異をとなえん |

続:なぜ、中国は今回の衝突事件でかくも怒っているのか?

2010.09.30 Thu

17:16:34

前回に続いて、尖閣漁船衝突事件の中国側の状況についてもう少しふれておきたい。
特に日本との対立を推進しているとみられる軍についてだ。
今の中国軍は戦前の日本軍に似ている。
そして、中国全体の状況も戦前の日本に似ている気がする。

中国軍が旧日本軍に似ている所は何だろうか。
箇条書きしてみる。

・兵力を削減している
・列強の軍事近代化に追いつかなくてはいけないという意識を強く持つ
・軍事費を拡大している

・退役した後の待遇に恵まれていない
・経済的に恵まれていない感じを強く持っている

・正統的なイデオロギー
・社会的な地位が高く、独立した力を持つ
・政府・外交官たちの影響が弱い(党の軍隊と天皇の軍隊)

・社会の矛盾、貧乏を解決したい意識を強く持つ(日本だけ?)
・一致団結しているように見えて派閥抗争が激しい(日本だけ?)
・出先の部隊の暴走(満州事変、東シナ海での軍艦の行動)

中国軍は陸軍中心で世界最大の人員を誇った軍隊だが、近代化とともに兵力を削減している。
予算自体は急速に成長しているが退役している人は多いのだ。
日本軍が大正時代に世界的な軍縮モードで、人員を大幅に減らしたのに、軍の機械化のために予算としてはあまり変わらなかったのに似ている。

中国軍が急成長しているからといって、軍人自体は相対的に恵まれていない。
中国の金持ちは国家と結びついた蓄財システムだ。
コネを生かした商売をしているとか、賄賂をもらうのでなければ、あまり儲からない。
現役軍人は国防重視であれば金銭的報酬は少ないだろう。
けれども、軍人がそのまま放り出されても、民間の競争社会に簡単に適応できるわけがない。
退役軍人も軍とコネを生かした商売でもできなければ、どうしようもない。
つまり、商売っけがない普通の軍人は高度成長している中で相対的に貧しく社会の中で疎外されている気分になりがちだ。
日本の大正軍縮時代、軍服姿で歩くのが恥ずかしく感じたなどと同じような気持ちではないだろうか。

中国では農民の不平不満から暴動に近い自体が頻発しているが、退役した軍人の参加もあると聞く。
元軍人は武器の扱いはお手のものだから、火薬類を使えば騒乱は大きくなる。

戦前の日本では民主主義や資本主義が公式なイデオロギーとして認められてはいなかった。
公式なイデオロギーは天皇絶対的な考えであり、現実にあたってそれをどう適用するか判然としなかったが、否定することもできなかった。
大正時代は実質的に民主主義と資本主義で社会を動かしていたけれど、昭和に入り不況に突入すると、この二つのイデオロギーに否定的な意見が多くなる。
民主主義を否定した、共産主義、国粋主義が力を持つ。
公式なイデオロギーでないため、民主主義、資本主義の力が弱く、自分たちの立場が守りきれなくなる。
中国の現在もそれに近い。
公式の建前は共産主義だが、それがどういう意味を持つのがほとんどわからなくなりつつある。
実際に社会を動かしているのは、社会主義市場経済という、資本主義と何が違うのと言いたくなるものだ。
今は高度成長が続いているから、かろうじて社会はまとまりを持っている。
けれども不況になれば、社会を統合する意識は崩壊するだろう。
社会主義市場経済という、まやかしのイデオロギーは力を失い、正統的な共産主義イデオロギーの復活が強く叫ばれることになりやすい。
軍隊は民間との接点がないだけ、現実離れした政策を表明しがちだ。

