異をとなえん |

月無人探査計画に賛成する

2010.06.22 Tue

02:06:02

日本の宇宙開発の次の大きな目標として、無人月探査が挙げられた。
ネットで検索してみると、反対意見の方が多いみたいだが、私は無人月探査計画に賛成する。
その理由を説明してみたい。

まず、第一に人類が宇宙に本格的に進出するためには月の資源利用が欠かせないためである。
人類が地球という深い重力井戸に閉じこめられている以上、そこから脱出するためには膨大なエネルギーを必要とする。
必要な物資を一々地球から打ち上げていたら、無駄が多過ぎる。
人類が宇宙に本格的に利用するに当たっては、ある程度の資源を地球以外の所から調達するしかない。
そうなると調達できる場所は地球に最も近い天体、月だ。

また、月よりも小惑星探査の方が重要だという意見もある。
月は資源がないし、小惑星は重力がほとんどないからだ。
月に資源がないというのは、水がないので地球で起こった資源の集積が起こらないからだという。
でも、それだったら小惑星はどうだろうか。
小惑星も水がないのだから、資源の集積が起こらないのではないだろうか。
Wikipediaの隕石の項目によると、どうも違うらしい。

引用開始

固体惑星に似た組成の小天体のうち、概ね直径100km以上のものは内部が融解し得ると考えられている。小天体の内部で融解が生じれば、重力によって成分分離が起こり、密度の大きい金属が中心に集まって核となり、これをより密度の小さい岩石質の物質が包んでマントルとなる。このような小天体が、相互衝突などによる何らかの外力を受けて破壊されたものが、隕石として地表に落下してくる天体小片であると考えられる。
引用終了

ある程度の物質が集まると、熱が発生し、内部が溶けていくみたいだ。
そうすると、物質の比重の違いで分離していく。
だから、小惑星は資源として有望らしい。

でも、それは月でも同じではないだろうか。
月だって内部は分離し、利用可能になっていないだろうか。
これは私の妄想なので、本当かどうかはわからないけれど、小惑星に利用可能な資源があるならば別の意味で月にも資源があるはずだ。
それは隕石の落下を通してだ。
月にある無数のクレーターは小惑星が隕石として落ちた跡なのだから、クレーターに資源は含まれているはずだ。
つまり、小惑星100個の内1つに有用な資源が含まれているならば、月の100個のクレーターの内1つにに有用な資源が含まれているといっていいだろう。

かぐやの調査では月には深い縦穴もある。
引用開始

「マリウス丘のような火山地帯は、月面で資源を探すのにも適した場所だと考えられる」と春山氏は話す。月で火山噴火が起こると玄武岩質の岩石が生み出されるからだ。この岩石からは、希土類金属やケイ素、酸素といった資源を手に入れることができる。
引用終了
話はあまりにもうますぎるけれど、人類は月のことがほとんどわかっていない。
だから、そんな夢を見ることもできる。
それが本当がどうかを確かめるためにも、まずは月探査をするしかない。

小惑星の無重力という利点は、月よりもずっと遠いということで魅力が大幅に落ちてしまう。
探査に2年や3年簡単にかかる。
それに比べれば月の探査など一瞬ですむ。
月までの距離は約38万kmで、光の速度が秒速30万kmだから、通信には約1秒かかる。
かなりのろいけれど、地球から命令を出してコントロールすることはできる範囲ではないだろうか。

第二の月無人探査に賛成する理由は無人であるところだ。
有人の宇宙開発に反対なのは本質的でない無駄が多すぎるからだ。
典型的なのは、有人ロケットにつける脱出用ロケットだ。
打ち上げ途中の緊急事態に対処するためにつけるのが普通だけれども、安全装置でしかない。
打ち上げロケットという、ほんのわずかな物質を宇宙に送りだすために、莫大な推進剤等を消費している中で本質的に役に立たないものを一緒に送るのは、とても無駄に感じる。
有人での宇宙開発は、こういう安全性を見込んだシステムを、そこらじゅうに組込まなければいけない。
コストがかかりすぎるから良くない。

コストがかかりすぎるとかいうと、夢が大事とかいう反論がでてくる。
でも、有人の宇宙開発が一番夢がない。
何十年も前にアメリカとソ連が実行したことを、後から繰り返したところで感動できるわけがない。
ISSでの日本人の活動も同じだ。
わくわくしない。
はやぶさのイトカワ着陸の感動がない。
人類始めてでなければダメなのだ。
日本人初では興奮しない。

