異をとなえん |

アメリカこそがガラパゴス化した国である - ガラパゴス化は必然である(その3)

2010.11.18 Thu

16:00:53

前回の記事では、日本の一人当りGNPが高いことから、日本経済のガラパゴス化が必然であることを示した。
その中で、一人当りGNPが高いアメリカの真似がなぜできないか、という疑問があった。
答えは、アメリカこそが特殊進化をしたガラパゴスな国であり、他の国が真似できない、あるいは真似したくない国だからだった。
今回の記事ではアメリカのガラパゴス化について書きたい。

** アメリカのガラパゴス性

私の考えでは、世界でもっともガラパゴス化している国はアメリカである。
何がガラパゴスかというと、世界一の大きさの家、世界一大きい乗用車、大きい家具、そして家を暖めるためのセントラルヒーティングや大きな乗用車でがぶ飲みするガソリンによる世界一のエネルギー消費量だ。

個々の項目について見てみる。
「ウサギ小屋」問題、再検証によると、一人当り住宅床面積でアメリカは65平方メートルと世界一である。
他の先進国が40平方メートル台、日本が36平方メートルと比べると抜群に高い。
他の国より1.5倍近くなるということは、たまたまの一位ではなく、根本的に文化が違うのだ。

大恐慌を乗り切るための新需要として、アメリカは郊外への大きな家を選んだ。
大きな乗用車に乗るために大きなガレージを必要として、郊外への大きな住宅を建設したのか、あるいは、大きな家に住みたかったから郊外に移動し、通勤が楽になるように大きな乗用車に乗るようになったかは、わからない。
たぶん、それらの要因が互いに影響を及ぼしながら、アメリカの生活様式が生み出されたのだ。

大きな家は、大きな家具と多大なエネルギーを使うセントラルヒーティングという更なる需要を生み出した
セントラルヒーティングは日本では普及していない。
いろいろ理由はあるだろうけれど、使ってもいない部屋を暖めておくのがムダという意識が採用をためらわせている一つの理由だろう。
一人当り住宅床面積だけではなく、アメリカは家自体が大きい。
その家をセントラルヒーティングで暖めるのだから、エネルギー消費量も大きいのだ。

以上のことから、アメリカは世界一のエネルギー消費国になっている。
図録▽人口1人当たりエネルギー消費量の推移(主要国)から、引用すると次の通りだ。

引用開始

近年、日本、ドイツ、フランス、英国、韓国など主要先進国はほぼ4トン前後の消費量となっているのに対して、米国は8トン前後と約2倍の人口1人当たり消費量とエネルギー多消費国家となっている点が目立っている。世界全体ではなお2トン弱であり、米国を除く主要先進国でも世界平均の2倍のレベルとなっている。
引用終了

これだけのエネルギー消費はアメリカが産油国であり、非常に価格が安いことから達成できた。

そして、この贅沢なアメリカ生活様式はさらなる新需要を生み出した。
医療費である。
どこへ行くにも乗用車に乗って運動をしない生活は世界一の肥満大国を作りだした。
豊かさと肥満は二つ組み合わさって、アメリカの医療費をGNP比16%とし、世界一の国としている。
にも関わらず、アメリカ人の平均寿命は77.9歳で、先進国の中では最下位と言っていい。

大きな家、過大なエネルギー消費は真似できても、高い医療費、短かい寿命を真似したい国がいるとは思えない。
そういう意味でアメリカが生み出した新需要は世界に広まっていかない。
アメリカは本当の意味でのガラパゴス国家なのだと思う。

** ガラパゴス化の意味

世界一豊かな国がより成長していく、消費を増やしていく、それは必然な変化だった。
けれども、そのガラパゴス化が何十年も経った後、本当に正しい道だったかはよくわからない。
むしろ、間違った道のようにも見える。

アメリカから石油が取れていた時代は、そのぜいたくな使い方も許されたきた。
しかし、今後石油価格が更に上昇し続ける場合、本当に世界で一番エネルギーを消費する生活様式を守れるのだろうか。
私は疑問に思っている。
日本とアメリカの生活様式を比べた場合、絶対に日本の方がいいと思う。

実際、「「大きな家の時代」終わり? =米住宅サイズ、縮小傾向」 アメリカの住居のなぞを読むと、アメリカ人も単純に今のままでいいか疑問を感じているのではないだろうか。

引用開始

1950年代に約91平方メートルだった米住宅の平均延べ床面積は10年ごとに2割程度大きくなり、2009年には約2.5倍の226平方メートルに拡大した。しかし、高い失業率、環境意識の高まりもあり、このところ「住宅サイズは頭打ち」(全米住宅建築業協会)だという。 
引用終了

しかし、アメリカ人に今のような統計を見せても簡単に大きな車や大きな家を手放すとは思えない。
アメリカ人にとっては、現在のアメリカ様式が目指すべき生活だという意識があるのだと思う。
理由がなんであろうと、アメリカ人は大きな家や大きな車という特殊性が好きなのだ。
特殊性によって栄え、特殊性によって衰える。
それが国の運命だ。

一太郎やPC-98や携帯電話は日本に特殊化し過ぎて、世界の標準から遅れを取り、衰退したと言う。
そうなってもいいではないか。
日本独自の市場が起こり滅んだとしても、10年ぐらいの期間にすぎない。
それだけの期間、繁栄すれば、十分元は取れたはずだ。
その商品を使った経験は、新しい商品の使用に生きている。

アメリカの特殊性はそうはいかない。
アメリカの生活様式は100年ぐらい続いている。
これだけ続いた生活様式がうまく行かなくなったとしても、簡単に変われるものではない。
もし変わるとしたら、社会には大きな変化が起こり、痛みを伴なった変革が必要となるだろう。

日本が生み出した、新しい商品、サービスは、ガラパゴス化するとは必ずしも言えない。
世界に普及していく可能性もある。
ただ、それらが日本的特殊性による、日本だけにしか普及しない物であっても、日本はそれを避けて通るわけにはいかない。
日本の選択、ガラパゴス化も必然の道であり、違えることはできない。

関連記事
「クルマ社会・7つの大罪」感想
アメリカ人がデブな理由
このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る