軍は国防を中心とした政策の中で、必ずしも政府の外交関係と関係ない政策を持っているように見える。
たとえば、軍にとって資源は戦争遂行のために必要であり、採算に関係なく確保しようとする。
中国が現在世界の多くの開発途上国で資源確保のための援助を行なっているは、その現れではないだろうか。
普通の外交関係より、そういった資源の意識が強いので、世界の中で評判の悪い独裁国家でも平気で援助できる。
北朝鮮との外交も国防的にアメリカ軍との前線をできるだけ遠ざけておくために、北朝鮮を援助する。
これらの状況は日本軍が満洲で政府の抑止を無視して活動していることに近い。
はっきりしたことは言えないが、中国外務省が軍を抑えきれない状態が生じているのではないだろうか。

社会的な地位は高くエリートとして遇されているけれども、金銭的に恵まれていないのは、非常にフラストレーションがたまることになる。
しかし、軍事費自体はずっと拡張し続けているので戦争のためのおもちゃには事欠かない。
世界一の大国といった意識は海外への進出を加速させる。
その中で領海法といった大義名分があれば、軍人にとって軍事的手段を取りたくなるのを止める要素がなくなる。
中国首脳部も外交戦略や経済的な問題から日本と対立するのを避けたくとも、大義名分は軍にあるのだから、止めることができない。

満州事変の時、朝鮮軍司令官である林銑十郎は独断で国境を越え、満洲に入った。
この行為をその時代の新聞は彼を越境将軍として称賛し、政府は止めることができなくなった。
日本に拿捕された漁船の船長が英雄として扱われているのを見ると、現在の中国にもそのような社会の雰囲気を強く感じる。
政府の首脳部が信念を持っていなければ、世論に迎合する。
世論に迎合した結果が、今のような日本への対立状況を生み出している。

日本がどういう対応を取るかについては更に次回に回す。
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なぜ、中国は今回の衝突事件でかくも怒っているのか?

2010.09.29 Wed

04:36:59

尖閣諸島衝突事件で日中の対立が激化している。
日本人の感覚から見ると、なぜ中国がかくも怒っているのか、わからない。
理性を完全に逸しているように見える。
首脳同士の会見の拒絶、日本への観光旅行の停止、レアアースの輸出停止、そしてスパイ容疑での4人逮捕と、ありとあらゆる手を打ってきた。
それは、温家宝の宣言した新たな行動が形構わずであり、中国が追い詰められていることを物語っている。

参照:中国漁船衝突:温首相「即時釈放を」 対抗措置にも言及 - 毎日jp(毎日新聞)

引用開始

中国漁船衝突:温首相「即時釈放を」 対抗措置にも言及

 【北京・浦松丈二】沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近で中国漁船と日本の巡視船が衝突し
た事件で、中国の温家宝首相は21日夜、国連総会出席のため訪れたニューヨークで在留中国人らと
懇談し、逮捕された中国人船長の即時かつ無条件釈放を日本側に要求、応じないなら、新たな対抗措
置を取ると警告した。中国首脳レベルが事件に言及するのは初めて。首相自ら抗議したことで対日批
判が強まる恐れがある。

 新華社通信によると、温首相は「釣魚島は中国の神聖な領土だ」と主張し、船長逮捕について「完
全に違法、理不尽であり、船長とその家族を深く傷つけ、国内外の中国人すべての怒りを巻き起こし
ている」と日本側を批判した。

 温首相はさらに「日本側に直ちに無条件で船長を釈放するよう強く促す。日本側が独断専行するな
ら、中国側は新たな行動を取る。その深刻な結果について、日本側はすべての責任を負わなければな
らない」と新たな対抗措置を予告した。

 一方、日中関係については「日本政府は誤ったやり方を直ちに改め、正常な関係発展の軌道に戻す
べきだ。これは両国国民の根本利益だけでなく、平和と協力という世界の潮流にもかなう」と訴えた


 ニューヨークでの国連総会には菅直人首相も出席するが、中国側は「現在の雰囲気は会談を行うに
はふさわしくない」(姜瑜・外務省副報道局長)と首脳会談見送りを発表している。温首相はオバマ
米大統領とは23日に会談を予定している。
引用終了

