなど、全体として、バランスの取れたいい本だと思う。
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オリンパスについて

2011.10.26 Wed

21:05:24

オリンパスについて日本のマスコミの報道が手ぬるいと批判されているが、ある意味しかたがない気がする。

今度は確かに「日本メディアは書かなかった」 オリンパス問題でそらみたことかと

オリンパスの買収が疑わしいことは確かだけど、具体的な事実がよくわからない。
買収金がオリンパスの誰かに戻っているというのが一番ありそうな犯罪だけど、ある程度の事実がわからなくては報道のしようがない。
今日本のマスコミは一所懸命事実を探求していると思っているが、外国を介しているとなかなか探求できないのも当然じゃないだろうか。
ジャイラス買収時の巨額手数料が誰に渡ったかは、むしろ外国のマスコミの方が調べやすいだろう。
犯罪だと断定するのは、名誉毀損の問題があるので、日本のマスコミの方が慎重になる。
報道できるのは、株価が下がったとか、解任だとかの一般的な事実だけだ。

外国人社長が解任された第一報についても、最初の理由は会社の説明をそのまま伝えるしかないだろう。
解任という事実があるのに、なぜかをとりあえず説明するものだからだ。
オリンパスが元社長の連絡先を教えてくれないならば、元社長に連絡する方法も簡単にはできないと思う。

最近になって元社長と連絡が取れるようになって、少くともネットではかなり報道がされるようになっている。
元社長が最初積極的にアクセスしていたのが外国のマスコミならば、日本のマスコミの報道が遅れるのも当然じゃないだろうか。

オリンパス自体の買収については、外部の人間には評価の方法がない。
ただ、これだけ問題になっているのだから、もう少しオリンパスは株主には説明する必要がある。
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最近のちょっとした変化

2011.10.25 Tue

20:42:36

最近外国人に道をきかれた。
1週間ぐらいに2件。
外国人から道をきかれたことは、全部合わせても3件しかないので、集中したことがちょっと不思議だ。
話しかけられたのは日本語だったので、外国人ではない可能性もあるけれど、二件ともインド人風の顔だったので、まあ外国人だろう。
私のいる地域では毎日必ず外国人風の顔の人に合うので、不思議ではないかもしれないけど、外国人が日本に戻ってきた現れだろうか。
それとも、インド人の日本脱出はあまり聞いたことがないので、元々残っていたものだろうか。

床屋に行った。
野田首相行きつけの床屋QBだ。
そこで髮を切ってくれた方がえらく年を取った人で驚く。
少なくとも60を越え、70も越えているような感じだった。
他の人もかなりお年をめしている感じで、前に行った時と全然違う気がした。
これは人手不足から、あらゆる人をかき集めているのだろうか。

なんとなくだけど、普段買物をしているイオンとかヨークマートのスーパーに人が増えている気がする。
前に一度人がいないとSUNAMOについて書いたけれど、今は全然そんなことない。

また、景気うんぬんと結びつけようとして考えたけれど、単純に江東区で人が増えているだけか。
SUNAMOに人がいないと書いてから、江東区は人口が1万7千人増えている。
外国人も1100人増えた。
町別の人口密度などを見てみると、私の住んでいる地域はむちゃくちゃ高い。
もしかしたら日本で一番とかなのだろうか。

江東区はここ十年近く日本で一番人口が増えている。
だから、人が増えている感覚を持ったとしても不思議ではない。
それでも、日々を過ごしていると気づかないのが、なんか急に増えたような感じにとらわれた。

理由がわかった。
昼間出歩くのが多くなったせいだ。
地域の変わったことを書こうとして、自分の行動パターンが変化したことに、今さらながら気づいた。
一つの発見ではあったが、間の抜けた話でもある。
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QE3政策についての感想

2011.10.24 Mon

20:58:30

ドル76円前半、米QE3観測で幅広くドル売り

QE3は実行しないという予測が覆されつつあるようだ。
先週の円の最高値は日本の先行きが少しよくなる前触れでないかと見たが、実際にはQE3の実行観測が流れたせいかもしれない。
為替相場の先行きなど予測不可能でも、後付けの理屈ならいくらでも作ることができる。
インフレ予測があるかぎりQE政策の再実行は難しいという話だったが、景気が悪ければなんでもするというスタンスらしい。