第三の月無人探査に賛成する理由は、自律型ロボットの開発に最適であることだ。
地球でも自律型ロボットの開発は可能であるけれど、必死さが足りない。
本当に難しい部分は人間が実行してしまうことが可能だからだ。
月ではそうはいかない。
人間なら簡単にできることでも、ロボットなら難しい。
そのブレークスルーとして、月開発はもっとも期待できる。

派生での技術開発に期待するのは、基本的に間違っていると考えている。
本当に大事ならば、派生の部分で実行すればいいからだ。
けれども、日本の炭素繊維が飛行機用に熟成する前に、スポーツ用品や釣具で稼いだ事実もある。
日本のロボットも本格的に社会に普及する前の1ステップとして、月開発は有用なはずだ。
以上が月無人探査に賛成する理由だ。

月の無人探査はアメリカの月有人探査計画に追随して生まれたらしい。
だから最初は月の有人探査だったということだ。
私は理由に述べたように、無人の方が望ましいと考えている。
だから、アメリカのコンステレーション計画が中止になって、日本がそれに追随しなくですんだのは、僥倖だった。

アメリカの宇宙開発計画は迷走している。
コンステレーション計画の停止は良かったと思う。
コンステレーション計画はスペースシャトルの再利用を考え過ぎて、いろいろと無理があった。
100円の商品を再利用したくて、1000円使ってしまうようなものだ。
けれども、オバマ大統領の新しく提示した2035年の火星への有人旅行も大問題だ。
時間が少し延びたから、新しく基礎から考え直す時間はかなりある。
現行の技術をそのまま利用しなくていいならば、いろいろと工夫する余地はあるだろう。
でも、ある程度の年限が決まっていたら、実行する立場の人としては、利用できるもので開発を進めるしかない。
ターゲットの時間が決まれば、予定表が決まり、未来技術も利用可能になる時期が明示される。
それに合わせて開発を進めれば、コストはどんどん増大していくし、実行可能にならなければプロジェクト全体が危機に瀕する。
火星への有人旅行がその未来技術がなければ夢物語ならば、それでもいい。
そうでなく、今の技術の単純な延長でもできてしまいそうなところが大問題なのだ。
そうなっては、全ての予算がそこに注ぎこまれかねない。
アメリカの宇宙開発計画は病んでいるとしか思えない。

近年、アメリカの宇宙開発は成果を上げていない。
日本の十倍の予算があるにも関わらずだ。
宇宙開発は時間がかかることもあって、成果が一時的に乏しくなることもありうる。
それを勘定に入れても、失敗が多いように感じる。
失敗している理由はいろいろあるだろうけれど、計画がころころと変わっているからだ。
アメリカは目標を決めたら、そこに一気に人材と金を投入して開発していく方法を取っている。
アポロ計画のように成功する場合もあるけれど、計画が中止になったら何も残らない。
日本が個人の信念で初めた計画をいつまでもサポートしていくのと反対だ。

日本の方法は計画を短期に実現することには向いていないだろう。
でも、人件費は安く上がるし、同じ人間がいろいろな部分に関わるので、全体的な無駄は少なくなる。
開発費用も少なくなる。
日本が最近宇宙開発で幾つかの実績を上げているのはそれが理由ではないかと思う。

日本はアメリカの宇宙開発計画とはあまり引っ張り回されないように活動を続けて欲しい。
このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

ドルから円への基軸通貨の交替

2010.06.12 Sat

03:31:00

今まで基軸通貨の交替はドルが暴落することによって起こると考えていた。
しかし、これは逆のような気がしてきた。
ドルは価格が上昇することによって、基軸通貨の地位を失うのではないだろうか。

問題の根本に戻って考えると、基軸通貨とは何だろうか。
「基軸通貨とは」で検索してみると、軍事力の優越性とかが出てくるけど、どうも信用できない。
結果として、基軸通貨国が軍事力を持つのであって本質とは違うように思える。
それでは、基軸通貨の本質とは何か。
まず、単純に二ヵ国で考えてみよう。