中国政府の取った措置は短期的には日本に打撃を与えるものだろうが、長期的には中国にも害を与える。
いや、短期だってそれほど中国に得ではない。
それでも、日本に打撃を与えて、釈放を手に入れるためにはいかなる犠牲を払うつもりだったのだ。

どうして、そこまでしなくてはいけないのか。
その理由は、領海法に求められる。
1992年に制定した領海法で尖閣諸島は中国領と規定している。
自国の領海内で自国の船を他国に持っていかれて黙っている国がどこにあろうか。
東京湾で中国によって日本の船が捕獲された場合を想定して欲しい。
日本だって全面的に反撃するだろう。
中国側の理屈から言えば、日本の漁船の捕獲はこれと同じことなのだ。
けれども、日本の場合は当然国連の安全保障理事会に提訴するとか、国際社会の応援を得るための努力をするだろう。
東京湾で外国が日本船の捕獲をすれば、領土の侵略なのは誰でもわかる。
それを中国ができないのはなぜだろうか。

もちろん、尖閣諸島の中国所有の理屈がおかしいからだ。
日本の主張をくだくだ述べることをしないが、私には日本の主張の方がずっと正しいように見える。
それを中国も知っている。
だから、国際社会に訴えて和解を求めるようなことはできない。

国際社会の理解は得られないのに、領海法を守ろうとすれば、戦争を起こし勝つしかない。
はっきり言って、中国は戦闘を開始しなければならないほど追い詰められていた。
たぶん、ベトナムやフィリピンだったら実際に仕掛けていた可能性が強い。
しかし、深い検討はしないけれども、中国が日本と尖閣諸島近辺で戦う場合、日本の方が有利だろう。
アメリカが支援に来る可能性を考えると、中国としては勝ち目がないと考える方が普通だ。

そうすると中国としては完全に手詰まりなのだ。
そこで悲鳴のような温家宝の発言があり、無茶苦茶な日本への圧力がやってくる。

しかし、尖閣諸島に侵入した場合の逮捕は前にもある。
その時はこれほどひどくなかったはずだ。
何が違うのだろうか。
基本的には共同で支配しているという虚構の維持なのだろう。
いや、日本にとっては日本が尖閣諸島を支配しており、人の配置などしないのは中国のことを考えた自主規制の結果でしかないと思っている。
これはたぶん中国も同じなのだ。
中国も中国が尖閣諸島を支配している意識を持ち、中国国民に上陸させないのは中国が日中関係に気を使った結果だと考えているのだ。
実際には尖閣諸島の領海は日本が支配しているが、その辺は微妙にごまかしておく。
だから、中国国民が積極的に島々に上陸するのは、日中の暗黙のルールを中国側として破ったことになる。
その意識が反発を控え目にさせた。

今回は違う。
中国の漁民を日本が逮捕して拘留するのは、その共同支配という暗黙のルールを破ったことになる。
日本からしてみれば、共同支配など認めてないだろうが、互いが単独支配と自主規制しているという幻想を抱き続ければ平和は守られていた。
実際に自民党政権では中国との間に、逮捕者を出さない暗黙の了解が成立していた可能性がある。
谷垣自民党総裁が、漁船の船長を逮捕せずに追い返すべきだと発言したのは、その事情の一端を示している。
民主党政権は結果的にその暗黙の了解を壊してしまった。
その瞬間に中国政府は窮地に立つことになった。

中国側のなりふり構わぬ行動によって、船長の釈放だけは勝ち取ることができた。
けれども、日本側の世論は沸騰しているし、中国側の世論も沸騰している。
中国は領海法がある以上、日本に謝罪と賠償を求め続けるしかない。
中国は日本と和解することもできないし、かと言って対立を激化させることもできない。
実際日本が尖閣諸島に人を配置するようなことになれば、中国にとっては致命的になる。
国内的には日本に強硬姿勢を取っていることを示しつつ、日本にはスルーして欲しいと思っているはずだ。