引用開始

 QE3観測について、市場では「米国で景気回復がはかばかしくないため、QE3に踏み切る可能性が出てきた」(サザ インベストメント、カスタマー事業部の森宗一郎部長)と受け止める声が出ている。
引用終了

QE政策には懐疑的である。
前の政策がある程度効いたように見えたのは、新興国の経済を刺激したからだ。
しかし、新興国の経済も過度の成長に耐えきれなくなりつつある。
エサを大量に突っ込まれている家畜でも、限界を越えれば食べることができなくなるようなものだ。
アメリカの不動産も低金利に反応していない。
新興国の経済も現在の微妙な状況では反応できない。
今唯一刺激に反応できるのは日本経済だけかもしれないが、短期的な円高は輸出産業を抑えこんでしまうために、プラスマイナス0に近い。

それでも、金融を緩和すれば景気は良くなるという、リフレ派の信念に従ってQE3は行なわれるのではないかと思う。
本当に実行して景気が良くなるならば、それは世界経済にとっても良いことであるし、日本経済にとってもアメリカの真似をすれば景気が良くなるかもしれないという希望が持てる。
逆に失敗すれば、通貨を印刷すれば景気が良くなるという、私にはあまりにも単純過ぎると思う理念が否定されることで、学問的には面白い結末が下されるだろう。

QE3によってドル安に変化するかどうかも疑問だ。
新興国やEC圏に資金が流れなければアメリカ全体としてはドル安にならない。
円だけに対してドル安になったとしても、アメリカ経済全体を押し上げる力になれるかは疑問だろう。

現在ドル安に振れたのはQE政策にはドル安になる力があるとみんな信じているためだ。
その期待によって相場は動いた。
その期待があるうちは、QE政策の有効性もまだ残っている。
けれども、十分にその効果を発輝できなければ、段々と期待を失ってくる。
そういう意味で最後のチャンスだろう。

QE政策は野球の打撃と同じで3回まで振ることができるらしい。
参照:かんべえの不規則発言2011年10月21日付けの記述
でも、3回失敗すればアウトだ。
正念場を迎えている。
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円史上最高値更新

2011.10.22 Sat

20:57:19

円が対ドルで史上最高値更新、一時1ドル=75.78円

円が対ドルで史上最高値更新を更新して、1ドル=75.78円になった。
為替相場は難しい。
ダウが上がっていたことで、景気が良くなる、アメリカの金利が上昇する、ドル高になりやすい、と思っていた。
それがリスクオフということで、アメリカから資金が流れだす方に働いたらしい。
日本も今までだったら、リスクオフだと資金が流れだすのが、逆に入ってきたということだろうか。

ずいぶん、ドル円相場は均衡状態を保っていたのが急に動いた。
しょせん予測できるようなものではない気がする。
それでも、円相場の行方を考えてみたい。

為替相場は、購買力平価で基準が決まり、そこに債券相場の金利の差の分だけずれるというのが、私の考え方だ。
ドル円相場で考えると、現在ほぼ購買力平価の水準に近いと思っている。
日米の間で微妙な金利の差異はあるが、小さいので投機や思惑によってひっくり返されるようなものだろう。

そうすると、もっとも重要な影響を及ぼすのは、日米の経済の動向となる。
多くの識者がドル高円安の予測をしているのは、アメリカの景気が回復すると信じているからだ。
日本の景気はアメリカの景気に連動するから、アメリカの景気が悪いままで日本の景気は良くならないと思っている。

疑問だ。
バブル崩壊以降の基本的な景気の悪さから日本が抜け出せないとしても、短期的には復興予算によって日本の景気が良くなることは確実だろう。
そうすると、今回のドル円の史上最高値は10兆円以上の3次予算が確定したことの影響が一番大きいのではないだろうか。
もっとも、10兆以上の復興予算は前から決定したことにも見えるが、誰かが確信したとも思える。

海外に日本からの投資が進むことで、ドル円相場が円安方向に振れないかと思っているのだが、そうもいかない。
基本の流れはやはり金利差だというのが、私の予測だ。
復興予算の執行によって日本の景気が回復し、国債の金利が上昇すれば、どうしても円高になってしまう気がする。

その円高が内需の拡大に結びつけば、日本も本格的な景気回復だ。
内需が拡大せず、円高によって輸出産業の採算悪化が続くだけなら、また景気は悪化するだろう。
内需の拡大を信じているのだけど、はたしてどうなるものか。

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