A国とB国で貿易関係があるとする。
他の国はないとして、その時に使う通貨は何だろうか。
単純に輸出輸入するだけだったら、通貨はあまり関係がない。
昔の帆船時代だったら、貿易する物品を船に満載して輸出し、その代金をそのまま輸入する品に変換しただろうから、ほとんどどの通貨など関係なかった。
関係してくるのは、貸借関係ができてからだ。
A国の方が豊かで資産を持っているとすれば、B国ではA国から金を借りて、つまりA国から設備投資のための資材を輸入して、A国に商品を輸出する。
そうすると、この時に輸出入の通貨建ては当然A国の通貨を使用するようになる。
A国はB国に金を貸す時、当然金を貸す単位は自国通貨の物を使い、B国は輸出する時、当然その通貨で受け取ろうとする。
ドルで金を借りれば、輸出する時はドルで受け取りたい。
円で受け取っても、最終的にドルに変換しなければならないのだったら二度手間になる。
手間だけだったらいいけど、変換した時にレートが変わって返せなくなったら大事だ。
だから、どうしても借りた金に合わせて輸出しようとする。

この理屈は本質的に多国籍間においても同じだと思われる。
第二次世界大戦後、世界各国に対して資金を提供した国がアメリカだった。
だから、世界各国はアメリカの通貨単位であるドルで輸出入を行なった。
ドルを直接借りていない企業でも、銀行を通して決済する必要がある。
銀行はアメリカから金を借りている以上、アメリカの銀行に口座を持つ。
だからアメリカの銀行で決済するのが望ましく、企業にもドル建てで輸出入してもらうのが望ましくなる。

アメリカは戦後圧倒的な力を持っていた。
ほとんどの国は資産を失っていたのだから当然だ。
だからアメリカから資金を借りて、復興を目指した。
復興が終わっても、世界で一番進んでいる国はアメリカで、だから、その後もアメリカから借金をしては経済成長を図っていった。
結果として基軸通貨はドルであり続けた。

そうするとアメリカが基軸通貨国の地位を失う条件は、アメリカが金を貸せなくなる、あるいは他の国が借りたくなくなることだ。
アメリカから他の国に資金が流れなければ、他の国は別の金を貸してくれる国、つまり新しい基軸通貨国を探さざるを得なくなる。
アメリカから金が流れない条件は何だろうか。
ドルの価格が下落すると金は貸せないだろうか。
ドルの価格が下落することは、金を借りている国にとってはむしろ望ましい。
返却する時の負担がどんどん減っていく。
問題になるのは逆だ。
ドルの価格が上昇していくと、借金をしている国はどんどん苦しくなる。
負担が重くなるからだ。
つまりドルの実質金利が高ければ、他の安い実質金利の国を探そうという話になる。

今現在アメリカには資産デフレの脅威が迫っている。
住宅価格の下落が続き、需給ギャップが拡大し、今にも物価指数はマイナスに転じそうだ。
日本のバブル崩壊と同じような形で、アメリカが資産デフレ状態に突入すれば、需要が減っているから輸入が増えなくなる。
新興国がアメリカからドルを借りて投資したくても、アメリカに製品が順調に輸出できなければ借金を返すことができなくなる。
将来返すことができなければ、アメリカはドルを貸せなくなるし、他の国もドルを借りられなくなる。

しかし、アメリカの金利はとても安いのだから、アメリカでドルを借りて高金利の国で運用すれば儲かると思う人がいるかもしれない。
けれども、それはうまくいかない。
ドルで金を借りて、それを高金利国で運用して、ドルに戻すのでは、本質的に単なる行って来いに過ぎない。
金利が同じになるように為替が調節してしまうのだ。
為替レートが変化しないためには、その分商品を輸入する必要がある。
それができないから問題になっている。
これは結局、名目金利は下がっても、デフレ状態にあるから実質金利は下がっていないことと同じだ。
実質金利が高ければ世界はアメリカから資金を借りることができない。

リーマンショック後ドルのレートは上昇した。
世界が不況に陥いると投資ができないということで、アメリカに資金が戻るからだ。
アメリカの財政政策、金融政策によって、景気が持ち直すとアメリカから投資資金が外国に流出していき、ドル安に振れる。
実際、現在の新興国の景気の良さはアメリカから資金が流れ込んでいることにある。
アメリカが中国やブラジルなどの新興国に投資をして、景気が良くなると同時に資産の価格が上昇している。
しかし、この景気の良さが本当に実態を表わしているかは疑わしい。
バブルの懸念が十分ある。
アメリカの一部で資金繰りが苦しくなっても、あるいは新興国内部のバブルが自然に破裂しても、ドル資金は急激にアメリカに引き戻される。
資金が急激に戻ればドル高となり、投資した資金の多くの儲けは、紙の上のものとなり消えてしまう。
つまり、アメリカは外国への投資ができなくなっていることを証明するものだ。