中国共産党は共産主義という無謬性のイデオロギーを有している以上、他の決定がそれを覆すことはできない。
日本だったら領土問題でもめたとしても、国際司法裁判所に提訴して、その決定に従うことができる。
中国は違う。
資本主義の国の巣窟である国際司法裁判所が正しい決定を下すわけがないと、共産主義者なら断定する。
だから、最終的には力以外にしかより所がない。
領海法が尖閣諸島を中国領としているのだから、それを覆す行為はすべて中国への侵略行為となる。
侵略に対しては戦うしかない。
戦いもしないで逃げれば、戦時逃亡だ。
中国政府首脳はみんな死刑となる。
だからと言って、戦っても負ければ、敵の侵略行為を事前に予測できず、無能だったことで責任を取らされることになる。
けれども中国には政権交替のメカニズムがないのだから、その後は混乱だけだ。
共産党政権崩壊が起こっても不思議ではない。

中国側の事情はこう理解した所で、日本がどう対応すべきかについては次回に書く。
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ボーカロイド論のような物

2010.09.28 Tue

03:20:28

初音ミク関連のリンクを残しておく。

初音ミクと見せかけの魔法

海外の人の初音ミク論。
私が前に書いたのと同様に、創作活動が一般大衆に移ってきたことを重視している。

商業音楽がボカロ音楽に勝てない理由 - はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記

ドワンゴの人?のボーカロイド論。
二次創作、三次創作、n次創作と、創作の頻度が増えることによって、オリジナルが生き延びていくことは正しい。
私も心に止まった歌のオリジナルは聞きたくなってしまうことがたくさんある。

ボーカロイドの未来みたいなことを考えようとしたのだが、全然頭に浮ばない。
ただ、全然音楽を聞かなくなっていた自分を引きずりこむ力をボーカロイドは持っている。
何にそんなに引きつけられるのか。
一つは、歌の力だ。
とにかく作られている量が半端ではないから、引っかかる歌が必ずある。
これを書いている時に瞬間的に浮んだのはパラジクロベンゼンだが、物凄くキャッチーである。
なんというか、言葉の響きというか、語呂がいいというか、聞いていて気持ちいい。
音楽の基本的な要素なんだろうけれど、意味とかと関係ない歌がボーカロイドには多い気がする。
結局、膨大な量が一本の高い質の作品を生み出せれば、それで発展していくのかもしれない。

商業音楽との関連がどうなるかは、またいつか考えよう。
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為替の最終防衛ラインをもらすことは批判されることなのだろうか?

2010.09.18 Sat

05:18:45

仙谷官房長官が円の介入ラインをもらしたことで批判されている。

「仙谷氏は本当にばかだ」為替介入で渡辺喜美氏

引用開始

 みんなの党の渡辺喜美代表は16日、都内のホテルで開かれた日本商工会議所の総会であいさつし、政府・日銀の為替介入に関連し、仙谷由人官房長官が15日の記者会見で1ドル=82円台が政府の「防衛ライン」と認める発言をしたことに対し、「わたしが投機筋なら『82円までは大丈夫だ』と必ず狙う。本当にばかだ。国家経営をやったことのない人たちに国家経営任せると日本が滅ぶということだ」と批判した。
引用終了

なぜ批判されるのか、よくわからない。
仙谷官房長官の言っていることは82円になるまでは介入しないこととは違うと思うのだが、そう解釈しているような気がする。

82円が当局の最終防衛ラインになることは自明ではないだろうか。
83円から82円になる所で財務省は介入を開始した。
現時点でのドルの平均取得レートはわからないけれど、82円より下ということはありえない。
だから、82円台ならば介入の損得は赤字になるだろう。
つまりドル円レートが82円以下なら、日本政府の介入が失敗したことは明らかだ。
当然介入を決定した人の責任問題にもなる。
リフレ理論から来る、円を刷るための投機であって、介入によって儲かったかどうかは関係ないという理屈は、私には納得し難いし、たぶん普通の人も納得できないだろう。
そういう理由で、82円台が当局の最終防衛ラインになるというのは仙谷官房長官に教えてもらわなくとも自明ではないかと思うのだが、違うのだろうか。

