異をとなえん |

衆議院と参議院のねじれは問題ではない

2011.03.10 Thu

01:16:42

ブログの更新がえらく空いしまった。
いつも読んでくれている方には申し訳ない。
コメントの返事も遅れていてすまない。
なんとか次には返事しようと思う。
今回は日本の政治制度の問題と思われることに対して意見してみた。

衆議院と参議院のねじれによって、現在菅政権は行き詰まりつつある。
たぶん、持って六月くらいまでだ。
小泉政権以降、約1年しか持たない短命政権がまた繰り返されることになる。
短命政権は衆議院と参議院のねじれから来る制度的な問題として、政治制度の改革でねじれを解消しようとする意見がある。
参議院の廃止とか、衆議院の法案に対する優位性を強めるとか、そういう方向だ。

私はこの意見に反対だ。
ねじれの問題は運用によって簡単にカバーできるし、政権が短命なのはねじれが原因ではないからだ。
参議院の廃止などは根本的な改革として別に反対でもないが、現憲法下では参議院廃止や参議院の力を弱めるような改正は不可能に近いだろう。
そうするとたいしてコストが多くないのに、根本的改正を求めても無益なだけだ。

** 衆議院と参議院でのねじれの解消法

それでは、衆議院と参議院でねじれが発生した場合、どうすれば解決できるのだろうか。
答えは簡単だ。
衆議院を解散する、それだけだ。

今回解散して自民党が勝利したとしても、自民と公明では参議院で多数派を占めることができないので、ねじれは解消できない。
だから解散は無意味だという意見もある。
しかし、そんなことはない。

参議院が衆議院の可決した法案に簡単に異をとなえることができるのは、参議院が直近の民意を反映しているからだ。
自分たちの方が国民の支持を得ているを思っているからこそ、政府に対して頑強に反対することができる。
政府が衆参両議院のねじれを問題にするならば、解散すればいい。
解散して衆議院が直近の民意を代表できるならば、参議院はそう簡単には反対できない。
むしろ反対を停止する方向に動くだろう。

郵政民営化がいい例だ。
小泉首相が衆議院を解散し、選挙で勝利したことによって、参議院で反対票を投じていた議員も賛成に回った。
あれは同じ党の中での動きだったが、別々の政党でも同じことだったと思う。
衆議院が賛成し、参議院が反対して、選挙した時、もしその法案に対して賛成した方が選挙で勝ったならば、参議院の反対側はたとえまだ法案に対して反対だったとしても、反対票は投じず、少くとも棄権に回るべきだ。
それが憲政の常道として確立すれば、ねじれの問題は解決する。

参議院の反対政党は衆議院の可決した法案に安易に反対できない。
その法案を争点として選挙になった場合のことを考えなくてはいけないからだ。
逆に衆議院の賛成政党、この場合政府と同義だが、参議院に簡単に法案を送付するわけにはいかない。
反対された時解散選挙に挑む自信がなければ、政府が追い詰められるだけだからだ。

今回の菅内閣の場合も同じである。
野党が菅内閣へ徹底的に対決しようとしているのは、基本的に菅内閣の支持率が低いからである。
国民の内閣支持率が20%以下という状況で、野党が嫌がらせにでなければ野党でない。
菅内閣が間違っているのは、解散を怖がっているからだ。
解散を怖がっていれば、犬が逃げる人を追いかけるように野党は解散を求めて追いかけてくる。
だから、参議院で反対したならば解散するという信念を持って政権を運営しなければならないのだ。
でも、選挙で負けるから解散したくない。
それは根本的に考えが間違っているとしか言えない。

選挙したら負ける、でも政権に居座っていたい。
その考えは今の中東の政権と変わりがない。
民意を失ったら退陣する、そういういさぎよさがなくては民主主義の国で政権は維持できないはずだ。
選挙の間は独裁などと言う意見は聞き流していい。

** 衆参同時選挙

民意を失ったら退陣するという心構えを持っているならば、ねじれなど怖いことはない。
そして、そもそも衆議院と参議院がねじれるのは、衆議院と参議院で別々に選挙しているからだ。
衆参同時選挙ならば、ねじれる可能性は非常に少なくなる。
議員選出の違いや参議院では半数だけの改選なので、ねじれることはあるだろうけれど、どちらも直近の民意を代表することができるならば、強引に参議院側が倒閣を迫るようなことは簡単にはできない。

衆参同時選挙ならば、選挙は3年ごとで衆議院議員の任期が短かくなるわけではない。
むしろ運用が定着したならば、実際には明らかに任期は長めになる。
コストも同時選挙ならば、別々に選挙するより安いだろう。
だから、大体は万々歳である。

問題は衆議院の解散を参議院の選挙に合わせて行なうようにすると、政権は選挙を自分の都合のいい時に行なえないことだ。
でも、民意がなくなれば退陣するという覚悟を決めていれば、選挙の時期が定まっているのはむしろ好都合だ。
同時選挙に合わせて、準備を進められるだけ、むしろやり易いことになる。

** 短命政権の問題

衆議院参議院のねじれが、日本の政権が短命な理由だと言うのは完全に言いがかりだ。
思い起こして欲しい。
つい数年前の小泉政権は約5年半政権の座にあった。
これは日本では戦後2番目の長期政権だ。
つまり日本だってやり方次第では、政権は長期になるのである。
では、なぜ小泉政権が長期間続いたかと言うと、それは国民の支持があったからだ。
逆に言うと、国民の支持がなければ政権は簡単に潰れることになる。
そして、それは問題なのか。
民主主義の国において、民意を失った政権がだらだらと続くより、国民の支持を集めた人が内閣を形成した方が望ましいはずだ。

でも、それでは改革ができないという意見もありそうだ。
長期間政権を運営できなければ、一体性を持った改革ができないからという理由だ。
しかし、本当に改革ができないのか。
小泉政権と他の政権を比べれば、他の政権は改革したくない立場を取ったからこそ民意は離れていった。
国民の大部分は一貫して、構造改革路線を支持している。
その路線に反発する勢力も強いから、構造改革路線との間で対立が続く。
構造改革路線は対立が必至で、それは政治に緊張をもたらし、ぎすぎすした雰囲気が続く。
議員の多くはそれを嫌って、構造改革路線を取らない総理を選ぼうとするけれど、それでは国民の支持が得られず、内閣支持率が低下していく。
それが、小泉政権以後の政治の状況だ。
安倍政権や今の菅政権は、構造改革路線という意見もあるだろうけれど、国民はそう思っていない。
だから支持率が落ちているというのが私の解釈だ。

国民の支持を得た政権が長く続き、民意を失った政権が早くに崩壊するのは、民主主義の政権としては、むしろ望ましいはずだ。
衆議院参議院のねじれによって政権が短かくなる問題を批判するよりも、国民の支持を得られない政権は早く潰れる方に焦点を合わせれば、参議院の力が強いことは日本の制度の美質だと思う。
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