アメリカが資金を世界に供給できなければ、基軸通貨国としての役割を果たせない。
基軸通貨国としての役割を果たす国は資金を供給すると同時に、貸した金を返すことができるように、その国から商品サービスを買ってあげる必要がある。
アメリカのデフレ状態が続いている時に、アメリカに替わって新たな商品サービスの需要を生み出す国に基軸通貨国は移動する可能性が高い。
後、純債権国も必須のような気もする。
金を持っていなければ貸すこともできないからだ。
候補国としては、EU、中国、日本だろうか。
他の国では経済規模で基軸通貨国の役割を果たせない。

EUは全体としてみれば世界に金を持っていないのではという問題もあるが、そんなこととは別に景気が悪すぎる。
世界の他の国から輸入できるだけの新規の需要が生まれそうにない。
アメリカ以上に問題がありそうだからだ。

中国はどうだろうか。
中国は世界一の外貨準備国だ。
アメリカ国債を大量に持っている。
このドルを裏付けにして、外国に金を貸せばいい。
しかし、これはおかしい。
基軸通貨国の発端は金持ちの国が貧乏人の国に対して金を貸すことだった。
中国の所得なら、他の国から金を借りて投資をし、それを返済していった方がいいに決まっている。
もっと豊かにならなければ、基軸通貨国は難しいということだ。

貧乏国が金持ち国になるとしたら、過程は次の通りだろう。
貧乏国は金持ち国から金を借りて、投資をする。
その投資で作った商品・サービスを金持ち国に輸出して借金を返済していく。
貧乏国の国際収支は最初は投資を受け入れるのだから、資本収支は黒字、貿易収支は赤字となる。
投資が実って返済ができるようになると、所得収支は赤字、貿易収支は黒字となり、段々と経常収支は0に近づいていく。
貧乏国の所得水準が金持ち国に近づけば投資するネタがなくなっていく。
そうすると、貧乏国の経常収支は黒字に転換し、資本の元本を返済、あるいは逆に他の国に投資するようになる。
そうすれば貧乏国ではなくなり、金持ち国だ。
基軸通貨国は、そのような金持ち国の中でさらに新需要を生み出していく国だ。
その新需要が世界に普及する中で、その設備を手に入れるために、その国から金を借りねばならず、資金の循環が始まっていく。

中国はどうみても所得が低すぎる。
貧乏国から金持ち国に変換する過程では経常収支が0になるのがやっとのはずだ。
それが現在のように大量の黒字を出しているのは、何かがおかしい。
中国国内での移動の自由の制限、農村の戸籍が都市の戸籍に変換できないようなことや、資本取引の規制などがその要因になっているのだろう。
基軸通貨国になるには、いろいろな問題がありすぎる。

中国が基軸通貨国になれない理由を一応書いてみたが、あまり簡単な形にはならなかった。
もっと明解に説明できないかと思うのだが、難しい。
その本質的な理由は、規制によって見かけだけは日本と同じように外貨準備をたくさん持ち、経常収支の黒字がたくさん出るようにしているからだ。
逆にいうと、規制をかけ続ければ基軸通貨国になれるのかもしれない。
でも、それは矛盾がありすぎてうまくいくわけがないと思う。

そうすると唯一の候補国は日本となる。
日本がデフレを脱却して需要が増加し、輸入が輸出を上回れば、基軸通貨国の地位が移動する可能性が出てくるのではないだろうか。
ただ、それは最終的に新規の需要を日本が生み出せるかにかかっている。
日本は一番早くバブル崩壊に直面した。
だから、そこから抜け出すのは日本が一番最初のはずだ。
日本が最初に抜け出せば、円が基軸通貨となり、日本が世界をリードすることになるだろう。

日本が次の覇権国になるという予想を私も大体持っているのだが、具体的にどうなるかというイメージがなかった。
それがドルは暴落ではなく上昇によって基軸通貨としての地位が追われるという理解で、日本が基軸通貨国になるイメージが見えた。
政治、軍事の覇権国にはならなくとも、日本は基軸通貨国として世界の経済をリードしていくだろう。
このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る