投機筋にとって重要になるのは、日本がどこまで介入を続けるかというレートのはずだ。
現時点で為替は85円台だけれども、流れが円高か円安に向かっているかは判然としない。
流れが円高で日本が介入するのは82円台とはっきり決まっていれば、確かに投機筋にとっては歓迎だろう。
しかし、日本が介入するのは82円台と決まっているわけではない。
どこまで追撃してくるか、投機筋ははっきりと読み取れない。
このドルを購入するのを中止するレートが定まっていると、このレートを漏らすのは確かに大問題だが、仙谷官房長官の発言はこのレートを示唆しているわけではないはずだ。

また、ドルを購入する投機筋にとっても、82円台が介入ラインをわかったからと言って、安心できるわけではない。
82円台以下にならないと必ずわかるならば、未だにドルと円の間に金利差がある以上、ある程度の所までドルを買い上げることができる。
計算面倒だと思ったが、実際どの程度でドル円レートが均衡するかの予測になるので調べてみる。
まず、83円きっかりを防衛ラインとして、この価格で必ずドルが売れるものとする。
期間をどのぐらいに取るかよくわからないのだが、計算がしやすいように、1年としておく。

1円をドルに転換して投資する。
ドルの金利がyだとすると1年後の取得ドルは(1/x)*(1+y)になる。
これを円に戻す。
円の金利はzとする。
83円以上になるのが確定だとすると、(1/x)*(1+y)*83が1+zと等しい所でxが決まるはずだ。

レートはどれを使うのかよくわからなかったが、以下の所から拾ってみた。
金利/債券
マーケット情報

円の短期金利は大体0.12%、米ドルLIBORの3ヶ月物が0.25%。
(1/x)*(1+0.0025)*83 = 1+0.0012
x=83.10777067518976。

計算してみて、レートのあまりの低さにびっくり。
つまらないので、金利を10年物の国債にして計算してみる。
10年物の円の国債金利は1.040%、ドルの国債利回りは2.766%
(1/x)*(1+0.02766)*83 = 1+0.0104
x=84.4178345209818

日本政府が83円台を死守するとすれば、84.41より下がるのは日本政府を信じていないことになる。
その疑いを晴らすためにも、このぐらいのレートで日本は介入するかもしれない。

元の話に戻ると、日本政府の介入ラインは重要な情報だ。
現在85円台後半だが、ここで介入をやめるかどうか、投機筋はいろいろと考えているだろう。
あるいは、日本の介入を投機として考えた場合、日本のドルの平均取得価格は重要なデータとなる。
平均取得価格より下がれば損を抱えることになるのだから、これより下がったら介入するかもしれない。

それらの情報に比べて、最終的な防衛ラインが82円だというのは大事な情報に思えない。
それとも、83円で介入を開始したけど最終的な防衛ラインが80円とか設定できると言うのだろうか。
結局、仙谷官房長官の発言は83円から82円になる所で介入を開始したと述べているに過ぎないと思う。
そして、それ自体は自明の情報のはずだ。

仙谷官房長官への批判が意味あるものと思えなかったので反論してみた。
もちろん、為替介入が正しいかどうかとか、どのラインで介入すべきか、などは別問題である。
私はアメリカの景気が悪くなれば円高に振れるのは当然だと考えているので、ラインを死守できるかは怪しいと思う。
理屈から言うと日本政府が死守できると言え、実際には無限に介入しようとすれば、欧米からの批判が強くなる。
それに抗しきれるとは思えない。
そうなると損だけが残りそうだ。
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続:民主党は分裂する

2010.09.15 Wed

04:00:01

昨日の記事に少し補足しておきたい。
昨日の記事の結論は、民主党が分裂して普天間基地辺野古移転派が自民党と連立するというものだった。

一つの疑問として、自民党がなぜ解散を求めないかということがある。
実際今日、谷垣自民党総裁は大連立を否定し解散を要求していた。
しかし、解散をして自民党が勝利したとしても、参議院では過半数を占めることができない。
つまり、まだ安定的な政権を運営することはできない。
安定した政権を作るためには、政策の一致した所で衆議院、参議院共に過半数を占める必要がある。

自民党はもし民主党が分裂したならば、辺野古移転派と組むことによって衆参両院で過半数を占めることができる。
辺野古移転派が自民党との連立を求めたときに、それを拒否して解散を要求すると、衆議院では勝てたとしても、連立を結ぶことが難しくなる。
実行する政策においで自党の言い分を多くのませ、閣僚の配分が得ならば妥協することは十分に考えられる。
解散しても自民党が勝てるとは限らない。
参議院の結果で民主党に得票数で負けたことを考えるならば、再度議席を減らすこともありうる。
そのような事態を避けるためにも、村山政権の故事に習い、民主党の菅首相を続投させて、政権与党の座への復帰を目指した方がよい。

自民党に都合のいいことばかり考えたが、民主党が分裂する必然性はあるのだろうか。
大体沖縄の情勢は前よりもずっと悪くなっている。
地方自治体の同意が得られなければ、辺野古基地移転など絵に描いた餅かもしれない。
つまり、普天間基地移転問題を現状のまま後伸ばしにしていけば、民主党は団結を保てる可能性がある。
でも、普天間基地移転問題の本質はアメリカと日本の同盟関係をどう定義付けるかだ。

アメリカの担っていた世界秩序に対する日本の協力姿勢の現れが、普天間基地移転での日本の協力だ。
日本が協力することによって、アメリカは世界の秩序により力を発揮できる。
日本がアメリカに協力しないというのは、アメリカが生み出している世界秩序に逆らうことだ。
世界の国でアメリカの基地に多額の金を補助している国は日本しかいない。
アメリカに利用されていると批判する人も多いけれど、これは世界でGNPが2位の国として、現状の世界秩序をできるだけ守ろうとする日本の意思から生まれているのだ。
日本は大戦上の問題から、外国での軍事活動はできなくなった。
それでも世界秩序は保たれていた方がいい。
イラクによるクウェートの征服みたいな事態は、なんとしても阻止したい。
日本が資金を提供して、アメリカが実際の軍事行動を担うというのは、世界におけるGNPが1位と2位の国の智恵だ。

日本が普天間基地を追い出してしまうというのは、実質アメリカの世界秩序の維持をサポートできない意思表現になる。
アメリカの世界秩序の維持はいろいろ問題がある。
現在のイラクアフガンの軍事行動も、私は同意できない。
けれども、アメリカが単独に実施し、同盟国に迷惑をかけなければ、サポートはできる。
資金援助だけでなく、重油の供給といった補給のサポートもできる。
自分の手を汚してまで協力することはできないけれど、手を汚さない範囲ではアメリカ支持を表明できるという話だ。

しかし、普天間基地を追い出すのは、この協力関係を破綻させるだろう。
アメリカだって、いい加減にアフガンでの軍事行動がいやになっている。
日本がそれに協力しないならば、完全に引きこもってしまうことがあるかもしれない。
具体的な未来はわからないが、日本が現状の世界秩序によって利益を得ているならば、その分世界秩序の維持のために努力した方が自然に思える。
ただ乗りしているだけというのは日本のプライドが許さないのだ。

小沢氏の目指す普天間基地の移転問題の白紙撤回は、アメリカとの協力関係を破壊する行為だ。
アメリカとの同盟関係を壊したいと考えている勢力は昔から日本にいた。
社会党がその中核だったことは言うまでもない。
小沢氏の政策は明らかにその流れを組んでいる。
国家の安全保障の問題は、政党にとって最も重要な意義を持つ。
55年体制ではアメリカにつく自民党とソ連につくことを目指した社会党とで二つに分かれた。
現在も中国の覇権主義的行動が目立つ局面では、アメリカとどういう同盟関係を構築するかは政党にとって最も重要な違いとなる。
普天間基地の移転問題での些細な違いと見られるものは、本質的にはアメリカとの同盟関係をどう構築するかの違いだ。
ここで意見が食い違っていては、一つの政党として実行していくのは難しい。

民主党が一つの政党としてまとまってこれたのは、自民党のアンチとして多くの問題に目をつぶってきたからだ。
安全保障上の問題も政権を取るためにはと我慢してきた。
政権交代がテーマになるほど、自民党に対して国民の飽きがきてきたこともある。
けれども、政権を取ったならば、アンチ自民党だけではやっていけない。
政策上の問題をある程度煮詰めなければいけない。
そうするとアンチ自民党でまとまっていたのが不自然となる。
アメリカとの同盟関係をどう考えるかを対立軸にした方がずっと自然だ。

小沢氏と鳩山氏が決着したはずの普天間基地移転問題を蒸し返したのは、根が深い問題だからだ。
大体自分たちで決着したことを反故にするとは無茶苦茶だ。
それでも持ち出したのは、本気だということだろう。
結局、民主党の分裂は必然となる。
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民主党は分裂する

2010.09.14 Tue

04:24:21

民主党の代表選が今日14日行なわれる。
菅首相、小沢前幹事長、どちらが代表になろうとも、民主党の分裂は深刻であり、すでに修復不可能の領域に入りつつある。

古来最初は単なる組織内部の権力闘争と見られたものが、最終的には組織を分裂させる巨大な路線対立になったことは暇がない。
イスラム教のスンニ派とシーア派の分裂はカリファの跡目争いから深刻な宗派対立に発展していった。
ロシア共産党のポリシェビキとメンシェビキの争いも最初は組織の些細な規則問題が急速に組織の分裂へと発展していった。
これらは、内部に伏流として存在していた深刻な政策上の対立が権力闘争によって表面化することが原因だ。

民主党は安全保障の問題が今まで先送りしてきたと言われる。
今までは政権を取るために何とかごまかしてきたが、それがごまかせなくなった。
もちろん、問題は普天間基地の移転問題である。
小沢前幹事長は普天間基地の移転問題を白紙撤回する方針を掲げている。
辺野古移転で決着させた鳩山政権のNo.1とNo.2が、それを反故にする政策転換をなぜ声高々に主張できるかは謎なのだが、どちらが勝ったとしてもすぐ巨大な問題に発展する。
菅首相側が勝てば当然のことながら小沢派は普天間移転問題の解決に反対するだろう。
というより、ここまで問題を表面化させて反対しないのはおかしい。
人事としての挙党体制はできても、政策の挙党体制などというごまかしはできない。
普天間基地の移転問題が沖縄の負担低減の方法についての問題ではなく、日米同盟をどうするかという日本という国の最も重大な戦略問題が本質であることは明らかだと思う。
民主党の隠してきた路線上の問題がついに噴出したのだ。

そして、この路線対立の修復は不可能に近い。
小沢派はここまで問題が表面化した以上、安易な妥協はできないはずである。
だからといって、慣性で動く辺野古移転派も止めるわけにはいかないだろう。
数ヶ月前に日米で合意したことを覆せるわけがない。
もっとも、ここで謎なのは鳩山前首相である。
小沢政権の外相などという話もあるが、つい最近日米で合意したことを、どういう顔をしてひっくり返そうというのだろうか。
私だったら恥かしくて、とてもできない。
この問題の決着に同意した閣僚たちも同じだろう。

次期予算案では辺野古移転を前提とした予算が組まれる。
小沢派は反対する以上この予算案を通すわけにはいかない。
一つの政党でこの二つの路線は共存できない。
この問題の意見の違いによって党は分裂するしかない。

自民党は前政権の引き継ぎによって、辺野古での移転での決着を支持するだろう。
民主党がこの二つの問題で分裂をするならば、民主党の辺野古移転派と自民党が連立を組むしかない。

民主党が分裂を避ける方法があるだろうか。
問題なのは普天間基地の移転は党内でもめていたものを決着させたということだ。
新規に発生した問題ならば、妥協するためにいろいろな智恵も出てくる。
けれども過去に発生し解決した問題を蒸し返すことは、深刻なルール違反だ。
互いに協調して実行する基盤を破壊する行為だ。
だからと言って、小沢派が負けたとしても代表選後黙っているわけにはいかない。
やはり、民主党の分裂は必死だと思う。
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リフレ派にとって円高は否定すべきことなのだろうか?

2010.09.10 Fri

04:11:31

変な疑問かもしれないが、リフレ派にとって円高は否定すべきことなのだろうか。
最近そんな疑問がわいてきた。

二年ぐらい前だったか、原油価格が値上がりしたことで、消費者物価指数がプラスになったことがあった。
その時、外国の新聞で日本がデフレから脱却したなどと、経済にとっていことであるかのような報道があったのだが、これに凄い違和感を持った。
この場合のインフレは日本が貧乏になるのと同義なのだから、どうみても経済成長にはプラス要因には思えない。
石油輸出国に富を奪われているのは明らかだからだ。
実際消費者物価指数ではインフレになっていても、GDPデフレーターはマイナスになっていた。

GDPデフレーターがマイナスというのは次のようなことだ。
原油50輸入して、精製しガソリンにして100で売っていた。
これしか経済活動がないとすると、GNPは国内で生み出した付加価値だから、100(ガソリン代)-50(原油代)=50となる。
ここで原油が60に上昇したが、ガソリン代に転嫁しきれず105で売った。
この場合、GNPは105-60=45となる。
実質の付加価値は二つの場合で完全に一致しているのに、金額は減少しているから名目GDPは減少したことになる。
つまり、GDPデフレーターがマイナスになったということだ。
GDPデフレーターがマイナスということは、本質的にはインフレではないことになる。

このことから考えるにリフレ派にとってのインフレとは消費者物価指数の上昇というより、GDPデフレーターがプラスになることが重要だと思う。
と思うのだが、どうも自信がない。
インフレがデフレより望ましいのは、インフレ状態ならば中央銀行が政策金利を低めに誘導することによって、実質金利を下げ経済を刺激できるからだ。
リフレ派の目標が期待インフレ率を上昇させ実質金利を下げることならば、この場合原油価格の上昇も同じ効果を発揮する。
ただ、この場合日本は貧しくなっているのだから、成長できないのは明らかだろう。
原油が上昇し続けることでインフレが発生し、金利を下げたままでそれを加速させるのはハイパーインフレの道だ。
結局、金利を上昇させてインフレを止めるしかなく、リフレ派にとって正しいインフレとは違う話になる。

リフレ派にとっても、目標はGDPデフレーターがプラスになることであって消費者物価指数がプラスになることではないと思う。
逆に円高というのはGDPデフレーターの上昇においては明らかにプラスの要因だから、結果としてリフレ派も円高は歓迎するように思うのだが違うのだろうか。
たとえば金融危機前アメリカはインフレで、かつ円に対してはドル高であった。
このような状況がリフレ派にとっては理想であるように思うのだが、どう解釈しているのか考えているうちにわからなくなった。

でも、これは流石に私が不勉強なせいだろう。
たぶん何らかの理屈がつけられ、GDPデフレーターと消費者物価指数、どちらを重視するかも結論づけられていると思う。
答えを知っている人がいたら教えてください。
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